ハックルベリーに会いに行く
庭について:その23(1,703字)
トマス・ウェストという人が1778年に『湖水地方案内』という本を書いている。この本では、「ピクチャレスク」の概念が詳細に述べられている。ピクチャレスクを味わうために、「湖水地方に旅行へ行こう」という主旨だ。
ここに端的に見られるように、18世紀も後半になるとピクチャレスクという概念はイギリス市井の人々に魅力的な価値として広まっていた。しかも、単に庭にだけ当てはまるものではなく、一般の風景や自然にも当てはめられるようになっていた。
そんなふうに、もともとは「絵画の中に描かれていた自然」から始まった美の観念が、とうとう実際の自然にも当てはめられるようになったのだ。自然は絵画に描かれたようなものこそ美しい――というわけである。
これはなかなか「倒錯した価値観」で面白い。もとは画家たちが美しい自然に感動してそれを絵に描いたのに、今度はその絵を見た人たちが自然を見て、「これは絵のように美しい」という
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