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京都東山の麓、琵琶湖疎水の出口、南禅寺の参道入口のところにある「無鄰案」は、庭師小川治兵衛の代表作であると共に、近代日本庭園の代表作、大傑作でもある。治兵衛のほとんどデビュー作といっても差し支えないが、彼が残したいくつもの名庭園のうち、真っ先に名前が挙がるのがこの無鄰菴だ。
ただ、ややこしいことにこの無鄰菴は、単に「治兵衛作」というのではない。そこには、クライアントである山縣有朋の意思や意図、あるいはデザインも、大きく反映されているのである。
この山縣有朋は庭作りを一つの趣味としていた。生涯に、いくつもの庭を作っている。しかもその庭のどれも評価が高いのだが、中でもこの無鄰菴と、晩年を過ごした小田原の古稀庵は傑作庭園として、今も当時の姿のままで残されている。
つまり、山縣有朋も、庭園史に燦然と輝く偉人なのである。我々は、山縣有朋がどんな人物かを知っているだけに、この事実には正直なかなか複雑な
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