1:今日国際政治、特に安全保障上の最大課題は①「ウクライナ戦争」、②ハマスのイスラエル攻撃に端を発したイスラエル対アラブ諸国の戦い、台湾問題を中心とする米中の緊張である。
②ハマスのイスラエル攻撃に端を発したイスラエル対アラブ諸国の戦いでは、パレスチナとの戦い、レバノンのヒズボラとの戦い、イエメンのフーシ―との戦いが中心である。 しかし潜在的にシリアは極めて重要な位置にある。
アサド政権は国内では弾圧を行ったが、イスラエルに対して好戦的な対応はほとんどとってこなかった。
2:こうした中でのアサド政権の崩壊である。
戦略的に重要な位置を占める動きに、安保理五カ国の、米国、中国、ロシア、英国、フランスのいずれも関与していないのである。
トルコが資金提供してはいるがこれはシリア北部にいるクルド人をけん制する動きであり、アサド政権の転覆まで目指す者ではなかったろう。
3:こうした中で大シリア解放機構(
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シリア;アサド政権の急速な崩壊は外部の人間はほとんど予想できず。であれば今後の展開も予想しうる能力はない。中東情勢に多大な影響を持つシリア情勢で、今度の政変には米、英、仏、露、中のいずれもが関与せず。米国は大シリア解放機構(HTS)をテロ集団とし首謀者の首に報奨金をかけてきた。
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コメント
コメントを書くアラブの春は、SNSによって起こされた革命と言われている。SNSで反体制派を組織して、その反体制派の中に欧米の兵器を供与し革命を引き起こさせた。
外見的には独裁政権に対する若者の不満が爆発して引き起こされた民主主義への戦いのように見えるが、現実的にはアメリカのNSA及びCIAによって引き起こされた内戦である。
結果として中東に残ったのは、大量の武器とともに力と暴力が支配する世界であり、大量の難民が発生しヨーロッパに流れ込んだ。武器供与に関与した欧州は、罪悪感もあり難民の引き受けを行ったが、結果的には移民排斥運動による右翼勢力の躍進を生んだのが現状である。
唯一残っていたのがシリアのアサド政権であったが、大量の武器を持った暴力を抑えるための暴力が日常茶飯事となり、政権崩壊との結果に至った。しかし他の中東諸国と同じように、暴力による戦いは憎しみしか生まず、力と暴力が支配する混沌としたシリアになると考えられるし、イスラエルへの攻撃などは考えられない状況下に置かれると思われる。
このアラブの春を引き起こした中心国である、中東難民問題とは無関係の米国と、中東における存在感を増したイスラエル両国の、“こんなに上手くいくのか”という高笑いが聞こえきそうだ。
アサド政権の崩壊から、印象として感じているのは次のようなことである。
①イランが主導する「抵抗枢軸」は弱体化した。
②イスラエルは二国家解決を破棄して、大イスラエル建設に向けてさらに条件が整った。
③トルコはクルド人の抵抗を抑止するためにシリアを傀儡にしたいだろう。
https://www.middleeasteye.net/news/whats-next-turkey-syria
④アラブ諸国はパレスチナ人よりも、イスラエルやイランを含む地域全体の安定を選択した。
⑤ロシアはアサド政権崩壊を容認した。
https://english.iswnews.com/36843/a-brief-essay-regarding-the-russian-federation-view-on-syrian-downfall/
⑥トランプは、アメリカ帝国のこの問題への関与に否定的なので、更に混乱が続くと予測か?
イスラエル、トルコ、サウジアラビアは利害が一致。ロシア、中国はそれを容認、アメリカ帝国も容認だが、トランプは一歩引いてみている。イランは中露、サウジアラビアとの関係を重視して、渋々容認というカンジだろうか?
となると、関係各国の思惑どうりに、シリアの新政権が国内を安定化させられるか、が注目点ではなかろうか?また、イランがこの状況下で耐え忍び、中露主導の新しい世界秩序=多極化に賭けるかどうか?も注目点だと考えられる。
だが、パレスチナ人は置き去りにされている。
私は米国かぶれの高校生でしたが、エジプトのナセルがスエズ運河を国有化した時はそれに感動したのを覚えてます。それ以来ずっと反イスラエルです。
ナセルの中東戦争は散々の敗北でしたが、あの時のイスラエル軍はとても強かった。イスラエル軍の優秀な兵器と高い士気がナセル軍を圧倒しました。その後、米国が中東問題に介入してきてアラビア半島に安定をもたらすどころか混乱し始めて今日に至っています。理由はただ一つ。米国の利益。分かりやすく言えば、米国資本の利益率が米国の行動の原理だからです。もっと分かりやすく言えば、米国に従う兵は全部傭兵なのです。そこには理性はゼロ。燃え盛る理念は全くない。
アサドの退位が先生がおっしゃるイスラム原理主義的大シリア解放機構をもたらしたのであれば、私の期待(アラブ合衆国の創設)に沿って事態が推移して行くかもしれません。ナセルの果たせなかった夢が実現するかもしれません。