この本は、「もしドラ」以降に出した本とは全く違ったアプローチで作ったものなので、ぼくにとっては新しい門出の日となりました。
思えば、「もしドラ」からもう4年が経とうとしています。
「もしドラ」以降、ぼくは「もしドラ」的なアプローチで、さまざまな本を出してきました。「『もしドラ』的なアプローチ」とは、「難しいものを分かりやすく伝える」ということです。
ところが、そういうアプローチの本は、だんだんと売れなくなっていきました。そうして今年6月、「もしドラ」以降の集大成的な意味合いで「まずいラーメン屋はどこへ消えた?」という本を出したのですが、これが全く売れなかったのです。
「まずいラーメン屋はどこへ消えた?」
おかげで、ぼくはようやく「もしドラ」的なアプローチが、現在では通用しなくなっていることに気づかされました。あれからたった4年しか経っていませんが、今、人々は必ずしも本から知識を得ることを必要としていません(おそらくネットで得ているのだと思います)。難しいことを簡単に解説してもらう必要も感じていません(それよりもやらなければならないことが多くて忙しいということがあるのでしょう)。
本のトレンドは、この4年でガラッと変わってしまいました。時代は大きく変化していたのです。
そのためぼくは、もう一度原点に立ち返ることにしました。「もしドラ」的なアプローチを捨て、今、世の中の人が何を求めているか、ゼロから考え直すことにしたのです。
――ゼロ?
「ゼロ」といえば、時を同じくして、堀江貴文さんの「ゼロ」という本が発売されました。
この本については、いずれまた詳しく紹介することになるかと思うのですが、ここでは2つだけ、とても重要なことを述べるにとどめておきます。
1つは、とても「面白い」ということ。
もう1つは、この本も、これまでの堀江さんの本とはガラリと変わった、新しいアプローチで作られているということ――です。
堀江さんも、やっぱり時代の変化というものを感じているのだと思います。
話を元に戻しますと、ぼく自身が新しいアプローチを模索した時、真っ先に参照したのは、ここ数年の本のトレンドです。「もしドラ」以降、本のトレンドはどのように推移したのか? その流れから、今後のニーズを読み取ろうとしたのでした。
すると、興味深いことが分かりました。
ここ数年、売れた本の代表的なジャンルに「ダイエット本」「レシピ本」「片付け本」があるのですが、いずれも「生活」に関係があるのです。
しかも、これらのジャンルはいずれも単独の本が飛び抜けて売れているというわけではなく、いくつもの本が売れ、ジャンルとして栄えている。多くの人が、ダイエット本、レシピ本、片付け本を複数買っていました。
これは、一体どういう現象か?
今、多くの人が、生活に関する本を買っている。
なぜか?
それは、生活を改善したいからだ。
生活の質を向上させたいから。
それでは、複数の本を買っているのはなぜか?
それは、1冊では効果を実感できなかったからだ。
大きく変化できなかったから。
今、世の中には「変わりたいと思っているのに変われない人」が大勢いる!
ぼくは、ここにヒントがあると思いました。
これは出版社の人から聞いた話なのですが、ダイエット本にはこんな諧謔があるそうです。
ダイエット本がなぜ売れ「続ける」かといえば、多くの読者が、ダイエット本を読んでもやせられないからだ。
なぜやせられないかといえば、「実行するのが難しいから」。
例えば(これはあくまでも例だが)、ダイエット本には「適度な運動をしましょう」と書いてある。
しかし、それができれば苦労はないのだ。むしろ、それができないから苦労をしている。
しかし、それをできないのは「自分の意思が弱いから」という後ろめたさもあるので、表だって悪く言えない。
それで結局、また次の本を買う羽目になる――のだという。
ぼくは、今のダイエット本、レシピ本、片付け本ブームの背景には、そうした思いを抱えている人がたくさんいるのではないかと気づきました。
そこで、こう考えたのです。
今、世の中には自分を変えたいと思いつつ、変えられない人が大勢いる。
それであるなら、「自分を簡単に変えられる方法」を書いた本を出せば、多くの人に読まれるのではないだろうか? 多くの困っている人を助け、喜んでもらえるのではないだろうか?
――ならば、それを提供しよう。
そうして始まったのが、今回の企画なのです。
幸い、ぼくには一つ、人間が簡単に変われる方法を知っていました。
それは「環境を変えること」です。
ぼく自身、環境を変えることによって、大きく変わった経験を持っていました。うだつの上がらない放送作家崩れだったのが、部屋を変えることで、ベストセラーを出せるような状態にまで変化したのです。
では、「環境を変える」とは一体どういうことか?
それは、あらゆる人にとって最も多くの時間を過ごす、「部屋」を活かすということです。
ぼく自身、部屋を活き活きとさせることで、人生を変えることができたのです。
よく「部屋は人を映す鏡」といわれますが、逆もまた然りで、「人は部屋を移す鏡」でもあります。人は、部屋によって大きく左右されるのです。
そのため、部屋を改善することによって、その人自身を改善することにつながります。今度の本は、そのことの細かな方法を、体系的にまとめたものです。
タイトルは「部屋を活かせば人生が変わる」
――略して「ヘヤカツ」と覚えていただければ幸いです。
もし、あなたが「自分を変えたいけれど変えられない」というお悩みをお持ちなら、ぜひお読みいただき、ご活用いただければと思います。
「部屋を活かせば人生が変わる」
コメント
コメントを書く「もしどら」も自分を変えたいという想いの人たちが選んだのではないかと、じぶんは思います。
自分を変えるための手段の一つとして、ドラッカーの考え方をヒントにしたかったのではないでしょうか。そのヒントを的確に分かりやすく提供してくれる本がそこにあったから手にとった、ということではないでしょうか。
なので、自分を変える手段としてどれくらい説得的、魅力的なものだったかという枠内での勝負になっているように思います。もちろん、その枠組みでも魅力的であれば、ミリオンセラーということもまだあるのではないでしょうか。
>>1
そうですね。ぼくもそう思います。
ですが、ぼくが言うのはなんですが、「もしドラ」を読んだだけでは、おそらく変われないのです。「もしドラ」に限らず、本を読んで変われる人は少ない。それが、本が売れなくなった一因にあると思います。
そこでぼくは、今度の本を出したのです。今度の本も「本」ですが、読むだけではなく、具体的な「実行」が示してあります。そして「実行」をともなえば、人は変われる。それがぼくの今の眼目です。
堀江氏の本を読んでゼロの自分をさらけ出し、岩崎氏の本を読んでイチの大きさの測り方に気づき、ゼロにイチを足し直すことは何度でも実行できることを知る、というのも一つの楽しみ方でしょうか。
>>3
そうですね。ゼロの自分をさらけ出す、というのは、実は「言うは易く行うは難し」の代表的事例だと思います。
ゼロの自分をさらけ出すためには、まずは自分を変える必要がある、そのためのヘヤカツなのだと思います。
その意味で、「ヘヤカツ」は「ゼロ」よりも「ゼロ」に近い位置にある本だと考えています。
私の部屋はもう数年、本やらDVDやら何やらで散らかった状況です。
愚かにもそういった人間の方が何でも片づけしまう人間より感性とか豊かなんじゃないかと
思ってた時期もありました。今ではそれは間違ってたな……と薄々感じてるのですが、
解決はしておりません。
とにかく明日、「ヘヤカツ」を買ってみます。
>>5
ありがとうございます。
ぼくも昔は部屋が散らかっていました。
ですけど必要に迫られて引越をし、本を捨てて、そこから新たな生活が始まりました。
この本が、siba9さんのきっかけになることを望みます。