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「MMA冬の時代」を経て武術にたどりついた菊野克紀2万字インタビューです!(聞き手/ジャン斉藤)

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・塩崎啓二インタビュー「PRIDEの汚れたレフェリング」





――
今日は菊野さんも過ごした「格闘技・冬の時代」を伺おうと思ってるんですけど、MMAに限らずあらゆる競技に出てますよね。キック、巌流島、MIXルール……出てない競技はないんじゃいかってくらい。記念すべきブレイキングダウン(以下BD)の旗揚げ戦のメインイベンターですし(笑)。

菊野 そうなんですよね(笑)。BDはいまみたいな感じじゃなくて「1分間最強の男を決める」というコンセプトだったので、これだったら自分が目指す方向に近いかなって思って出たんですけど。

――
残り時間1秒でKOしてインパクトが凄かったじゃないですか。BDからはその後オファーはあったんですか?

菊野
 オファーはいただいたんですけど、最初は「出たい」という気分で出ただけであって。「また出たい」とは思わなかったんですね。

――
菊野さんもプロだから条件面も重要ですけど、気分も大きいわけですか?

菊野
 気分はありますよね。やっぱり戦いたくて戦ってるし、強くなりたくて戦ってるところはあるんで。BDもアマチュアとして出ましたからね。

――
アマチュアとして出たというのは?

菊野
 あのときファイトマネーはなかったんですよ。出場料2万円払って出てますよ。

――
えっ、そうだったんですか。

菊野
 BDからオファーがあったわけじゃなくて、「1分間の総合格闘技、面白そう」ってことで普通に申し込んだんですよ。だからボクは出たいと思ったら出るし、そう思わなければ出ない。テコンドーもそうですよね。

――
結果を残して全日本の強化選手にも選ばれて。もしかしたらオリンピックに出てたかもしれないですよね(笑)。

菊野
 そうですね(笑)。ボク自身、オリンピックに出れるかもしれないっていうことで挑戦したので。

――
BDの話に戻ると、相手は元・力士で体重差45キロあったんですよね。

菊野
 予定していた選手(佐々木大)はケガで出らなくなったってことで、急遽相撲の人になったんですけど、むしろ面白いなと。

――
そこで面白がれる菊野さんがすごいですよ(笑)。

菊野
 最初はパウンドグローブというか、分厚いグローブだったんですよ。それだと殴っても倒れない。普通のオープンフィンガーグローブにしてくれってことだけは言いましたけど。

――
ああ、BDのグローブってけっこう分厚いんですよね。

菊野
 そこらへんは安全に留意したルールでしたね。普通のオープンフィンガーグローブにしてもらったんですがなかなか倒れなかったですね。やっぱり体重は防御力でもあると学びました。

――
どの試合に出るかは、菊野さんのこだわりが強いんですね。

菊野
 莫大なファイトマネーを積まれるか(笑)、ボクの好奇心をくすぐるルールや対戦相手だったら、出る可能性はあると思いますよ。

――
今日は、そのへんを深掘りしていきたいなと思います。もともとは柔道だったわけですよね?

菊野
 中学から柔道部に入りました。単純に強くなりたかったというか。ボクはもともとすごいビビリな人間で、いまもそうですけど。

――
ビビリなのにいろんな挑戦を!(笑)。

菊野
 ビビリな性格だからですよね(笑)。なので、けっこうね、みじめな記憶がいっぱいあるんですよ。ビビって自分を押し殺したり、友達とうまくやれなかったり、自分を強がって威張っちゃったりとか、すごく人間関係が難しかった記憶があって。なので強くなって自信をつけたかったですね。

――
それで柔道部に入られたんですね?

菊野
 柔道と剣道が部活としてあったんで、素手でやる柔道のほうがいいかなと思いました。中学校のときは鹿児島市で優勝することができて「俺、いけんじゃねえ」と高校でも柔道をやりましたね。

――
そこからMMAに興味を持つんですね。

菊野
 高校時代にK-1やPRIDEがブームで。強さの象徴ということで、PRIDEに憧れました。

――好きなファイターは誰だったんですか?

菊野 それがいないんですよね。憧れは孫悟空やジャッキー・チェンで。強さの象徴としてのPRIDEに憧れた感じですね。PRIDEに出たいという目標が高校3年生のときにできたんですけど。高校時代は柔道の強豪校には勝てなかったんですよね。ボクのところは進学校で「のびのび柔道」だったんです。それなりには頑張ったけど、それでは強豪校には歯が立たない。強豪校って柔道に人生を捧げるというか、1日に3~4時間練習してるような連中だったと思うんですけど。ボクは進学校だからしょうがないみたい言い訳はイヤだったというか。格闘技にすべてを費やす人生を送りたいってことで、格闘家になろうと。

――
おもいきりましたねぇ。

菊野
 当時のボクの親友2人がコンビを組んでお笑い芸人になると言い出して。親友2人が夢を語ってビッグになると言ってるのに、自分がやりたいことにチャレンジしないのは悔しいなと。それで格闘家になるって決めました。

――
その2人は結局どうなったんですか?

菊野
 1人は吉本に入って、いまはYouTuberやってますね。岩川っていうんですけど、本当にお勧めできないです(笑)。

――
ハハハハハハハ!

菊野
 もう1人はビジネスを頑張ってますね。

――
当時の地方だと、いまみたいにMMAのジムなんてなかったですよね。

菊野
 鹿児島だとPRIDEを目指せる環境がなかったんで、やっぱり東京に行こうと思いました。

――
上京する前に極真に通うわけですよね?

菊野
 そうです。 ボクが格闘家になることは親は当然大反対なんですよね。進学校に通ってましたから「話が違う」と。

――
進学校だから基本的に大学進学パターンなんですよね?

菊野
 9割以上は大学に進みますね。こうなると上京資金は親からの援助を受けられないので、土木作業員をしてお金を稼ごうと。働きながら家の近くの極真空手の道場で鍛えることにしたんですけど、そこに偶然世界チャンピオンが指導されてまして。木山仁先輩です。

――
第8回全世界選手権優勝者! そこで極真に触れたことが、菊野さんにとって大きいわけですよね。

菊野
 大きかったですねぇ、いろんな意味で。5年間、極真空手にいたんですけど、木山先輩とお会いできたことで、鹿児島でもいい稽古できるんだなと。世界チャンピオンになれるような稽古ができるわけじゃないですか。あと土木作業員で働いて思ったんですけど、お金を稼ぐことの大変さですよね。生きていくって大変だと。働いたあとだと疲れが残って練習もなかなか身が入らないですし。

――
練習環境を作ることの大変さですね

菊野
 1年間は土木作業員としてお金を貯めたんですけど、そのあとは極真の内弟子になりました。実家が近かったんで通いの内弟子だったんですけど、朝から練習して、午後から道場のお仕事をして、夜は指導する1日で。最初はオレンジ帯から内弟子だったんで役立たずというか(笑)。指導ができないので、指導補佐としてスタート。給料も0円だったのがちょっとずつお小遣いが増えていくみたいな感じでした。

――
高校卒業後に極真空手を始めて内弟子になるって、けっこうレアですよ!

菊野
 内弟子生活がよかったと思うのが、さっきも言ったように高校の柔道は、ぬるま湯だったんですよね。その感覚のまま上京して自己管理できたのかなって。ボクが入門した高阪(剛)さんのアライアンスでは、自主性を重んじられたんですね。自分でちゃんと計画を立てて練習する。もしアマちゃんのままアライアンスに入ってたとしたら、けっこう怠けちゃったかもなぁ……って思うんですよね。極真の内弟子はもう本当に有無を言わさず、めっちゃキツい毎日だったんで、本当に根っこから鍛えてもらえたし。

――
要は「押忍!」の精神ですもんね(笑)。

菊野
 極真は身体も心も押忍です(笑)。あの時代があったから、いまもこうしてやれていると思いますし、極真のいいところってルール上、どうしてもタフじゃないとやれないんですよね。たとえばMMAって最初から3ラウンドあるってわかってて戦いますよね。極真の場合は本戦で全力を出し切って、延長になったらそこでも全力を出し切る。再延長になったら……。

――タフになりますね!(笑)。

菊野
 MMAの3ラウンドと意味が違うんですよね。それに1日に4試合、5試合のトーナメントなので。心と身体を究極に鍛えてもらえたなぁ……って思いますね。もう大抵のことは耐えられてるから。

――高阪さんのアライアンス以外の選択はなかったんですか?

菊野
 知り合いの伝手でいろんなジムを調べたんですが、高阪さんのところに見学に行ったときに、吉田秀彦さんや須藤元気さん、横井宏考さん、中村和裕さんとか、PRIDEなんかで活躍してた選手たちがスパーリングをやってたんです。これはすごいジムだなと。高阪さんの雰囲気も雄っぽい感じがしていいなと思いました(笑)。

――
顔つきも「押忍!」ですよね(笑)。最初は働きながらジムに通ってたんですか?

菊野
 そうですね。SHOP99という100円ショップみたいなマーケットでバイトをしてましたね。

――
菊野さんってキャリア初期はケガで潰れてるんですよね。

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