結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2017年3月7日 Vol.258
はじめに
おはようございます。結城浩です。
いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
最近、家庭の事情で仕事のペースがだいぶ落ちています。 自分の思う通りに時間が使えないと、 どうしてもイライラしがちですよね。 そういうときには、 気持ちを大きく切り換えるように心がけています。
イライラはコンフリクト(衝突)から発生します。 「仕事のペースを落とさざるを得ない」のに、 「仕事のペースは落としたくない」というのはコンフリクトです。 なので、意識して「現在は、この仕事のペースが正常値なのだ」 と自分に言い聞かせています。
「気持ちを切り換えよう」「正常値を変えよう」 「基準をずらそう」「想定の範囲を変化させよう」 など、いろんな表現ができるでしょうけれど、 やっていることは同じです。
ともかく、結城の場合、いったん心決めすると、 イライラがかなり軽減され、精神状態が良くなりますね。 さらに、いつもと同じペースで仕事ができた日があると、 自分のパワーがすごく上がった気持ちになる効果もあります。
どんな状況でも、 ちょっとした気持ちの持ちようで、 かなり改善はできるものなのですね。
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朝の話。
ここ数ヶ月、我が家の朝ごはんはこんな感じです。
・スムージー
(ほうれん草、バナナ、みかん、リンゴ)
・フルーツ入りヨーグルト
(バナナ、キーウィ、ナッツ、はちみつ、こうじ入り)
・ぶどう、いちご、キンカン
これは私だけの現象なのか、誰にでもある現象なのか知りませんが、 朝は「赤い色が美しく見える」認識があります。特にイチゴ。 朝に真っ赤なイチゴを見るとしみじみ「美しい」と感じます。
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Web連載の話。
Web連載「数学ガールの秘密ノート」は、 現在「いにしえの数学」というシーズンを過ごしています。
古代バビロニア、古代エジプト、古代ギリシアと話は進み、 現在は古代中国のお話を展開中。 今シーズンでは、主に紀元前の話を中心に扱っています。
先週と今週は古代中国の数学テキストである『九章算術』 (きゅうしょうさんじゅつ)がテーマです。 登場人物たちは、 算木というツールを使った計算を学んでいます。
Web連載は基本的に有料なのですが、Web連載の最新回だけは、 一週間無料で閲覧できるように設定しています。 いろんな読者さんの感想ツイートを読むことができていいですね。
先週から今週に掛けて、 複数の方から「算木による計算はソロバンに似ている」 というご指摘をいただきました。 結城が書いているときにはそのことに気づけなかったので、 「なるほど!」と膝を打った次第。
また、感想ツイートだけではなく、 誤植、計算違い、事実誤認などのご指摘をいただくこともよくあります。 先週も、公開直後に @0921Az さんからご指摘をいただきました。
https://twitter.com/0921Az/status/837913217431003136
この指摘では、結城の計算が「364×49=14700」 になっていると教えていただきました (正しくは 364×49=17836)。 こういうご指摘はほんとうにありがたいですね。 さっそく修正して、感謝のお返事をしました。
結城は、こういうご指摘は大歓迎ですし、 たいへん嬉しいものです。 だって、しっかり読んでくださっている証拠ですから!
書籍の場合には、 もろもろの事情により修正が難しい場合もあるのですが、 指摘そのものはたいへんありがたいことだと思っております。
◆Web連載「数学ガールの秘密ノート」
https://bit.ly/girlnote
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コントロールしている実感の話。
結城メルマガでは「仕事の心がけ」などで、 タスク管理の話をよく書きます。
結城自身の経験から「こういう方法だとうまく管理できるのでは」 というアイディアを練ったり、文章にまとめるのは大好きです。
ところであるとき、こんなことを思いました。
もしかしたら「タスク管理の方法そのもの」 よりも、
「自分はちゃんとタスク管理しているぞ!」
という実感が大事なんじゃないだろうか、と。
つまり、自分は……
・自分の活動を把握していて、
・自分の活動を進捗に貢献させられるし、
・自分の活動をさらに改善できるぞ。
……という実感のことです。 タスク管理することで、この実感を抱く。
短く表現するなら、
自分の仕事をコントロールできてる実感
が重要なのじゃないかな、と思いました。
世間的にどんなによいと言われているタスク管理手法を使っても、 その手法を通して「自分の仕事をコントロールできてる実感」 が抱けないなら意味がないのかも。
そんなことを思いました。
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確定申告の話。
三月に入るとあちこちで「確定申告」が話題になります。 三月十五日の期限が直前にせまり、 「もう終わった」「まだやってない」 というつぶやきが聞こえてきます。
結城は、 一月に終わらせる予定が二月に食い込んで焦りましたが、 すでに終わったので安心しています。
ちなみに、もう21世紀なのですから……
感熱紙レシート滅ぶべし!
と強く思います。消えるレシートに意味はありません!
それはさておき。
結城は、自分の会計作業専用にプログラム群を作ってあります。 自分の仕事に特化させて毎年バージョンアップしてきました。 今年もそのプログラム群が大活躍しましたね。 会計作業は苦手なので、 その苦手な部分をプログラムに押しつけた格好です。 自動処理大事です。
ところで、会計のまとめの時点で、 2016年度の収入に、 記録と入金で大きく乖離していた部分を見つけました。 問題発生です。
数時間掛けて書類とデータとメールを調べ、 数字を訂正したところ、集計がぴったり合致! ああよかった。
そのとき結城は、安心するとともに、 「自分は把握している」という強い実感を得ました。 そして、このポイントは重要だなと思いました。
つまり、こういうことです。
問題が発生するのは悪いことだと思いがち。 でも、発生した問題をしっかり検出できて、 正しく解決できたなら、 それは自分が状況を把握している証拠です。 言い換えると、問題発生とその解決は、
自分の仕事をコントロールできてる実感
を得るチャンスといえるでしょう。
その意味で、問題の発生は決して悪いことじゃない、 と思うのです。
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仕事の風景の話。
仕事の進め方のことを考えていて、 会社に勤めていた時代のことを思い出しました。
あるとき、A氏が、 同じ部署のB氏について愚痴を語ります。
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【A氏の発言】
Bさん、いるでしょ?
Bさんがからむ仕事って、いつもやっかいなことになるんですよね。
売上的には重要な仕事なのに、ぐだぐだになって、
こんなのどうするんだみたいな案件になることが多くて……
わたしだったら、あんな仕事の仕方はしないなあ。
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ああ、確かにそうかもしれない……と私は思いました。 B氏が関わる仕事っておおごとになっちゃって、 火を噴くことが多い印象がありましたから。
ところが数日後、A氏とB氏の上司から、 こんな話を聞きました。
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【上司の発言】
Aくんは、コンパクトで手頃な案件ばかり片付けたがる。
Bくんは、難易度が高い重要な案件にも挑んでくれる。
Bくんは問題点もすぐにエスカレーションしてくれるから、
ほんとうに助かっている。
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この話には、とても考えさせられました。
A氏の認識が正しいのか、 上司の認識が正しいのかは、私には分かりません。
ただ、「A氏が見ている仕事の風景」と「上司が見ている仕事の風景」 とでは、ずいぶん違いがあるものだな……と思ったのです。
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『重版未定』の話。
本が重版することを、 重版出来(じゅうはんしゅったい)といいます。
『重版出来!』というコミックがありますし、 ドラマにもなりましたね。そこでも語られていましたが、 「重版出来」というのは、 出版に関わる人が幸せになる四文字熟語です。
ところで『重版未定』というコミックもあります。 こちらは、業界のディープな話を、 ペーソスを交えて淡々とした筆致で描いたものです。 「業界あるある話」にも見えますし、 「書籍編集の未来はどっちだ話」にも見えます。 Webで連載されていたものが昨年書籍にまとめられました (ちなみに、重版出来したらしいです)。
◆『重版未定:弱小出版社で本の編集をしていますの巻』(川崎昌平)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4309277888/hyam-22/
この本もそうですが、 「Web連載をまとめて単行本化する」という流れは、 すっかり一般的になりましたね。 「ブログで人気を博した記事が書籍化」という流れも、 めずらしくなくなりました。
一昔前なら(現在でも)、 「紙の雑誌で連載していた記事をまとめて単行本化」 というのがよくありました。
Webか紙か電子書籍かというのは媒体の違いに過ぎず、 読者は「おもしろいものを読みたい」のである、 ということをあらためて思います。
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それでは、今回の結城メルマガを始めましょう。
どうぞ、ごゆっくりお読みください!
目次
- はじめに
- 振り返る習慣 - 仕事の心がけ
- 考えるためのメモ - 老いに備える知的生活
- 楽しく数学するコツ - Q&A
- おわりに
この記事は過去記事の為、今入会しても読めません。ニコニコポイントでご購入下さい。