はじめに
皆さんは、どのような手段で日々のニュースや情報を得ているだろうか。
朝、起きて新聞に目を通す。仕事から戻った夜、テレビの報道番組を観る。最近では、インターネットのニュースサイトを情報源にしている人も増えている。
新聞やテレビの報道では、しばしばその「客観性」が問題となる。選挙前の番組などですべての政党の意見を紹介するのは、「客観報道」を意識してのことだ。ただし、大手メディアが常に客観的であるとは限らない。世論を誘導しようとする恣意的な報道も少なくないのが実態だ。
そもそも、たくさんの出来事の中から何をニュースとして取り上げるかは、新聞社やテレビ局の判断である。メディアが取り上げない出来事を私たちが知る機会はほとんどない。また、どのような報道がなされるかによって、同じニュースへの見方が全く違ってくることもある。
私が本書をまとめたのは、読者が日ごろ接しているニュースに
コメント
コメントを書く私たち日本人は、高度経済成長で得られた豊かな生活が忘れられず、忘れられた数十年といって、開発途上国などが豊かになっていくのを悔しい思いをして眺めてきました。しかし、民主党政権のときは、あれほど経済成長よりも財政再建が待ったなしに迫っているということで、三党合意、消費税の導入を決めました。財政再建で国の方向を決めれば、国民は厳しい生活がまっているが耐えられるかなと、懸念していましたが、政官財がそろって足並みをそろえたのです。ところが、野田総理が解散すると、自民党は、党内選挙によって安倍氏に変わると同時に、米国の要求に合致した効率、生産性を重視した競争型市場経済を打ち出したのです。恐ろしいことに、米国の要求TPPに沿ったアベノミクスを国民というより、マスコミ、経済界が支持バックアップしだしました。
共生型の社会が良いのか、競争型の社会が良いのかは、国民が決めることであり、どちらが良いとか、悪いとかは言えるものではありませんが、理念なく、信念なしに、時、場所によってころころ変わってしまっては、国民はどちらの方向で生活設計をすればよいのか、途方にくれてしまいます。個別的には衣食住の安定、国家的には経済、食料の安定的供給、領土を守る基本的な憲法理念に従って、国家がどういう方向に行くかを明確にしなければ、不必要な心配を国民に与え続けるのではないかと、懸念しています。アベノミクスによって、給与が増えればよいのですが、今まで企業が260兆円溜め込み、投資家にも従業員にも還元しなかったように、偏った富の配分が起きないようにしてほしい。同じことをすれば、どうしようもない貧困層を増やし続け、社会不安が起きかねない。
> 私には、日本の社会がどんどん狭量になっているように思えてならない。
よく見聞きする「日本の右傾化」など、狭量化、未熟化と言い換えた方が的を射ていると思います。
安倍首相も「日本を取り戻す」ではなく、「守れ、島国根性」と言った方がいい。
政府の役割は、国民の命と暮らしを守ることです。しかし、大企業や富裕層の利益を守る政策を推進する政党に投票している多数の国民。それには、孫崎さんのご指摘のとおり政権政党になびくマスメディアの報道が大きく影響しています。
僕は、30年来のライオンズクラブの一員です。車や電子部品の下請け加工会社の社長をしている会員が、また単価切り下げさせられたと嘆きながら、選挙になると自民党です。経営が大変な零細企業の社長なのに、会社経営者なら当然に自民党と思い込んでいるのです。僕の住まいは農村地帯にあります。あちこちの農家の道路脇に自民党のポスターが掲示されています。これも、農家は昔から自民党と思い込んでいるのです。
こうした人は、ニュースを疑うことをしません。真実は何かと、調べる、考えることをしようとしません。自民党には都合の良い人ばかりです。
でも、問題点を知り、問題点に気付いた人が孫崎さんの著書で勉強し、わかりやすく対話できるようにレベルアップを図り、理解を得ていくことしか、よりよい日本を創る道はないでしょう。池に石を投げて、波紋が広がるように、こつこつ対話を広げるしかありません。僕は、これからも、コツコツ続けていきます。孫たちに、少しでもましな日本を残したいから。参議院選挙の結果と政党の政策をみれば、支持できるのは日本共産党です。
民放テレビや新聞社は、広告収入に頼って経営している。だから広告主に都合の悪いニュースは、絶対に報道しない。
公共放送のNHKは、政府に許認可権があるから、政権に不都合なことは報道しない。
つまり、この国には「権力を監視する」報道機関は存在しないのだ。
だから自民党がいくら失政を繰り返しても、原発事故を起こした東電が、どんなにデタラメなことをしても、その事実を国民は知ることができない。
私たちは報道されたニュースを、絶対に鵜呑みにしてはいけない。常に「本当かな?」「なぜそうなるのだ?」と疑問を持つことが必要だと思う。