庭について考えてみたい。

日本人にとって庭というのは「贅沢品」というより「縁遠い」ものだ。ほとんどの人が庭なしで生き、死んでいく。そして、それでほとんどなんの問題もない。庭がなくて困ったという人に、これまで会ったことがない。

また、庭は「憧れ」られてもいない。「タワマン」は富の象徴だが、庭はそうではない。むしろ、日本のこぢんまりとした庭は少しバカにされている。「庭付き一戸建て」というと、多くの人が想起するのは「猫の額」だ。「猫の額ほどの庭」という慣用句まであるくらい、日本の庭はバカにされている。それは「狭い」ことの象徴でもあるのだ。

その狭い庭を、一生懸命作っている人もいる。彼らは、周囲から「きれいにしてますねえ」と表面上は感心こそされるものの、羨ましがられるわけではない。むしろ、内心では眉をひそめられたりする。ある種のオタクのように「変わり者」と見なされる。

そんなふうに、日本の庭はネガ