三浦半島が一年でもっとも賑やかになるのは真夏ではない。ゴールデンウイークだ。客足が分散する真夏と違い、限られた休日に人が集中して訪れるのだ。とはいえ逗子葉山には宿泊施設もなければ道路だって一車線しかない。もともと大量の観光客を捌いて経済を回そうという商売っ気に乏しい、どちらかといえば穏やかでのんびりした人が多い町なので、観光客が大量消費するようなめぼしいものはない(と僕自身は感じている)。

 ならば人々は何を求めてこの時期、逗子葉山を訪れるのだろう。それは、子連れ客が多いことでも分かる。都会暮らしの彼らが求めているのは