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木野龍逸の「ニッポン・リークス」
                   2017/10/31(No.52)
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[目次]
1.東電福島第一原発事故トピック
【No.52】廃炉の責任は誰が負うのか(2)──燃料デブリ取り出しは耳かきから
2.メルマガ後記
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1.福島第一原発事故トピック

廃炉の責任は誰が負うのか(2)
──燃料デブリ取り出しは「耳かき」から

<原発避難者による「生業訴訟」で判決>
 10月10日、原発避難者訴訟のうち最大の、約4000人の原告が参加している「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟(生業訴訟)の判決が福島地裁で出た。判決では、2002年に公表された国の長期評価には信憑性があり、この予想に従って対策をしていれば事故は回避できたというもので、制度的にも法律的にも手続き的にも、極めてすっきりとした筋立てになっていた。

 また、事故時に水戸在住だった原告の被害も認めており、被害が福島県にとどまらないことを裁判所が認定したのは大きな意義があった。このほか、国(と東電)が定めた賠償基準(中間指針及びその追補等)を超える損害も認められており、この点でも判決は現状に一歩、踏み込んだものといえた。

 他方、被害の算定は厳しく、例えば水戸の原告の精神的損害の賠償額は1万円にとどまる。中間指針では福島県外の損害は認めていないので、認められたのは成果とはいえ、あまりにも金額は少ない。

 また、原告が求めていた「ふるさと喪失慰謝料」は実質的に認められていないほか、「原状回復」は「心情的には理解できる」としながらも、その方法が定まっていないという理由で却下された。要するに、現実には放射線量を下げる方法がないということだ。原告団は声明で「司法の限界を示している」とし、今後も法廷内外で要求していく方針だ。

 生業訴訟の判決は、前橋、千葉に続いて原発避難者による集団訴訟では3つ目の判決になる。これまで、前橋地裁では国と東電の責任を認めたが、千葉地裁は責任は東電だけにあり国にはないとした。もっとも、この千葉地裁の判決はどうもよくわからない日本語で、何度読み返しても筋が通らないように感じた。詳細は日を改めて紹介したい。

 さて、ここで前回のおさらいから。政府が発表した工程表について、前回は使用済み燃料の取り出しやデブリ取り出しのスケジュール変更についてお伝えした。今回はそれに加えてもう一点、福島第一の最終的な姿が見えなくなったことについてお伝えしてみたい。

<建屋解体の記載がなくなった>

 前回書いたように、工程表はこれまでに3回の改訂を経て今は第4版になっている。これまでの工程表の変更点を改めて確認していく中で、とても大きなことをひとつ、見逃していたことに気がついた。これは迂闊だった。

 「建屋解体」の目標だ。