1―事実関係;CBS世論調査6月14-17
問1「鉄鋼・アルミにトランプの関税をかける決定の賛否(出典"Do you approve or disapprove of Donald Trump's decision to impose new tariffs on steel and aluminum imports?")
賛成 反対:
共和党支持者: 71% 17%
民主党支持者 10 73
全体 36 48
問2「幾つかの国は彼等の製品に関税がかけられたら、米国製品に関税をかけると言っており、貿易戦争と呼称されている。貿易戦争があった場合、結局米国経済に良くなるか、悪くなるか、変わらないか、"Some countries have said that if the U.S. puts tariffs
この記事は過去記事の為、今入会しても読めません。ニコニコポイントでご購入下さい。
米国民の支持動向を見極めるうえで大切なのは、
①政党支持者、②国益優先者、③国益より自己益優先者、④浮動票の4つに大別されるのではないか。この中で一番問題が大きいのは、③のように日本で行われているアベノミクス(国家財政無視の無制限金融緩和)と同じような、無制限な米国の国家赤字の継続でしょう。
国家の存亡は、国家赤字であり、トランプ大統領の目指す方向は正しい。日本にとっては厳しい方向であるが、今までは、日本一国がやり玉にあがり、大幅な為替変動に耐えてきた。絶えることに懸命で次の展開がなかなか出てこなかったが、他国通貨が上がり、品質、新製品開発力で素晴らしい潜在力を持っている日本にとっては大きな飛躍のチャンスとしてとらえるべきでしょう。チャイナリスクなど、対策を取っており、中国向けの部品をベトナムとかインドネシア、タイなど東南アジアの国々に切り替えていけば、商品によって多少の差はあるが、大きな被害を被らないで済むのではないか。
米国民の意見が割れているということは、その分だけ米国という国の健全性を示しているともいえる。人々の利害は異なって当然だから。正義とかjusticeというような、人によって内容が全く異なる可能性のある用語を用いて自分の行動を説明するより、America First!と叫ぶトランプ氏の表現の方がわかりやすい。歴史上ほとんどの戦争は、敵味方それぞれが我に正義ありと信じて戦われたものであるから、正義なんて言葉は坊主のお題目程度の意味しかない。そう思えば、トランプの言葉と行動も腹を立てることはないことがわかるだろう。EU諸国がオウムの処刑を残虐で無意味なんて批判しているのは、全く馬鹿げている。EU諸国も原爆をはじめとしてあらゆる武器を備えて、「自分たちの正義」のためには、相手国の民衆を無差別に殺戮する準備を整えているのだから。大方の日本人にとって、原爆やミサイルは正義に反するものだが、北朝鮮からすれば(EU、米中露などと同様に)彼らの正義を守るための最も重要な道具である。
鉄鋼・アルミの輸入関税引き上げの結果、ハーレーが工場を国外に移転させることで、米国内に大量の失業者が出ることになった。
さびた工業地帯(ラスト・ベルト)を再活性化するはずのトランプが、ラスト・ベルトを拡大させる政策をしている。これでは、再選は困難だろう。
極貧の生活を強いられ、五大湖地方の産業の衰亡と共に生活保護受領を余儀なくされてきた層はプアホワイトと呼ばれ、共和党の熱烈支持者だ。その集団心理は倒錯し、他人種に対する優越意識で固まっている。彼らは「自分らがどん底に没落したのは中国のせいだ」と断じて憚らない。彼らは日本にも多く存在する「中国人嫌い」と化している。
ユダヤ系の米国人の多数はインテリで理性に富み民主党支持者が多く、黒人、ヒスパニックも大勢として民主党寄り。一方、米国支配層の金満家たちは殆どがユダヤ人。彼らはコスモポリタンで、執着するのは保有する国際規模のファンドの利回り向上だけだ。米国権力はこれら金満家たちが出すファイナンスでCIA,NGO等を通じて「ウオール街が独裁する世界」、言い換えれば、「グローバリズム」の徹底化と武力による世界支配に向けて日夜切磋している。
続く
>>4
続き
そういう私的強欲に根ざすだけのグローバリズムに異論を呈する中国を米国支配層は好きになれないのは当然のことだ。さりとて、彼らはトランプの高関税政策にも賛同できないことは明白。トランプと支配層は根本的にねじれている。
はっきりしていることは、米国が今から産業第一の国になることは無いということ。プアホワイトの夢が実現することは無い。プアホワイトは騙されているのだ。ここで警戒すべきはトランプと米国支配層が結託してプアホワイトの中国人嫌いだけを抽出し、濃縮してとんでもないことをしでかすことだ。我々は日本全土を米国の対中戦略に提供し、自衛隊まで米軍に編入されているので、米国が戦争起こせば、間違いなく巻き込まれ、抵抗出来ない。そういう歯止めを全く欠いた状況に我々はある。今からでも遅くない。その歯止めの設計と構築を急ぐことは喫緊の課題ではなかろうか。
米中貿易戦争は対岸の火事ではない。
これほど国民が分裂していると、「熟議」などは絵に描いた餅で、お互いが言いたい放題言った後は、なんらかの仕組みで決着をつけるしかないだろう。それが米国の場合は「投票箱」であり、トランプはそれをよく知っているということになる(※)。
しかし「投票箱」では、意思決定の効率の悪さや予見性のなさは否めない。中国は米国の悪いところをギュッと煮詰めたような国だが、皮肉にも「民主主義」ではないおかげで、独裁ゆえの意思決定効率の良さで、たしかに30年後くらいには米国を上回るかもしれないという気が、いまの米国を見ていると、少しする。
なぜ上回る可能性があるかというと、政治家に庇護された科学者や技術官僚が「民主主義」を抑圧しつつ科学的合理的な政策をおこないやすいからだ。
たとえば中国は原発設置を今後も大々的に続けようとしているが、技術合理性を追求すれば、それらの原発は、炉心溶融の心配のない第4世代原子炉となり、事故の可能性は(今でも発電量あたりの死者の数は原発のほうが太陽光発電よりも少ないというデータもあるが)さらに減るだろう。その一方で素人が原発政策にクチを出す日本では、今後新規の原発は一基も望めない。
もし2050年の超大国が中国だったとして、それは今の日本の「反米親中派」の予測が正しかったのだろうか?
否。日本の「反米親中派」が180度まちがえ、さらに180度まちがえたからでしかないだろう。
※ 分裂が強烈だと「熟議」などは絵に描いた餅ということは理解しているヒトビトも、頭がイデオロギーで腐っていると、平気で、北朝鮮と「よく交渉しよう」などと言い出す。「投票箱」のない国際社会、あるいは国連があってもそれに従わない国に対しては、軍事力しか「投票箱」にかわるものはない。
支持基盤の志向に沿った自然な行動とはいえ、その支持基盤は合理的な判断を下しているのか。それはなさそうだが、先だって生放送に出られた立岩氏に言わせれば、「トランプにとって、そんなことは どうでもいいこと」なのだろう。
多くがトランプ支持に回っていると言われる白人低所得者層にとって本質的な問題は1%対99%だろうが、そこにメスが入ることはない。