あなたが卒業したいことは何ですか?
ただのいい人から卒業したい、
自己嫌悪から卒業したい、
報われない努力から卒業したい、
中途半端な人生を卒業したい、
今回は、退職したい思いを伝えることに躊躇している方からの相談をもとに、今の自分から卒業して一歩踏み出すための心理学を紹介させてもらいます。
Q. 30歳既婚、一般事務職の女性です。今の職場は3月から4月が繁忙期ですが早めに退職したいと思っています。円満退職のために伝える時期や伝え方などアドバイスをお願いします。
繁忙期であっても決断するしかないと思います。
円満退職を優先するのであれば繁忙期が終わったタイミングでの退職にするのがいいとは思います。
ですが、早く退職をしたいのであれば、何かしらのやむを得ない理由を考えるしかないと思います。
ただ、円満退職する意味はあるのでしょうか?
大抵の場合辞めた会社とは疎遠になるものですから、円満退職を気にする意味はあまりないような気もします。
「悪い習慣からの卒業」
まずは悪い習慣からの卒業です。
いつの間にか身についてしまった悪い習慣を捨て去るのは非常に難しいものです。
人間というのは何かを禁止するのがとても難しい生き物です。
禁止しようとすればするほど、そのことばかりが気になり余計にしてしまいたくなることになった経験は多くの人があるはずです。
禁止しようとすればするほど余計にその事をしたくなり、通常の状態よりも1.5倍もそれをしてしまうという話もあります。
では、そんななかなか難しい悪い習慣をやめるということをしっかり形にするにはどうすればいいのでしょうか。
そのために必要な知識を提供してくれるストーリー本があります。
この本の一節にこんな言葉があります。
古い習慣を捨て去る唯一の方法は
新しい習慣を作ることである。
まさにこれが悪い習慣を別の習慣に置き換えるということです。
ダイエット中のお菓子のつまみ食い、タバコやお酒の飲み過ぎ、スマホや SNS、ついついしてしまいがちな悪い習慣を同時にはできない別の習慣に置き換える方法についてDラボでも紹介していたと思います。
基本的に、まずは自分がその悪い習慣をどれぐらいしているのかということに具体的に気付く必要があり、それに気付いたらいつどんなきっかけでどのような状況で起きているのかを正確に把握する。
そして、きっかけになっている状況や環境を正確に理解することができたら、全く同じ状況で同時にはできない行動に置き換えるという方法を習慣逆転法として紹介されていたと思います。
ポイントとしては、そのやめたい悪い習慣自体を禁止しようとするのではなく、その悪い習慣を阻害するような良い習慣を身につけるということです。
その他、習慣化にまつわる内容としておすすめの本も紹介しておきます。
まだ読まれたことがない方はこちらもぜひチェックしてみてください。
「自己嫌悪からの卒業」
人はそれが嘘でもいいので勝っている感覚を持つと自信がついてくるという研究があります。
996人の被験者を対象に、最初に勝った人がそのまま勝ち続けるように仕組まれているゲームを行ってもらっています。
それによると、意図的に仕組まれているにも関わらず、ゲームに勝っている人ほど、そのゲームは公平で、自分の行った努力や考えは報われて自分には才能があると思い込んだということです。
小さな勝利が自信につながり行動を起こさせる
結局、僕達は事実に基づいて自信がついてくるということではなく、とりあえず勝てばいいということです。
勝てば勝つほど自分に自信を持つことができるようになり、世の中は公平だと考えるようになるので、そこから、他の人に出来ることは自分にも出来るはずだと思えるようになります。
それにより自信が湧いてきて様々な行動につながりさらに自信を深めていくという事につながります。
ですから、最初はなんでも構いません。
単に運が良かったということでも構いませんし些細なことでも構いません。
何かしら特定のジャンルで、そのジャンルだけで勝利する、自分の目標を達成する、成功するというだけで、人間の自信は加速していきます。
自分の勝てる領域を持つ!
自分の勝てる領域に行って勝つと自分に自信が湧いてきます。ですから、自分が勝てる領域を作っておくということがとても大切です。
安定する領域でチャレンジしたり、安定する前にチャレンジさえもできなかったりするものですが、大事なのは自分が勝てる場所に立ち戻ることができるかということです。
これは、過去の自分に勝つということでもいいと思います。例えば、筋トレであれば、今までできなかった運動ができるようになり、自分が前に進んでいる感覚を持てて自分に勝っている場所になるはずです。
時間を区切って「最低これだけは」
具体的には、1日に15分とか20分ぐらいでいいので時間を取って、これだけは自分にとって一番大事だと思えるような作業を絶対するようにすることです。ひとつだけ決めて、それを毎日やるという時間を必ず取るようにすることが大事です。
そして、それについてどんなに小さなことでも構いませんので、自分が前に進んでいるという感覚を持つために、スマホのカレンダーやノートにそれを記録するようにします。
「損するいい人からの卒業」
「いい人いい人どうでもいい人」と言われるように、どんな頼みごとでも聞いてくれるしいつも助けてくれるけれど、なぜか恋愛対象にならなかったり、とても良い人なのは間違いないのになぜか人間関係でいつも損をしているという人もいますが、なぜこのようなことが起きてしまうのかというと、それは助けてもらっていないからです。
助けていることで自分は相手のことをどんどん好きになります。しかも、自分はこれだけ助けているのだから、相手も自分のことを大事に思ってくれているはずできっと助けてくれると期待度をどんどん上げています。
ところが、助けてもらうことがないと、相手からの好意は上がってはいないわけです。
そうすると、友達だと思っていたのに土壇場で裏切られてしまったとか、友達だと思って接していたのに、相手はそれほど自分に対して好意を持っていなかったというような寂しいことが起きてしまいます。
実際に、自分が友達だと思っている相手がその人のことを友達だと思っている確率はおよそ50%だとも言われていますので、このような悲しい状況が生まれてしまうわけです。
大事なのは「上手に助けてもらう技術」で、これが他人に好かれるための一番大切な技術です。
上手に助けてもらう3つのテクニック
1. 頼みごとは相手にもメリットがある
まず、他人にお願い事をするのは悪いことではなく、むしろ、相手にとってメリットがあることだということを理解しておいてください。
つまり、皆さんがお願い事をして相手がそれに応えてくれた時には、皆さんだけがメリットを得ているわけではなく、相手にも心理的に大きなメリットがあるということを考えてください。
特に自分の得意なことで頼られた場合に関しては、それにより自分が尊重されているとか、自分が認められているという感覚を得ることができます。それによって自尊心も高まるし、自分が周りに認められていて頼られていることで存在価値があると感じます。
2. 頼みごとは意外と断られない
そして、頼みごとは意外と断られることはないという事実を知っておいてください。僕たちが思っているほど人間は頼み事を断ることはありません。
ほとんどの人は自分が誰かに頼みごとをしようとする時には、相手に断られたら気まずいとか考えてしまいますし、それにより実際に頼み事をしない人が多いと思います。
実際にはそんなことはありません。
僕たちがお願い事をする時に相手が YES と答えてくれるであろうと考えている確率は、実際にお願い事を聞いてくれる確率の半分程度になってしまいます。
3. 返報性の暗示
そもそも、頼み事ばかりされていて、いい人いい人どうでもいい人になっているというような場合にはどうすればいいのでしょうか。
頼みごとを引き受けるときには、その場で自分も何か頼み事をするようにしてください。
頼みごとを引き受けるときには代わりの頼みごとをするというようにすると、自分の労力を増やすことなく相手との関係を築いていくこともできますのでおすすめの方法です。
頼みごとを引き受けるときに代わりに何かお願いをしようとしても、そのお願いすることが特にないという場合は、困った時はお互い様だから引き受けるよ、もし自分が困った時には助けてくれるよねというような内容で返してください。
困った時はお互い様だから、自分が困った時にはお願いを聞いてくれるよね?と尋ねて将来の約束を取り付けてください。
中途半端な人生からの卒業
何をするにも中途半端で怠け癖があって物事が続かないという人もいると思います。
これには物事をやりきる能力と技術が必要です。
怠けてしまうのは考え方が間違っている
人間が怠けてしまうことには色々な理由がありますが、例えば、物事に取り組む時に下手に難しく考えてしまったり、細かく考えすぎたりしてしまい、手をつけられなくなってしまったという経験は誰でもあると思います。
ここでは2つのポイントがあります。
1. 抽象的な解釈
抽象的な解釈は、ビジョンをイメージするようなものです。例えば、将来お金を稼げるようになったらこういうことをしているだろうなと想像したり、今の仕事を辞めるとしたら、自分はこんな仕事をしているだろうなと将来をイメージしたり、曖昧なイメージを作る解釈です。
2. 具体的な解釈
具体的な解釈は、To do リストのように、勉強や仕事で、まずは A に取り組んで、それから B を行い、その次に C と D という具体的な行動に落とし込んでいく解釈です。
この2つのどちらの方が目標を達成する上で効果が高いのかということを調べた研究があります。
普通に考えると、抽象的で曖昧なイメージではだめなのではないか、目標は具体的にしないといけないし行動を細かく規定しないといけないので、具体的な解釈の方がうまくいくに決まっていると考えると思います。
ところが、実際は、これは使いどころ次第でした。
実際の研究では、新印象派のスーラという画家の絵を見せて、その感想をアンケートとして提出してもらうという実験を行っています。その際、2つの説明の仕方をしました。
1. 「新印象派のスーラの書いた絵で、秩序だち理路整然とした構造と色の使い方で、調和と新しい感情を引き出すことを目的としています」というようなアーティストが言いそうな抽象的な説明をしたグループ
2. 「この絵は点描画の技術を使っていて、コントラストの強い色を効果的に配置することによって、男性のイメージを作っています」というような絵の描き方や狙いを具体的に説明したグループ
この2つのグループが、アンケートを提出するまでにどれくらい時間がかかったのかという事を調べました。
抽象的な説明をされたグループと具体的な説明をされたグループで、どちらの方が行動が早くなったのかということを調べたわけです。
その結果、抽象的な説明をされたグループは、平均で20.5日かかりました。
具体的な説明をされたグループは、平均で12.5日で提出しました。
怠け癖が出てしまいそうな行動を行うためには、やはり、細かいところに目を向けた方が良いということです。
具体的に行動を必要なタスクに落とし込んだり、必要な工程に分類して考えた方が、これは早くなるということです。これは想像通りの結果だと思います。
この研究で行われたのは、アンケート調査という割と簡単な作業です。
手をつければ簡単に終わるのに、なかなか手を付けられないということがあると思います。このようなことに対しては、具体的な解釈をその仕事やタスクに対して行なった方が、行動は早くなります。
別の研究で、2016年の研究によると、手をつけてもすぐに簡単に終わらないようなことに対しては、具体的な解釈の方が行動は遅くなるということがわかっています。
大きなプロジェクトに取り組む時などに関しては、抽象的な解釈の方が最後までやりきる力が高まったということです。
抽象的な思考というものは、自己コントロール能力を向上させてくれるという効果があるので、長距離走のように取り組んでも長く続くものに対しては、抽象的な解釈を持っていた方が、状況により計画変更が必要になったり、より良い方法が見つかった場合にも、モチベーションが続きます。
使い分けることが大事
大きなプロジェクト→抽象的な解釈
取り組めばすぐに終わること→具体的な解釈
ついつい先延ばししがちな単純作業などの場合は、タスクの細部に集中する具体的な解釈を使った方が、行動は早くなり怠け癖対策にはなります。
大きなタスクや長期にわたるプロジェクトの場合は、細かいところに注目して、まずは作業に取り掛かるのを早くします。取り掛かるのは早くてもそのモチベーションが続かなくなってしまうので、手をつけることができたら、そこからビジョンを考えたり抽象的な解釈に変えていくようにします。
そして、誰でも、途中で勉強や仕事でもモチベーションが下がってくることはあります。そんな時には細かいところに目を向けて具体的な解釈をしてください。
ここから先は、報われない努力からの卒業、他人の目を気にして生きる人生からの卒業など、人生でもビジネスでも、人間関係でも恋愛でも、このタイミングで新たな一歩を踏み出すための心理学を解説していきます。
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