ハックルベリーに会いに行く
ライトノベルの書き方:その30「『桃太郎』の道徳を超えた本質とは」(2,050字)
「桃太郎」における鬼の描き方は稚拙である。彼らは特に悪いことをしていない。桃太郎と敵対しているわけでもない。にもかかわらず、桃太郎の攻撃にさらされ、一方的に物を強奪される。
その状況は、童謡「桃太郎」の歌詞にも明らかだ。そこにはこんなふうに描かれている。
「そりゃ進め そりゃ進め 一度に攻めて 攻めやぶり つぶしてしまえ 鬼が島」
「おもしろい おもしろい のこらず鬼を 攻めふせて 分捕物を えんやらや」
ここで鬼は、桃太郎一味に攻め破られるだけの存在として描かれている。桃太郎一味は、その攻撃を「おもしろい」とまでいって、物を強奪することにも自覚的、積極的だ。
この歌の初出は1911年なので、日本が日露戦争後の繁栄を謳歌していた時代だ。この頃の子供たちは、こういう歌詞を何の疑問もなく歌っていた。
しかし現代においては、この歌詞に不当な侵略戦争を思い浮かべ、アレルギーを感じる人が多いだろう。
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