ハックルベリーに会いに行く
石原莞爾と東條英機:その44(2,107字)
石原莞爾はスイスから帰国した直後、仙台の歩兵第四連隊長に着任する。これは、心身の疲れから引退を申し出た石原を引きとどめるため、陸軍上層部が用意したポストだった。石原の故郷である山形に近い地で、石原の好きな歩兵たちとの仕事だ。そこで心身の疲れを癒してほしいという狙いがあった。
ここから分かるのは、このときの陸軍上層部は石原に対して破格の扱いをしていたということだ。それは、満州事変の成功を評価してのものだ。満州事変と満州国の成立は、陸軍としても強く望んでいた、心から嬉しいできごとだった。それを主導してくれた石原に対する感謝の気持ちもあって、この人事になった。
また、陸軍上層部は石原の「好み」もよく分かっていた。普通のエリートなら田舎の連隊長など絶対に望まない。もし配置されたら、「自分は左遷された」と大いに嘆くところだろう。
しかし石原は、陸軍に入ってから除隊するまで、一貫して出世を望まなかった
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