ハーバート・ノーマンは一九〇九年生まれ。カナダの外交官。『日本の兵士と農民』(岩波書店、一九五八年)原著は一九四三年カナダにおいて「日本の徴兵制度―反動と侵略の前兆」の題で出版される。その引用。

・この徴兵令は多年にわたる封建制度にすぐ引き続いて出来たものだけに、影響が非常に大きく、ほとんど革命的と言っていい程の法律であった。封建制度の時代には、武器をたずさえる支配階級が厳重に規定され、制限されていたのに対して、農民を主とする、武器をもたない被圧迫階級は、いやしい階級であるとか、武器を持たせるほどに信頼できないとか考えられていた。実際の所、普通徴兵制を敷くことは余りにも革命的な考え方であったから、それを最も頑強に提唱した大村益次郎は,一八六九年、兵部大輔の時、憤慨した同藩の反動武士に暗殺された位である。 

・この関係の内には、封建支配階級のごく一部分が農民を非常事態に対処するた