閉じる
閉じる
×
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
木野龍逸の「ニッポン・リークス」
2017/12/3(No.53)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[目次]
1.東電福島第一原発事故トピック
【No.53】県民健康調査についての諸々が気になる件
2.メルマガ後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1.福島第一原発事故トピック
県民健康調査についての諸々が気になる件
<県民健康調査の混乱の経緯>
福島県で行われている県民健康調査の結果、当初の予想をはるかに超えて発生している小児の甲状腺ガンについての見解が、混乱している。本来はシンプルに考えられるはずのものが、複雑な要素を入れ込んでいるために話が迷走しているようにも感じる。
県民健康調査は、福島県が福島県立医科大学に委託する形で実施している複数の調査や検査の計画全体を指す。県民健康調査で実施しているのは、事故直後の行動調査から被ばく線量を推計する基本調査のほか、チェルノブイリ原発事故で唯一、放射線との因果関係が一般的に認められている甲状腺ガンに関する検査など4つの詳細調査が行われている。
当初は「県民健康管理調査」といわれていたが、調査の実施状況や計画を第三者的な視点から確認するという名目で県が設置した「検討委員会」が、公開の会議と、その存在すら明らかにされていなかった秘密会議を使い分け、議事内容が事前に方向付けられていたことなどが明らかになった後、「管理」というのは上から目線だなどという批判が県議会などから出たこともあり、2014年度から現在の「県民健康調査」に名称が変わった。
また検討委員会のメンバーも、当初は実施者である福島医大の副学長、山下俊一氏が座長を努めていたことも問題視され(そもそも検討委員会は、福島医大の実施状況を確認するための組織なので利益相反ともいえた)、後に退任するという大きな方針変更もあった。
そうした混乱の末に、今の検討委はある。
<増え続ける甲状腺がん>
県民健康調査で行われている調査のうち、もっとも関心が高いのが、事故当時18歳以下だった人たち約38万人への甲状腺検査だ。検査は超音波によるエコー検査で、検査日時に合わせて指定の場所に行くか、学校での集団検診の形で実施してきている。
実施している福島医科大学が検討委員会に提供した資料によれば、2017年6月30日までに194人が悪性または悪性疑いの甲状腺がんと診断され、そのうち155人が手術を受けて、1人をのぞいた154人が悪性腫瘍と確定している。
この記事は有料です。記事を購読すると、続きをお読みいただけます。
入会して購読
この記事は過去記事の為、今入会しても読めません。ニコニコポイントでご購入下さい。