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ルミネのCMについて(1,956字)
YouTubeにアップされたルミネのCM動画が炎上した。
なぜかというと、そのドラマ仕立ての内容が、「女性社員が、男性上司に容姿を揶揄されたことをきっかけに、外見の大切さに気づく……」という内容だったからだ。
これに対してネットでは、猫も杓子も「今時、こんなCMを作るなんて時代錯誤も甚だしい」というリアクションを示して、ルミネの炎上に至った。
ではなぜ、ネットで「時代錯誤」ととらえた人が多かったかというと、「女性が身ぎれいにするのは男性の目を気にしているからではない」というわけである。「女性はもっと自立した存在で、男性に隷属していない」というわけだ。
そこで今回は、なぜこういうCMが作られたのか、その社会的背景を探ってみたい。
ところで、ぼくの立場からいうと、「ファッションというのは、誰か他人のためにするもの」という原則がある。けっして自分のためにするものではない。自分のためなら、楽な格好をするのが一番だが、それでは相手に失礼なので、スーツなどの堅苦しい格好をあえてしている。このことは、このブロマガでも何度か言及してきた。
だから、女性が男性の目を気にして身ぎれいにするというのは、ファッション的にいえば、実に本質的なことなのである。女性はもちろん、男性というのも、ファッションにおいてはけっして「自立した存在」などではなく、「他人との関係によってはじめて成り立つ存在」――つまり「社会的な存在」なのだ。
それゆえ、上司からファッションの良否について指摘をされたのなら、それはセクハラなどではなく、むしろ社会的な意見だと受け取るべきであり、感謝こそすれ、非難するようなものではない。それは、セクハラはもちろん、パワハラとも違う。そう考えているので、ぼくは基本的にこのCMにはなんの問題もないと思っている。
ただ、このCMには件の女性社員とは別の女性社員が出てきて、男性上司が彼女に対して「かわいい」と評する場面があった。
これについては、男性上司が個人的な好みを部下に押しつけているととらえることもできるので、セクハラ、ないしパワハラに該当するという可能性もあるだろう。
ただ、そういう内容の是非はさておき、ぼくが面白いと思ったのは、こういうCMを作ればそれなりの反論も予測できたのに、ルミネがあえてそれを制作・公開に踏み切った――ということの方だ。ぼくは、ルミネは迂闊さからこのCMを制作・公開したのではなく、あえてやった確信犯だと思っている。
それというのも、昨今は炎上事案が頻発し、世間の目がますます厳しくなる中で、多くの企業は不穏当な表現を避けたがる。だからぼくは、ルミネもそういう危険性は十分に予測していたと考えている。そのため、彼らはそうした危険が分かりつつも、あえてそこに踏み込んだと認識しているのだ。
ではなぜルミネがそのような危険な領域に踏み込んだかというと、それはよっぽど拠ん所ない事情があったからだろう。
その拠ん所ない事情というのは、「売上げ競争の厳しさ」だと思う。彼らは、このCMで売上げを上げなければならないという厳命を受けていた。だから、あえて危険を冒してまで制作・公開に踏み切ったのだ。
さらにいえば、ルミネの中には、こういうCMを出すことで、それなりの売上げ増が見込めるという目算があったということだ。これまでの経験やデータの積み重ねの中で、こういうCMが効果的に消費者に響くだろうという確信があったのである。
このことから分かるのは、「現代の流行にさとい人々は、『弱者の論法』で戦うこと――ここでは女性の権利を過剰に主張すること――が既にトレンドとして古くなっており、これからは『非弱者』であることをあえてアピールして、頭を低くして自分の地位の低さを喧伝していくことが、最良の生き残り戦略だと気づいている」ということだ。それは、若い女性でいえば「あえて男性におもねったファッションをすることが最良の選択である」という「トレンド」に入った、ということである。
さらに興味深いのは、ネットで発言する人の多くは、そういうトレンドに気づいていない、ということだ。このCMが炎上するというのは、ネットというのは世間一般のトレンドとはずれている――そこから半周遅れになっている――ということである。ネットは今や、そういう流行遅れの人々が蝟集する場所となったのだ。
ネットというのは、これまで長い間、トレンドにさとい、いわゆるアーリーアダプターが蝟集する場所のように思われていた。しかし、それが今、様相を変えているのだ。ネットは今や、「時代遅れの人が集まる場所」というトレンドに入りつつあるのである。
ルミネのCMが炎上したことからは、そうした状況が読み取れた。
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コメント
コメントを書くスーツを例に挙げてますけど、スーツみたいな制服、仕事着の類を「ファッション」ととらえること自体、「誤認」ですよね?スーツというのは、単に正しく着こなせるかどうかの問題だけであって、そこに「かわいい」「可愛くない」などという個人の嗜好が介在する余地はありませんし。たとえばこのCMが、TPOをわきまえない、スーツをきちんと着ない人間に対する揶揄であるなら、何の倫理的問題もないし、実際炎上しなかったと思うんですよねー。このCMは、服装にフォーカスすしているように見せかけて、実際には顔や体系も含めた女性の容姿全体を評していますし、それを「需要」などといいういやらしい言葉で表現したことが、あきらかに言葉選びの失敗であり、セクハラであり、女性を不快にさせるのも当然でしょう。なぜ「個人的には全く問題ないと思う」などという感想が飛び出すのか、わかりません。
擁護派の焦点がずれてるだろ。
炎上の根拠は、女性の心象を無視した無配慮さそのものにあるのであって、企業側が「実は何を意図していたのか」が、本当に免罪符になるのか?
素敵な男性のために着飾るならともかく
不愉快な上司のために着飾りたい女性は数少ないだろうし
今どき需要だとか職場の花だとかいってるから批判されてるんでしょ
根本的なところが食い違ってるんだからどうにもならないね
結局、売り上げがどうなるか次第よね…。
ただ、ファッションの良否について、が社会的な意見に成り得るのなんて、ビジネスマナーとして決まっている範囲でしかないとは思います。それ以上は踏み込んで良い理由が無い。
炎上商法がゲスい商売なのはわかっている
でもお前らが釣られるからやめられないんだよねーーーーwwwwwwwww
内容はともかくとして、メッセージ性の強い作品ってもう通用しないんかな
これに限らず、伝えたい事を発信したなら謝罪しないで貫いてほしいもんだが
やっぱ商売って難しいもんだね
でも世間が敏感になり過ぎな気がしなくもないけどなぁ
もりおって奴ツイッターでも差別ダーとか男ガーとかバカ女丸出しの発言してるな
ミサンドリー・フェミもほどほどにな
メディアでは男性軽視を揶揄する様な表現が少なくない(男、女性表記・ファブリーズのCM等)のに、
それには無言で女が少しでも小馬鹿にされれば、今回みたいに狂った様に騒ぐ
いつものことだね。仕方ないね。
今回も男性諸兄はしみったれた女どもが少しでも自分達の気に入らないことがあると
目を血走らせて唾を飛ばして喚き散らす様を檻の外から鷹揚に見物して頂きたい。
80みたいなヤツがいるからダメなんだろうな。
性別・職種・職階・年齢を問わず、
エステとジム通いは必須、よれよれは論外、スーツは必ずオーダー、自己満ファッション禁止にしたら、
キラキラ女子()、キラキラ男子()で、みんな美しく()、会社が楽しくなるかも知れない()
実際、ジムだけではなく、メンズエステに通う人いるし、
ある程度の規模の会社になると、明らかにイケメン採用枠(顔もスタイルも良い)の営業がいる
これからは、職能以前に「見た目」傾向はより強くなりそう