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木野龍逸の「ニッポン・リークス」
2016/6/30(No.042)
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[目次]
1.東電福島第一原発事故トピック
【No.42】除去土壌再利用の会議で「何を話し合っているのかは教えられない」という環境省──これで社会の合意形成はムリ
2.ニュースにひとこと
3.メルマガ後記
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1.福島第一原発事故トピック
除去土壌再利用の会議で「何を話し合っているのかは教えられない」という環境省──これで社会の合意形成はムリ
「(議論はまだ終わっていないので)議事録は出さない」
環境省で中間貯蔵施設の担当をしている参事官補佐は、ぼくの電話取材にそう答えた。では何を議論しているのかと問うと、「話せないことがある」と、検討課題の公表を拒否された。そして、「ワーキンググループ(WG)で決まったことは、上部組織の検討会で検討している議論で出していく」ことになっているので、議論が続く限りは、WGの議事録や資料の公表はしないという考えを示した。これで社会の理解が得られると考えているのなら、市民をひどくバカにした話だ。
毎日新聞は6月27日の朝刊1面で、環境省が非公開の会議「放射線影響安全性評価検討ワーキンググループ(WG)」を開催し、放射性物質の再利用方法に関する議論をしていたことを明らかにした。
環境省は6月7日に開催された「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会」で、「減容処理後の浄化物の安全な再生利用に係る基本的考え方について(案)」(
http://josen.env.go.jp/chukanchozou/facility/effort/investigative_commission/pdf/proceedings_160607_03.pdf)
を示し、除染で発生した汚染土壌のうち、放射性物質の濃度が1kgあたり8000Bq(ベクレル)以下のものはコンクリートで覆うなどの遮蔽措置をして道路の盛り土などに再利用する方針を明らかにしている。件のWGは、戦略検討会の下部組織として設置されているもので、その存在はすでに明らかになっていたが、議論の内容は不明だった。
毎日新聞によれば、WGでは再利用の管理方法などを議論していて、管理が不要になるまでに放射能濃度が下がるまで、170年あまりかかるという試算が示されていたという。本来であれば、これほど長期間の管理が現実に可能なのかどうか、再利用の方針を決める前に結論を出してしかるべきだろう。しかし戦略検討会は、可否判断を先送りにしていたという。確かにこれまでの戦略検討会で管理期間を議論したことはない。
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東京電力福島第1原発事故に伴う除染で出た汚染土を巡り、環境省の検討会が再利用の方針を決めた際、法定の安全基準まで放射能濃度が減るのに170年かかるとの試算を非公開会合で示されながら、長期管理の可否判断を先送りしていたことが分かった。環境省は汚染土を道路の盛り土などに再利用し、コンクリートで覆うことなどで放射線を遮蔽(しゃへい)するとしているが、非公開会合では盛り土の耐用年数を70年と提示。道路の供用終了後も100年間の管理が必要で、専門家は「隔離もせずに計170年もの管理をできるはずがない」と厳しく批判している
(毎日新聞電子版 2016年6月27日朝刊)
http://mainichi.jp/articles/20160627/ddm/001/040/188000c
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福島第一原発の事故で大量にばらまかれた放射性物質を取り除く除染作業が各地で実施されている。このうち福島県内については、汚染された土壌を取り除く除染作業で発生した大量の除去土壌を、福島第一原発のある大熊町、双葉町に建設する中間貯蔵施設に30年間保管し、その後は県外で処分することが法律で定められている。その量は、最大で2200万立方メートル、東京ドーム17〜18杯分にもなる。
ところが中間貯蔵施設の建設がいっこうに進まないうえ、30年後の県外での最終処分についてはなんの見通しもない。このため環境省は、「全量をそのまま最終処分することは、必要な規模の最終処分場の確保等の観点から実現性が乏しいと考えざるを得ない」(減容処理後の浄化物の安全な再生利用に係る基本的考え方について)とし、除去土壌を再利用する方針を固めた。今後は実証事業やモデル事業などを実施し、「再生利用の本格化に向けた環境整備を行う」としている。
しかし放射性廃棄物を安全に再利用するには、事故前からの省令でクリアランスレベルという基準が核種ごとに定められており、たとえばセシウム137は1kgあたり100Bqを超えないことされている。WGでは、管理不要なクリアランスレベルまで濃度が下がるのに170年という試算を示したという。
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