「劣化する人」というのがいる。若い頃は輝いていたのに、40歳を境に急に朽ちてきてしまう人のことだ。

そういう人はたくさんいる。ぼくの近くにもいた。皆、判で押したように40歳が転機となって坂を転げ落ちる。40歳は、昔は「不惑」といわれたが、彼らはちょうどそこを境に老いの世界へと移行する。若々しさがなくなって、目が据わる。生気のない目で、判で押したように同じことを言う。

だから、周囲に言動を読まれ、飽きられてしまう。しかし本人は、そのことを問題と気づいていない。むしろ鈍感さが増したから動じない。文字通り「不惑」だ。人形のように、機械的な発言をするのみである。機械人間である。

そういう人が、みなさんの周りにも少なからずいるのではないだろうか。これは、肉体の老化とはあまり関係ない。40歳は、まだまだ老け込む歳ではない。スポーツ選手でもない限り、肉体の衰えを感じるには少し早い。

ぼくは今55歳だが、