ようやく家族水入らずの時間が訪れたのは13日になってからだった。父が亡くなって初めて迎える新しい年。喪中なので初詣にも行かず、出し損なっていた年賀状の返事を書くこともない。漁と畑が休みなので店も空いていない。初売りに人が殺到するような商業施設のない海辺の町では三が日は神社に行くぐらいしかやることがなかったんだということを改めて知った。