あなたが、思い出すことができず悔しかったのはどんな時ですか?


今回は、読みたい本がたくさんあるのに積ん読してしまうという方の相談をもとに、勉強したり学んだりした内容をしっかりと記憶に定着させるための方法について紹介させてもらいます。


「Q. 読みたい本がたくさんあり溜まっていってしまいます。何か良い方法はあるでしょうか?」


本の最初と最後をまず読むようにしてみてください。

積ん読で悩んでいる人にいつもおすすめするのは、本の最初と最後の1章でもいいのでまずは読む方法です。


人間は空白や欠落を嫌う生き物なので、最初と最後を読むとその間が気になります

それが読み通すモチベーションになります。

読みたい気持ちが高まる上に記憶に定着もしやすくなるのでおすすめです。


以上がDaiGo師匠からのアドバイスでした。




やらなきゃ損する12の記憶定着法


知識や情報を覚えたら、それを覚えた後にしなくてはならないことがあります。

どうしても思い出せない時の思い出し方についても紹介させてもらいます。


1. 次の情報を覚える前に40秒だけリプレイ

効率良く勉強しようと考えると、ひとつの勉強を終わらせたらすぐ次に取り掛かろうとしがちです。

間の余計な時間はなくして、ゴリゴリと必死に勉強しようとする人も多いですが、特に難しいことを覚えたら、次に進む前に目を閉じて40秒だけそのことを思い出してみてください。


サセックス大学の研究で、男女の参加者を集めて動画を26本見てもらいました。

半分のグループには、動画を見終わった後に目を閉じて40秒だけその内容を復習してもらいました。

その後2週間時間をあけて、見た動画の内容をどれぐらい覚えているかチェックしました。


2週間経てば大抵のことは忘れてしまいますが、目を閉じて頭の中で動画のリプレイをしただけで、2週間経っても多くの人がその内容を覚えていました

ところが、この40秒のリプレイをしなかった場合には、ほとんどの人がその内容を綺麗に忘れていました。


たった40秒頭の中でリプレイするだけでも、記憶への定着の仕方は全く違ったということです。


ちなみに、頭の中でリプレイした場合でも、内容を声に出した場合でも効果は同じだったそうです。

勉強した内容でも本で読んだ内容でも、学校や電車の中だと、どうしても声に出してリプレイするのは難しい状況が多いと思います。

そういった場合は、目を閉じて40秒だけリプレイすると、それだけでも記憶の残り方がかなり違うと思います。


研究チームによると、事故や犯罪の目撃者が、その状況や内容を正確に思い出すためにも応用できると言われています。

事故や犯罪、何かしらの決定的な瞬間を目撃した際に、多くの人はその記憶を改ざんしてしまいます。

その記憶の改ざんを防ぐために、覚えておかなくてはならないことを見た時には、その場で目を閉じて頭の中でリプレイすると、その出来事に対する記憶を定着させることができます


これは授業を受けている場合でも読書している場合でも使えます。

オンラインの授業を受けているのであれば、一旦再生を止めて頭の中でリプレイすることもできますし、教室で授業を受けているのであれば、重要なポイントについて先生が話している様子を要所要所でリプレイするようにしてください。


ちなみに、人の名前を覚えるのが苦手だという人の場合であれば、相手が名刺を渡したり名乗っている時の映像を想像して頭の中でリプレイします。

相手の注意がこちらからそれているタイミングで上手に使えば、人の名前だけでなく様々な場面で使えるテクニックだと思います。


2. あえて忘れる努力をする

人は忘れようとすればするほど記憶に残りやすくなります。


ギーセン・アンド・マールブルク病院の研究で、手術前の患者さんを対象に複数の単語を覚えてもらう実験を行っています。

一生懸命覚えてくださいと伝えた場合と、同じように単語を見せて忘れるように努力してくださいと伝えた場合で比べています。

この実験の患者さんはてんかんを抱えていて脳内に電極を埋め込む必要がありました。

それによって覚えようとしている人と忘れようとしている人の脳の違いについて明らかにしようとした研究です。


その結果、忘れようと意識すればするほど、記憶を司る上で非常に重要な働きをしている背外側前頭前野や海馬で、脳波の振動数が上昇して、忘れようとしているのにより脳が活性化していたということです。


さらに、忘れようとしている人の方が覚えようとしている人よりも10%も多く単語を覚えていました


ですから、勉強や読書をしていて、大切な内容を覚えたと思ったら、それを忘れる努力を適宜してみてください。

どうやったらそれを忘れることができるだろうかと考えていただけると、それだけで10%も多く記憶に定着させることができます。


例えば、読書をしていて重要な部分を覚えたと思ったら、その中でどのポイントを忘れたら思い出せなくなるだろうかと考えてみてください。

自分が覚えた記憶のウィークポイントを探してみてください。

ウィークポイントを見つけたら、それについて一生懸命忘れる努力をしてみてください。

致命的な忘れ方をするとしたら、どの辺りを忘れることがが原因になるだろうか?

内容を間違えて覚えるとすると、どんな間違え方をするだろうか?

自分の間違いについて想像するだけでも、忘れる努力をすることと同じような効果が期待できます。


3. 覚えた後は5分だけ歩く

記憶に定着させたい内容を覚えたら、その後に5分だけ散歩したりステッパーを踏んでみてください。

それだけでもかなり記憶への残り方が違います。


ニューサウスウェールズ大学の研究で、平均年齢20歳程の男女を対象に、見知らぬ中年男性の顔と名前を覚えてもらうという実験を行っています。

片方のグループには普通に覚えようとしてもらっただけで、もう一方のグループには、覚えた後に5分間だけステッパーを踏んでもらいました。


その結果、やはりたった5分でも歩いただけで記憶への残り方が全く違っていました

そして、男性に比べて女性の方が、歩いたことによる記憶への定着率の向上の効果は著しく大きくなっていました。

男性の顔と名前を覚えるという実験だったので、女性の方が覚えやすかっただけという可能性もありますが、いずれにしても覚えたら歩くということは結構重要です。


実際に、エビデンスベイストの教育を行っている海外の教育機関では、授業時間を増やすことよりも、運動時間を増やすことの方が重要だということに気づいています。

ところが、日本も含めて多くの学校では授業時間を増やして休憩時間を減らそうとしているので、子供たちから運動するための時間を奪っています。


本当に増やすべきは運動の時間です。

勉強と勉強の間の体を動かす時間を増やすことによって、学んだことの記憶への定着率も上がることが十分に期待されています。


運動と記憶力は密接に関わっています。

記憶力を高めたいのであれば運動量を増やすことを意識してみてください。


4. 15分の昼寝

特に午前中に一生懸命勉強した日は絶対に昼寝をしてください。


リューベック大学の研究で、2種類のイラストを見せて覚えてもらう実験を行っています。

間に40分の時間を空けて異なる2種類のイラストを見せて、半数の人たちには、その間で昼寝をしてもらいました。


学習の間に昼寝を入れる効果について調べたところ、昼寝をしなかったグループは60%のイラストを覚えていましたが、昼寝を間に15分入れるだけで、なんと85%も覚えていたということです。


ですから、午前中に勉強した時には、昼寝をしてから午後の勉強に取り掛かるようにしてください。

それをするかしないかだけで、25%も記憶の残り方が違ってくるということです。


これから試験に臨む学生さんや新しいスキルを身につけるために勉強している社会人の皆さんは、昼寝を上手に使う方が間違いなく本番で力を発揮することができるはずです。


人は情報を一度インプットするだけでは記憶としては定着しません。

一度インプットするだけではまだ脆い状態ですが、記憶の再活性化が起きることによって記憶に定着しやすくなります。

だからこそ何度も思い出すことが重要なわけですが、覚えたかどうかをチェックするために問題集にしにくい情報もあります。

仕事のスキルや会話のスキルなど、いわゆるソフトスキルは覚えるために問題集を作るわけにもいかなかったりします。


ところが、このような情報も含めて、昼寝には記憶の再活性化が起こりやすくなるという効果があります。

記憶が大脳新皮質に移り長期記憶に変わります。


ですから、午前中勉強したら昼寝をはさんで午前中の内容を記憶に定着させ、午後に勉強した内容は夜の睡眠で記憶に定着させるようにしてください。

眠くなくても記憶の定着のために昼寝をすると考えてください。

眠れなくても目を閉じて横になるだけでも効果は期待できますので、勉強の合間の昼寝を習慣にしてください。


5. スクワット

足の大きな筋肉を使った運動をすることによって、記憶力が上がります。

職場などでも使いやすいテクニックだと思います。


ジョージア工科大学の研究で、46人の男女を集めて180枚の写真を見て記憶してもらう実験を行なっています。

半数の参加者には、ジムにあるレッグエクステンションを使って50回足を使う運動をしてもらっています。

残りの半数の参加者は、同じような椅子に座っただけで特に運動していません。

その上で2日後に記憶のテストを受けてもらっています。


180枚の写真の内容を2日後にチェックされるわけですので、ほとんどの内容を忘れてしまいそうな気もしますが、運動しなかった参加者の写真の認識率は50%だったのに対して、足を鍛える運動をした参加者の認識率は60%でした。

記憶力を高めるためには足を使う運動が重要です。


研究者によると足の運動でなくても構わないようです。

運動することによりドーパミンが出て高揚した状態になります。この状態は特に感情と結びついた記憶が定着しやすくなります。


ですから、物事を覚えた後に運動してもいいですし、運動した後に勉強しても効果が期待できると思います。

運動して気分が高揚している時には、その前後で覚えたことが記憶に定着しやすくなります。


例えば、90分勉強したら、休憩時間にスクワット50回して、その後また90分勉強したら、2分から3分ほどバーピーをして、その後また90分勉強したら、次は15分昼寝をして、そこからまた90分勉強したら、次はまたスクワット50回…というサイクルを繰り返していただければ、それぞれの記憶同士が絡み合って混乱することがなくなります。

記憶はちゃんと区別して綺麗に記憶に定着させておかないと、バラバラになって必要な時に取り出せなくなってしまいます。


ですから、まずは昼寝をはさむタイミングを決めて、その上で、それ以外の勉強と勉強の間には運動を入れるようにしてください。

これはすぐに効果が出ることですので、明日からと言わず今日から取り入れてみてください。


7. 大事なことを覚えたら5分から15分何もしない

大事なことを覚えたら、スマホなどを触ったりもせず本当に何もしない時間を5分から15分ほど取ってください。

無駄な時間が記憶を定着させてくれるということが確認されています。


これは100年以上前から研究で示されている内容ですが、その後の様々な実験でも効果が確認されています。

例えば、ドイツの研究を見てみると、休憩を取らずにひたすら勉強した場合よりも、合間に6分間の休憩を取りながら勉強した方が、学習内容が2倍程も記憶に定着していました。

休憩を挟まなかったグループは28%しか内容を覚えていなかったのに、合間に6分間の休憩を取りながら勉強すると、勉強した内容の50%近くを覚えていたそうです。


最近は休憩中にスマホを触ったり余計なことをしている人が多いと思います。

本当に何もしないでぼーっとする時間が定期的にある人の方が記憶力が高いのではないかという研究もあります。

何もしないでぼーっとする時間を定期的に挟む人は、覚えた時から1週間経っても記憶に定着している確率が高かったそうです。


しかも、これは年齢にも性別にも寄らないで確認されている内容です。

大人でも子供でも誰でもした方がいい記憶のテクニックです。


本当に何もしないという現代人が忘れがちな行動が記憶を定着させてくれます。

人の脳はインプットと記憶の定着を同時にすることはできません。

これを分けて行わないと、いくら一生懸命勉強しても記憶に定着させることができません。

ガリガリと勉強して勉強と休憩のメリハリをつけることができない人は、脳がインプットと記憶の定着の切り替えがうまくできなくなっています。


記憶の定着をブーストさせる3つのポイント

この本当に何もしない時間で重要な3つのポイントを紹介させてもらいます。


ポイント1 :薄暗く静かな部屋でじっと座る

できるだけ視覚情報と聴覚情報が入ってこない環境を整えて下さい。

できない場合は、アイマスクとノイズキャンセリング機能の付いたイヤホンを用意してください。

インプットする情報がない状態にすることが重要です。


ポイント2 :スマホ禁止

この何もしない時間には絶対にスマホを触らないでください。

通知もならないようにして目に入らないところに置いておいてください。

ポケットに入れておくこともおすすめしません。

スマホが鳴るかもしれないと考えるだけで、脳はインプットモードになってしまいます。

勉強した後にスマホを触るのも、せっかくの勉強の効果を妨げてしまうだけです。


ポイント3 :過去も未来も想像しない

本当に何もしない時間ですので、過去や未来の出来事について考えてしまうと、それもインプットモードになってしまう原因です。

どうしても余計なことを考えてしまう場合には、瞑想と同じように自分の呼吸に注目してみてください。



ここから先は、HIITなど激しい運動と記憶力についてや、簡単なのに意外と効果がある記憶の定着法についても紹介させてもらいます。

最後に、どうしても思い出せない時の記憶の引っ張り出し方についても紹介させてもらいますので、仕事でも勉強でも、記憶力を高めて効率よく覚えておくべきことを記憶に定着させるための方法について、ぜひ続きもチェックして学んでみてください。