ハックルベリーに会いに行く
台獣物語43(2,561字)
43
翌朝、ぼくがまだ眠っているときにそれは起こった。
寝袋にくるまって眠っていたエミ子は、ふいに何かの物音に気づいて目を覚ました。ただ、その物音に不安や不信感を覚えたわけではなかった、なぜならその物音は、なんというかやさしく、穏やかな雰囲気をたたえていたからだ。
それでエミ子は、普段家で眠っているときにもないような目覚めの良さで覚醒し、そこからおもむろに体を起こした。そして、手近に置いておいた眼鏡をかけると、その物音がした方を見たのである。
すると、そこには鹿が立っていた。体は小さかったし、角も生えていなかったから、まだ子鹿だったのかもしれない。その子鹿は、たった一頭でそこに立っていた。
エミ子は、その子鹿をじっと見つめた。子鹿も、少し小首をかしげるような仕草で、やっぱりエミ子のことをじっと見つめた。
エミ子は、このときなぜか、驚いたり、慌てたりしなかった。不思議なことに、
この記事の続きを読む
ポイントで購入して読む
※ご購入後のキャンセルはできません。 支払い時期と提供時期はこちら
- ログインしてください
購入に関するご注意
- ニコニコの動作環境を満たした端末でご視聴ください。
- ニコニコチャンネル利用規約に同意の上ご購入ください。