1:ゴッホから弟テオへの手紙

(標題の引用に加え)

〈北斎を見て「あの波は爪だ、船が爪に掴まれているのを感じる」と君の手紙にあったけれども、北斎も君に同じ嘆声をあげさせたのだ。彼(北斎)の場合は線とデッサンによっている。〉出典:『ファン・ゴッホ書簡全集』(みすず書房、一九六六年)

2: エミル・ベルナールも著書『ゴッホの手紙』(岩波書店、一九五五年)に次の文章を記している。

〈我々よほど日本版画に熱中していたと告白せざるを得ない。〉

〈我々はこれ(版画)を眼と精神の糧にしようと誓い合った。近代芸術に対する日本の影響を忘れてはならない。それは人々を活気づけ、装飾的感覚を蘇らせ、鑑賞家を在り来たりの無型式な引写しや平凡さから離脱させるのに役立った。ヨーロッパの伝統的な形式からはみ出す危険が伴ったにもかかわらず、我々によい流派を形成させた。〉

〈ブルターニュ地方の旅行中、アルルから友情のこもっ