論評「高い防波堤に対する間違った安心(The False Comfort of Higher Seawalls)
出典、By Paola Rosa-Aquino、October 29, 2019,new republic
・二週間前、超台風、台風19号(Hagibis)が日本を襲い、前例ない雨を降らし洪水,地崩れ
を起こし、80名以上が死亡し、数千軒は浸水し、電力に損傷を与え、不通とした。更に嵐
が再来した。
・日本は自然災害と戦うため数十億ドルインフラに投資してきた。22000マイルの海岸線の40%が防波堤、波除けで覆われている。
・しかし台風19号のような過酷な気象現象が常態化している中、諸政府はかかる高額の技
術的解決が維持しうるのか、もしできないとしたら代替は何かを考察せざるを得ないであ
ろう。
・人間が自然を制圧するという考えは日本独特の問題ではない。米国では事態は一段と悪
い。
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日本人と西欧人の自然に対する姿勢が全く異なっていることを指摘している。
西欧人は、自然に対して征服できるもの,征服されるものという考え方が支配しているが、日本人・東南アジアの人々は、柔軟な発想で、自然を心と同じように移り変わり恒常性を確保できないものと考えている。西欧人は、自然に対して負けるという考え方がなく、このご投稿のように、事前に準備していた排水設備を稼働させることがなかった。貯水池を守るために都市を洪水させたのである。主客転倒であるが、頑固というか,強硬な発想が自然に負けることを許さなかったといえる。愚かな民族といえる。
日本とか東南アジアの人々は、征服できない自然に対して常に謙虚であり、常に災害を前提にした生活をしており、今後は、洪水を前提とした海・河川流域生活体制を徹底し整備していかなければならないのでしょう。具体的には、海・河川から一定の距離以内に生活整備を作らないとか、建築物は鉄筋コンクリートにする、数メートルは浸水を前提とするなどの配慮をしていかなければならないのでしょう。
「27トリオンガロンの雨は二つの貯水池を救うために西ヒューストンを意図的に洪水にさせる」というくだりにこの評論のポイントがあると私は思う。
今後益々進む地球温暖化に伴う次元の違う高レベルの降水量はダムの治水効果を無にすることを意味する。日本も「治水」とか言ってやたらとダムを造って来たが、今後は「治水」という観点を根本から考え直すべきだ。
神奈川のダムは19号時放水でダム崩壊のリスクを避けた。日本人のことだから、つまり、10メートル以上の津波を想定できなかったお粗末な頭しかないのだから、今後、頻繁化する想定外の降水量が起こるとあっという間に貯水が溢れダム両サイドの山が削られ一挙に土砂を伴った大洪水が起ころう。
今からでも遅くない。私が先日のコメントで提案した「ハザード地区への居住を(今後100年掛けてでも)禁じて行く方向」で日本の政治は安全保障の第一項に掲げ取り組むべきだ。
追記:「中国が怖い」とか「北朝鮮が怖い」と何も知らない日本人に言いふらして多額な軍事費を上乗せする愚にしか能の無い政権は退場してもらわねば、地球温暖化の恐怖はあっという間に襲って来ますぞ。
「巨大インフラ」か「災害出る前提の体制作り」かと考えがちであるが、この著者の主張は「巨大インフラ」だけに頼って安心していてはならない、総合的な対策が必要という当たり前のことであろう。
最近、量子コンピュータが進歩しているというニュースがあったが、これは良いニュースだとおもう。RCPシナリオ作成自体、コンピュータシミュレーションなくして不可能であるが、コンピュータの進歩によってさらにRCPシナリオの精度があがるだけでなく、ヒューストンならヒューストンの局地的な予報の精度が向上することも期待でき、対策を有力に支援するであろう。そして先進諸国の、とくに都市部の防災上のポイントは、差異よりも共通する点や互いに参考になる点が多く、さらに密な情報交換を関係部署に期待する。
ところで中国は、最大の温室効果ガス排出国であるのに、RCPシナリオへの寄与はいままではまったくなく、また学者が政府から独立して意見を表明できるのかどうかもわからない。こういうあたりが、経済大国ではあっても中国が尊敬されない理由や、中国の拡大が恐れられる理由のひとつになっている。変貌を期待したいが、まず無理であろう。