ただし、食事で摂ったものが、ベッドの中での欲求に強く関連しているかどうかを確かめるのは難しいことがわかっています。
「エビデンスに基づいた医学的観点からすると、現在言われていることのほとんどは、そこまでの信頼性がないのです」と話すのは、ワイル・コーネル・メディカル・カレッジ泌尿器研究の副理事で、性欲と催淫性の食品の研究を行っているドロレス・ラム医学博士です。
むしろ、性欲を高める食事で科学的に裏付けのある唯一の方法は、地中海式の食事と語るのは、カリフォルニア州の産婦人科医マイケル・クリチマン医学博士。
博士は天然の催淫剤に関する最近の研究論文の著者でもあり、そんな博士が参照している研究によると、地中海式の食事は、男性の勃起機能の向上、および女性の性欲増加と関連があるとのこと。しかも、この食事法は性欲増加だけでなく、健康全般の改善にもつながります。
とはいえ、特定の食品には実際に性欲を高める力があると示唆する研究もいくつか存在します。
前戯に時間をかけるといった、確実に性欲を高める方法と同じような効果を期待することはできないかもしれませんが、それらの食品を食事のメニューに加えることで、夜の営みにプラスの効果をもたらすかもしれません。
では、さっそく、ベッドの中で熱いひとときを過ごすのによさそうな10の食品を紹介しましょう。
1. 牡蠣
古代ローマの時代から性欲を高める食べ物とされてきた牡蠣。
牡蠣にはあまたの歴史がありますが、およそ性欲にまつわる事柄に関しては、いくらかの真実が隠れていると思われます。
第一に、牡蠣には亜鉛が豊富に含まれています。『Scientific Reports』誌に掲載された2016年の研究が示すように、亜鉛は男性生殖器系が適切に機能するのに欠かせない栄養素。
そしてフロリダのバリー大学化学科教授ジョージ・フィッシャー博士が行った研究では、牡蠣やその他の二枚貝に含まれるアミノ酸、特にD-アスパラギン酸は、性的機能を向上させる可能性があることがわかりました。その追跡研究では、D-アスパラギン酸は男性のテストステロンを増加させることが示唆されています。
ラム博士は、牡蠣の魅力はその「質感」にもあるのではないかと話します。なめらかな触感が、キスしたいという欲求をかき立てるなどの気分にさせたりするのかもしれませんね。
2. トウガラシ
トウガラシに含まれる目から涙が出てしまうほど辛い化学成分カプサイシンは、血管の健康向上や男性のテストステロンの増加と関連があります。どちらも間接的に性欲と性的機能の向上に関係しています。
ラム博士いわく、トウガラシを食べたときの感覚も性的な気分を高めるかもしれないとのこと。エンドルフィンといった、喜びに関連する化学物質の分泌が促されるからです。
3. マカの根の粉末
南米ペルーの植物で流行の粉末サプリのマカは、いくつかの研究で性欲増加との関連性が示されています。
2008年の研究では、マカの根は性欲を高め、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬、性欲を低下させることで知られている抗うつ剤)を服用している人の性機能障害の予防によいことがわかりました。また少なくともラットにおいては、精子の産生と健康の向上などもみられています。
マカの効果的な成分は、おそらくアルギニン。研究によると、アルギニンは男女ともに性欲を促進するホルモン、テストステロンのレベルを増加させることと関連すると言われています。
マカを試してみたい場合は、大量に摂取しないこと。SSRIに関する研究では、女性の場合は1日あたり3g以下(小さじ半分)のマカが「十分な耐性用量」であることがわかっています。
4. サーモン
テストステロンのレベルを高め、抑うつの度合いを低下させるには? どちらも性欲を高めることにつながる可能性がありますが、ビタミンDが関係しているという研究がたくさんあります。
さらなる研究では、ビタミンDのレベルが低いと、女性においてはオーガズムの満足度が下がり、性的欲求や性的満足度も低下すると関連づけています。
しかし本当に必要とされるビタミンDの量や、サプリメントで摂取することの是非については、専門家も議論を続けています。いまのところ確実に言えるのは、天然の紅鮭は、ビタミンDを摂取するのにすばらしい数少ない食材だということ。
また、紅鮭には心臓の健康によいオメガ3脂肪酸も豊富に含まれており、脂肪の少ないタンパク質も十分お腹も満足できるので、食事のメニューに加えるのにぴったりです。
5. 黒トリュフ
おいしい(そして高価な)珍味、黒トリュフには天然の女性フェロモン、アンドロステノロンが含まれています。これはある研究によると、男性の性欲向上と関連しているそう。
トリュフを食べて性欲が増すという直接的な証拠はないのですが、次にデートでおしゃれなディナーに出かけたときに、削ったトリュフを使ったメニューを遠慮なくオーダーするのによい口実になるのでは?
6. ショウガ
いくつかの研究では、さまざまなアフリカ産ショウガが、男性の性的機能と性的欲求の向上に関係があるとしています。
そのうちの2010年に発表された研究では、ショウガが性的機能をサポートする酵素の一種、一酸化窒素合成酵素と総称される酵素を活性化するのではないかと結論づけていました。南アフリカの別の研究では、ラットにおける性的興奮と刺激の向上とショウガに関連性が示されました。
でもショウガのメリットはそれだけではありません。ショウガの根は、筋肉や月経痛の改善、心臓病のリスク低減、肥満や糖尿の予防などとも関連性があるとされています(朝のスムージーにアクセントを加えるのにもいいですね)。
7. スイカ
夏に人気のスイカは、リコピンやシトルリンなど、いくつもの植物性栄養素がたっぷり。テキサスA&M大学が最近行った研究によれば、これらの栄養素はバイアグラと似たような方法で血管の緊張をほぐすと考えられています。
男性にとって朗報ですが、研究の著者は、この弛緩効果によって女性の性欲も高まるのではないかと記しています。
ラム博士は、スイカの赤い色というビジュアルと手を使って食べるという点が、性的にそそる効果を発揮するかもしれないと話します。おまけにスイカはかなり満腹になるので(ご存知の通り、およそ90%が水分だから)、低カロリーのおやつとしても完璧です。
8. 高麗人参
皮をつけたまま乾燥させた高麗紅人参は、皮をむいて乾燥させた白参ほど一般的ではありませんが、アメリカ国立衛生研究所(NIH)によると「ジンセノサイト」と呼ばれる化学化合物を含んでいます。
研究によれば、これらの化合物には抗酸化・抗炎症機能が含まれる可能性があるとのこと。他の研究でも、紅人参のサプリと更年期の女性における性的衝動の向上に関連がみられています。
しかしいっぽうで、『Sexual Medicine Reviews』誌に掲載された、催淫効果のある食品に関する2015年のレポートでは、紅人参のデータは決定的なものではないと結論づけていました。
また紅人参を長期にわたって摂取したり、あるいは処方薬と併用したりすると、頭痛、消化系の問題、血圧の問題などにつながることが懸念されていると、アメリカ国立衛生研究所(NIH)は注意喚起しています。
性欲アップのためにときどき試してみたいのであれば、アメリカ国立衛生研究所(NIH)の指針を参照すると短期間の使用なら安全だろうとのこと。しかし毎日摂取するのはリスクがあるため、実践する前には医師に相談するといいでしょう。
9. カニの足
カニの足に豊富に含まれている亜鉛は、性的機能だけでなく持久力もサポートするミネラルです、と話すのはワシントンD.C.の認定栄養士ジェシカ・スウィフトさん。
カニ1人前で、1日の亜鉛の推奨摂取量ほぼすべてを摂取できます。健康を考えるなら、食べる際にはバターは少なめに!
10. ひよこ豆
ひよこ豆はビタミンB6が豊富。これはスウィフトさんに言わせると、健康的な性欲や性的興奮を高めるのに不可欠なビタミンだそう。
テストステロン(性欲に欠かせない)やドーパミン(気持ちがよくなるホルモン)の生成を調整するのによいとされています。
平日の夜の手軽なメニューとして、カリフラワーとひよこ豆を添えたオーブン焼きチキンティッカはいかが?
明晩の『Prevention』記事に続きます。
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訳/Maya A. Kishida