スペインで暮らしている日本人の友人と久し振りに食事をした。元闘牛士のオーナー以下全員スペイン人で切り盛りしている渋谷のスペイン料理店で本場さながらのパエージャを食べた。店内には陽気なスペイン語が飛び交い、フラメンコギターの生演奏が響いていた。言っておくが店を選んだのは僕ではなく彼だ。何年か前に帰国して食事することになった際、彼の為に和食店をいくつかピックアップしておいたのだが「気が進まない」と自ら足を向けたのがこの店だった。要するに彼はスペインが大好きなのだ。以来スペイン在住の彼と日本で食事をする時はいつもこの店だ。
「スペイン人の陽気さは日本にはないよね」
彼はそう笑いながら流暢なスペイン語でスペイン人スタッフに同意を求めた。
コメント
コメントを書く小原さん、はじめまして。
以前から小原さんの文章が好きで、遅ればせながら、「草の根広告社」拝読させていただきます。
まさに今、私は「世の中捨てたモンじゃない」と思わせてくれるモノをひとつ、ふたつ見つけ、すると多少イヤなことかあっても怒りの感情はどこかに追いやって、日々穏やかに機嫌良く過ごせる、ということを実感しながら生活していたので、小原さんの文章に激しく頷いてしまいました。
人の命について、考えた頃…。あまりの苦しさに、逃げ、何も感じないフリをする様になっていた自分。人間として、助けたかったという思いだけは、共通であって欲しいという願い。
読んでいると、小原さんのタフさに感心です。蓋をする人が多い中で、希望を感じます。
>>2
ありがとうございます。僕も年相応に色々なことがありますが、こっちに移住してから海面に反射する光を見ているだけで「まあいいか」と思うようになりました。誰かに言いくるめられたり懐柔されたりではなく自分の価値観で「世の中捨てたもんじゃない」って思えるものがあるって大事ですよね。これからもよろしくお願いします。
>>3
「1年に3万人以上が自殺している」ということに向き合ったのは「GO GO HEAVEN 自決少女隊」という漫画原作とドラマの脚本を書いた30代の時です。向き合って考えすぎて僕自身、取材していた心療内科医の方に鬱病になってますと診断されたんですが、その時、傷が治る過程でできた瘡蓋が少しだけタフにしてくれたような気がします。阪神淡路大震災よりも東日本大震災よりも多くの人が自ら命を経って亡くなっているのに、誰もがもっと積極的に手を差し伸べたり理解して救おうとしないのは生きている僕らの方が人の自死に麻痺しているからだったり心のどこかが狂っているからなんだろうなと思ってしまいます。おいしい牛肉は食べたいクセに牛の解体を直視することからは目を背けているみたいに。
自分自身も”寡”の立場にあり、年のせいもあると思うのですが、なかなか希望を持つことができず欝々としてしまう日は多いです。日本人の精神性とスペイン人のそれとは大きな開きがありますね。これって気候風土の違いが大きいんでしょうか。たしかに、からっと晴れ上がった日は気分も良く、反対に暗くじめじめした日には気持ちが落ち込みます。私は今の日本には底知れぬ閉塞感を感じています。ネットやメディアでは常に誰かが誰かを攻撃し批判しているし、自分をネガティブ方向に追い込んでしまいやすい空気がそこここに蔓延しているように思えます。そして、人はますます孤独になる。やっぱり、人と人は面とむかって対話し、お互いを思いやる気持ちを肌で感じ合えることが大切なんですよね。
>>6
底知れぬ閉塞感。確かにそうですよね。スペインで暮らしている友人もだから日本は好きじゃないそうです。今いる場所で周囲と理解し合うことも大事ですが、外に出る、というのも前向きな選択肢のひとつとして念頭に置いておいた方が良いと僕は常々思っていますし、だから学校にも会社組織にも、そして最近は都会にも背を向けて生きているような気がします。そして、ここじゃなくても、世界のどこかに理解し合える人はいるんだなと日々実感しています。
ポジティブな考えを1つ持つことで、今目の前にある苦難に明かりが指す、そういう考えをあるときから持つようにしました。でなければ、今の社会で生きていくことが難しいように思えたので。
スペイン人のポジティブな考え方、少しでも取り入れることができれば、日本人の自殺率も下がっていくかもしれないですね。
>>8
僕は根っからの心配症&ネガティブ人間なのでポジティブに笑っていられる人(うちの妻もある意味そうなんですが)はすごいなと思うし、羨ましいです。自分と正反対の誰かが側にいることでブラマイゼロになったらいいですよね。