急激な気温の上昇で辺り一面が濃い海霧に包まれている。時折り重たい雲が立ち込め春時雨が通り過ぎる。すっきりしない空模様に思わず溜め息が漏れる。そして改めて考える。「春を待つ」というのは、こんなにも得も言われぬ不安や一抹の侘びしさと隣り合わせのものだっただろうか。