「日進月歩」
人は経験を積み重ねることにより、良いこと悪いことの取捨選択がうまくできるようになるように成長していくものだと思います。
若気の至りとはよくいったもの。懐古するのは良き想い出ばかりとは限りません。あのときああしておけば良かった、こうしておけば良かった――
そうやって昔の行動を恥じるようなことは、いくつ年齢を重ねてもあるものです。月日が経てば何事にも変化が生じるのは極々自然なことだと思います。
むしろ変わらぬものなど何一つありません。そういった変化を成長の証と捉え、自分が変化して行く様を楽しむような人生にしていきたいですね。
麻雀の打ち方や考え方も、日々少しずつ変わって行くものだと思います。1ヶ月前、半年前くらいでは、その変化が微少すぎて本人でも気が付かないことが多いでしょう。
僕の麻雀人生、大きな転機は3つありました。
1度目は15年前、麻雀荘に勤め始めた時期のこと。
正確にいえばその半年前に勤めていた会社を辞めてニートになった頃
それまでは週2〜3日程度だった麻雀を、毎日打つようになってからのことです。
ダメだと思ったことを修正する機会が直ぐにあると、意識せずとも自然にそれが矯正され、繰り返し繰り返し行うことによって、少しずつ同じようなミスが減ってくる。
自然に正着打を選択できるようフォームが固まってくる。この時期から3年以上、1日たりとも休むことなく月に300〜400半荘打ち続けました。自分の麻雀の基礎は、この時期に培われたものだと思います。
2度目の大きな転機は10年前、麻雀を打つ環境の変化があった時期のこと。
それまで勤務していた雀荘を退職し、新しい店に転職した時のことでした。
その店ではメンバーの成績を店側が管理してました。
同じような環境で他人と長期間の成績を比較すること。
雀荘勤務にでもならない限り、そういった機会はなかなかあるものではありません。
半年ほどして、明らかに自分より成績の良いメンバーがいることを知りました。実力で劣っていることを素直に認め、初めて人の麻雀を参考にしてみようと思ったのです。
明らかに違っていた点は、他家に対する意識の高さです。とにかく仕掛けにせよオリにせよ、レスポンスが自分よりも圧倒的に早い。相手よりも速く、捲り合いを避け手数で勝負。いわゆる「速攻堅守型」今までの自分には全く無い発想で、早速見よう見まねで取り入れてみようと思いました。
しかし、最初のうちは全くうまくいきません。成績もむしろ前よりも悪化したと思います。それでもなお模倣と改良、試行錯誤の末試し続けた結果、なんとか自分の選択バランスに組み込めたような感触を得たのはそれから約半年くらい経った後のことでした。入店時よりも飛躍的に成績が上がり、安定し始めたことで自信をつけることができたのです。
3度目の転機は3〜4年前、自意識の変化です。人に麻雀を見られるということを意識するということ、同卓者に見られているということを意識するということです。
Aリーグで打ち始めて2~3年が経ち、採譜や観戦などそういった機会が増えてきたのも理由の1つですが、それよりも仕事柄、お客様に自分の麻雀がどう見られているかを意識するようになったということです。
「速攻堅守型」では気付かない内に相手の勝負手を潰してしまうことも多いのです。もちろん戦略の範疇なのですが、それを頻繁にやってしまうとお客様も嫌になってしまうのではないだろうか?
説明する機会があるならば、お客様にも納得していただくようにするのが理想かもしれません。しかしそれは自分自身の理想であり、お客様の理想とは全く違います。
「勝負だから仕方ない――」と、割り切るのは簡単ですが
もう少しだけ勝ち方にもこだわってもいいのでは?と思い考え直しました。
東1局・南家・3巡目・ドラ
出るをポンして打。
ホンイツとドラの重なりの天秤に受けます。以前は迷わずを打っていましたね。
東1局・西家・3巡目・ドラ
出るをチーして打。
これも以前は役牌バック一直線の打でした。
その後、と引いたところで――
チー
まだ5巡目、の重なりに期待を込めて打と。
これはプロ協会Aリーグの実戦譜です。実は勤めていたお店でも直近はこのように打っていました。そうこうしている内に、お店での成績は多少悪化しましたが
それは思っていたほどの酷さではありませんでした。むしろ異なる打ち方であっても、それを極めることによって結果を出すことができるという自信にもなりました。
数年後、今の打ち方がどう変化しているかはわかりません。
麻雀というゲームが正解のわかりづらいものであるが故
これがベストという打ち方は一生かかってもできないものだと思います。
そうやって自分の打ち方が変化して行く様を楽しむよう
今後もずっと自分自身の麻雀と向き合っていきたいものですね。
- 2024/11/29田幸選手の話
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