お立ち台で羽根扇を振りながら狂ったように踊るお姉さんたちが夜な夜な集っていたジュリアナ東京が三年で閉店した。
海外の先物取引をしている大場さんが、今世紀最高の大豊作で大安値になったシカゴの大豆で大損し、高レート麻雀ばかり誘ってきたが、先物でどれだけ負けたのか尋ねると九桁に近い八桁だったので、上には上がいると思い知った。
九月は、いわき平競輪場で六日間オールスター競輪をした程度で、秋からの競馬に備え仕事で馬券予想をし、報酬を受け取り、伊東さん、大倉さん、篠田さんから愛人としてのお手当てを貰った。
住職の大倉さんは、いつも和服で会いに来る。
着物からは線香の匂いがし、皮膚にも香の匂いが染み込んでいた。私は、むきたてのほかほかした茹で卵みたいなつるりとした大倉さんの頭を触るのが好きだった。
異様な清潔感のある頭はいつもきれいに剃られている。私と重なると、白くつやつやした肌と柔らかい肉が、どちらの体かわからなくなった。
湯上がりの血色の良い肌で、大倉さんは裸になった私の股の間で経を唱え、数珠を爪ぐり、胸のところで合掌して、じっと私を見つめている。香を焚き、おりんの澄んだ打音と余韻に包まれて、神妙な宗教儀式のようなセックスだった。
大倉さんとセックスすると、自分の気の通りが良くなるのを実感した。