風呂場から娘の啜り泣きが聞こえた。心配した妻が様子を見に行くと、その日学校であった嫌なことを思い出して泣いていたという。
「なんで帰ってすぐに言わなかったの?」
妻が慰めながら質問した。帰ってきたときは笑顔だった。娘がその日あったことで泣くときは大抵そうだ。ずっと笑っていたのに、夕食の途中とか、寝る間際になって、不意に思い出したようにさめざめと涙を見せる。
「だって忘れてたんだもん」
そういうものなのかもしれない。

「夕暮れの境内で」
この記事の続きを読む
ポイントで購入して読む
※ご購入後のキャンセルはできません。 支払い時期と提供時期はこちら
- ログインしてください
購入に関するご注意
- ニコニコの動作環境を満たした端末でご視聴ください。
- ニコニコチャンネル利用規約に同意の上ご購入ください。
新着記事
- 「いつから集まるのに理由がいるようになったのだろう」 2日前
- 「夏蜜柑は冬に色づく」 4日前
- 「満員電車が嫌いな一番の理由」 1週間前
- 「静か過ぎる夜だった」 1週間前
- 「飛び方を知らない鳥は自由に飛ぶ」 1週間前