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 目下、ツイッター界隈でも騒がれている「女性手帳」の批判記事です。
 が、呆れたことに記事のどこを読んでも、女性手帳の具体的な内容は全く書かれておりません
 リード文に書かれているのは、

 若い女性に高齢出産の危険性などを認識させることで少子化への歯止めを狙っているが、国が女性に対し、事実上、早く出産しろとプレッシャーをかけるようなやり方に問題はないのか。

 との一文。
 もし手帳に書かれていることが医学的に間違いというならば、批判は当然ですが、「高齢出産は危険である」との事実を指摘することが許せないとは、いやはや驚くべき言い分です。我々は間違ってもお国が「フグを食うと毒に当たる」などと主張して国民の健康に介入しないよう、監視の手を緩めてはなりません。
 ちなみに、ネット上で探してみると、産経の「政府、10代から「女性手帳」導入 骨太の方針で調整 何歳で妊娠? 人生設計考えて」という記事が目につきます。これを見てもそれほど具体的な内容はわかりませんが(つまりまだその辺は未定ということでしょう)、

 女性手帳では、30歳半ばまでの妊娠・出産を推奨し、結婚や出産を人生設計の中に組み込む重要性を指摘する。ただ、個人の選択もあるため、啓発レベルにとどめる。

 とのことで、普通に考えてこれを文句をつけるような内容であると感じるのは、少数派ではないでしょうか。
 しかし『東京新聞』はとにもかくにも(具体的な内容が決まる前から)手帳を全否定です。
「読まずに全否定」とはまるで、拙著に対する有村悠師匠のブログのようです。
 他に並ぶ意見は「女性が少子化の原因と言われているようでムカつく」、「何故女性だけなのか」と言ったものばかり。何だかニートの男が職安の作った冊子とかに「男だけが働かなきゃいけないとしている、ケシカラン」とか言ってるような感じです。
 しかしそれならば、「男性手帳」を導入すればその問題がなくなるのかというと、どうもそうではないようです。本記事においても、男性手帳についても検討がされていることが言及されながら、それでもひたすら文句ばかりが並んでいるのですから。
 考えてみれば、男女共同参画局のやってきたことの方が遙かに官製の民間への押しつけだと思うのですが。そこではお役所主導で「ひな祭り」や「男児に男性的な名前」をつけることなどに異議を唱えるパンフレットを配ったり、小学生にコンドームや同性愛について教えたりしていたのですが、それは「正義だからおk」という理屈なんでしょうかね、この人たちは。どうなってるんでしょう。
 読み進めていくと、北原みのり師匠にまでコメントを求めに行くメチャクチャぶり。師匠は「性教育」の講演で小学生の前で「ち○こま○こ」と繰り返した人物なのですが、それもまた「正義だからおk」なのでしょうか?
 後はお決まりの婚外子を増やせとの主張や、これは男女の性役割分担を固定化させようとする政府の陰謀だ、との妄想が続きます。
「デスクメモ」として

「晩産化=悪」のレッテルを貼って、世間の空気を意図的に醸成するやり方は気持ち悪いどころか恐怖だ。

 とありますが、何だか「説教強盗」という言葉を連想するのはぼくだけでしょうかw
 なるほど、こうして世論は形成されるのかという感じです。
 結局、何故彼ら彼女らがここまで焦るかと言えば女性のマジョリティの意見が、決して彼ら彼女らの意に添う物ではないからなのでしょう。
 日本経済新聞2006年1月16日号夕刊によると、翌年の就職を目指す大学三年生女子516人へアンケートを採ったところ、「結婚してもずっと一線で働きたい」と答えたのは僅か5.2%だったと言います。大学三年生というからには四年制の大学での調査なのでしょう。これが短大や高卒を含めると、一体どういう数字になるのでしょうか。
 つまり、今の女性の圧倒的マジョリティはキャリアウーマンになる道など望んでいない、できれば専業主婦に収まっていたいわけです。しかしそれはフェミニストたちにとっては、絶対に許すことができない。だから彼女らは今まで高齢出産の危険性を隠蔽することで、女性を出産、育児に向かわせまいとし、裏腹に女性を職場へと駆り立ててきました。
 本記事では女性手帳に対して「全体主義的だ」などと書かれていますが、全体主義的なやり方で社会をねじ曲げてきたのは彼女ら自身だったわけです。
 あくまで想像ですが、女性全般からすれば女性手帳にここまでヒステリックな反応を示す層は少数派でしょう。ツイッター上でも「文句をつけているのはアラフォー層だろうが、対象は二十代だろうから、関係ないのでは」といった声を見かけました。ぼく自身もまた、最初にこのニュースに接した時、むしろ女性は基本的に「あなたは女性なので構わせてください」と言われることを喜ぶので、文句は(フェミニストのツンデレ反応を除けば)どこからも出ないのではないかと想像していました。
 しかしフェミニストたちもそれを知っているから、自分たちが女性の中のマイノリティであるとの事実を知り抜いていたからこそ今回、ここまで事前に大騒ぎすることで、この政策を廃止に追い込もうとしているのではないでしょうか。
 果たして手帳がどこまで少子化対策になるのか、ぼくの知ったことではありません。或いはずれたものができあがってくる可能性もあるでしょう。が、手帳などという手軽なアイテムならばそれほど予算もかからないでしょうし、それなりの啓発効果で少子化を食い止める一助となることは充分に想像できます。
 少なくとも頑迷に反対しているフェミニストたちの描く未来は、圧倒的多数の女性が全く望んでいない者であることは、明白です
 ここはやはり、推進すべきなのではないでしょうか。