ハックルベリーに会いに行く
マンガの80年代から90年代までを概観する:その67(1,821字)
マンガというのは、主役よりむしろ脇役が大きな役割を担っている。どういうことかというと、作者は主役は熟慮を重ねた末に設定するが、脇役はそうではない。だいたい思いつきで、何気なく登場させる。
ところが、そうした熟慮を重ねていない脇役が、作中で意外な活躍を見せることがある。そうなると、作者も描きながら「そもそもこのキャラはどういう来歴なのだろう」とか「どういう性質を持っているのだろう」と、あらためて考えさせられるのだ。そうして、あらためて掘り下げていく。そうしたときに、無類の面白さが生まれるのである。
その代表的な存在が『子連れ狼』における大五郎だ。彼はそもそも、主人公の殺し屋に似つかわしくない「装身具」として、記号的に配置された。すなわち「子連れの殺し屋がいたら面白いよね」というきわめて安直な発想から、思いつきで生み出された。
しかし連載が始まってすぐ、この作品も、そして大五郎も人気が出た。と
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