季節外れの雪。早過ぎる桜の開花。目の前の事象が去年父が亡くなったときに刻まれた心象風景と重なる。三月の命日を前に執り行う予定だった父の一周忌法要を延期することにした。直前まで家族が集まるくらいはと楽観視していたのだけれど、その二週間前に弟が発熱したのをきっかけに延期を決めた。年老いた母と高齢の住職の万が一を考えて、というのが表向きの理由だが、実際はマスクの下で萎縮していく心が自粛させただけなのを父にだけは見抜かれているような気がした。