• このエントリーをはてなブックマークに追加
マクガイヤーチャンネル 第26号 【2015夏映画ガイド その2】
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

マクガイヤーチャンネル 第26号 【2015夏映画ガイド その2】

2015-08-03 07:00

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    マクガイヤーチャンネル 第26号 2015/8/3
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    こんにちは、マクイガイヤーです。


    月に2回の生放送をお送りしているマクガイヤーチャンネルですが来月は夏休みスペシャルということで3回……いや、4回お送りする予定です。




    まず8/6(木)20時より、最近のマクガイヤー8月号と題しまして、いつも通り最近面白かった映画や漫画やについてまったりとひとり喋りでお送りします。

    『リアル鬼ごっこ』と園子温

    『チェイサー』と手塚研究漫画

    ・『カツシン』と日本俳優の評伝

    27時間テレビとフジテレビの「ピンチ」と『ザ・ノンフィクション』

    『インサイド・ヘッド』と『はたらく細胞』

    等々について話すことになると思います。




    次に8/14(金)19時より、自宅からニコ生中継を行います。

    昨年のように自室にあるあれやこれやを、初めて我が家を訪れるアシスタントや皆さんに紹介する予定です。嫁と娘が実家に帰る日が決まりましたので、やっと調整できました!

    ちなみに昨年の内容はこちら。


    この日だけいつもより放送開始時間が早まりますのでご注意下さい。



    翌日8/15(土)20時から、友人であるオタク大賞名誉審査員のナオトさんをお呼びして「アラフォーオタクの生態」をテーマにトークを行う予定です。

    ナオトさんのブログ : http://otabanushi.blogspot.jp/

    コミケの後にでもご覧ください!



    そして8/22(土)20時から、ニコ生マクガイヤーゼミを行う予定です。

    内容は……すみません、未定です。いまのところ、戦争映画かアメコミをテーマにお送りする予定です。もし希望があればコメント欄等で連絡してね!




    さて、前回の続き、今年の夏映画鑑賞ガイドです。

    ちなみに星は五つで満点になっております。



    『リアル鬼ごっこ』

    園子温の映画の特徴として、観客をあっと言わせるエログロと、少年のようなイノセンスの同居があります。一見相反するもののように見えるその二つは、「世間」や「良識」への反発として園子温の中では密接に繋がっているのでしょう。

    今夏は『新宿スワン』『ラブ&ピース』そして『リアル鬼ごっこ』と、園子温映画が三作連続公開されるという信じられない年になりました。ポレポレ東中野でしか園子温映画が観られなかった時期を思い出すと、本当に信じられません。

    ただ、『新宿スワン』と『ラブ&ピース』は園子温のエログロというよりもイノセンスが目立つ映画でした。もしかすると園子温は良い意味でも悪い意味でもこのまま第二の三池崇史化するのかな……などと思っていたのですが、『リアル鬼ごっこ』には『自殺サークル』の頃の園子温に戻ったかのようなエログロさがありました。


    本作の冒頭、もの凄い風で大勢の女子高生が○○されます。これは実際に映画館に観にいって、驚いて欲しいです。事前情報ゼロで観にいった自分は心底驚きました。

    何故驚いたかというと、女性校生が○○されるのと同時に、風でスカートがめくれて、パンツがめくれてしまうのですね。以後、本作は笑っていいんだか怖がるべきなのか分からない描写が連続します。

    つまり、不条理です。登場人物が「シュールに負けるな!」と言い出すシーンにて、不条理さは頂点に達します。


    そもそもシュールレアリスムには、不条理な世界への嫌悪が根底にあります。第一次大戦に看護兵として従軍したアンドレ・ブルドンが、死への恐怖に正気を失った若い兵士たちを見て、「人間の精神を蝕む科学文明よりも、意識下の世界を研究する方が芸術なのではないか」と考えたことがシュールレアリスム運動の始まりにあります。ですが、本作においてトリンドル玲奈が涙やら涎やらを垂れ流しながら恐怖する(名園!)対象は、まるで進んだ科学技術の産物による兵器――毒ガスや機関銃が大量に使われ、大量の死傷者が出た第一次大戦のごとき不条理なのです。シュールという言葉の転倒がここにはあります。もう、なにがシュールでなにがシュールでないのか、自分には分かりません。


    ただ一つ分かるのは、女子高生というか、女性への偏愛と嫌悪の同居です。役者を追い込むことで有名な園子温ですが、出世作となった『愛のむきだし』や『冷たい熱帯魚』や『恋の罪』といった映画では、女性嫌悪と女性崇拝が複雑に同居していました。本作に主人公は「ミツコ」「ケイコ」「いずみ」と三つの名前で呼ばれますが、これらは全て園子温が過去に交際した女性の名前で、過去作にも同名のキャラクターが出ています。


    本作は「支配されていた女性が男性社会に一矢報いる」という、それなりに納得できる結末を迎えますが、園子温が本気で女性の解放を考えているのか、それをお題目にして女性を追い込む映画を撮りたいだけなのか、判然としません。なにがシュールかって、これこそがシュールです。

     
    この記事は有料です。記事を購読すると、続きをお読みいただけます。
    ニコニコポイントで購入

    続きを読みたい方は、ニコニコポイントで記事を購入できます。

    入会して購読

    この記事は過去記事の為、今入会しても読めません。ニコニコポイントでご購入下さい。

    コメントを書く
    コメントをするにはログインして下さい。