春になると毎日キャベツばかり食べるようになったのも、この町で暮らすようになってからだ。三浦半島は全国でも有数の春キャベツの産地なのだ。134号線を走ると山の向こうまで続く広大なキャベツ畑がそこかしこに点在している。畑の入り口などにある無人販売所には朝収穫されたばかりの瑞々しい春キャベツがひと玉100円という手書きの値札とともに並べられている。僕の小さな菜園で育てたところでその圧倒的な量と安さの前では所詮太刀打ちできないと春キャベツだけは一度も栽培しようとは思わないくらいだ。 

 もうひとつ、春になるとキャベツばかり食べるようになった理由のひとつに、