「劣化」というのは、一つの老化現象でもあるといえよう。教育が機能するのは、体力がある40歳までだ。40歳以降に体力が衰えたとき、受けた教育が機能しなくなり、劣化するのである。

そう考えると、能力における「体力」は、きわめて重要な役割を担っているといえるし、40歳以降は、むしろそれに頼らないことが必要になるともいえるだろう。

ところで、「老化」や「体力の衰え」ということについて、ぼくに強烈なインパクトを与えたドキュメンタリー映画があった。それは『ギフト―僕がきみに残せるもの』だ。



内容は、スティーブ・グリーソンという米アメフトNFLの一流選手だった人が、引退直後の34歳のときにALSと診断され、そこからの闘病生活を自分で自分を撮影しながら記録したものである。

自分で自分を撮影したのは、もし自分がALSで死にゆくなら、病気が分かった当時妻のお腹の