不謹慎だけれど、小さい頃は台風が来るたびに、なぜだかわくわくしたものだ。学校が休みになるのが嬉しかった。閉め切った雨戸を叩く激しい風雨や、世界から光と音を消し去る停電にさえ興奮した。そして仄暗い家の中で蝋燭を灯し、本を読んで静かに過ごせるのが好きだった。

 最初に読書の面白さを教えてくれたのは、7歳か8歳のとき、台風の真っ直中で読んだ