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「冷え方」でわかる更年期のサイン。その対処法は?
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「冷え方」でわかる更年期のサイン。その対処法は?

2019-11-22 05:30
    自分の体をきちんと知ろう! をテーマの連載「カラダケア戦略術」。前回は「毛細血管ケアとアンチエイジングの関係」について、お届けしました。今回は、「更年期のサインの冷え」について、女性医療ジャーナリストの増田美加がお伝えします。

    更年期特有の冷えってなに?

    年齢にかかわらず、冷えは多くの女性が抱える悩みのひとつですね。でも、更年期の冷えは、若いころの冷えとは、ひと味違った冷えになるのです。

    お風呂に入ってもなかなか温まらず、すぐに冷めてしまう…。手足が冷たくなって眠れない…ということも増えてきます。手指、足のゆびがいつも冷たい人も多いのでは。

    上半身はのぼせて暑いのに、下半身が冷えている…というのも、更年期の冷えの特徴のひとつです。更年期特有の冷えとは? その冷えにどう対処したらいいのでしょう?

    エストロゲンの乱高下で自律神経が乱れ、血液の循環が悪くなる!

    血行が悪いと、冷えが起こります。冷えを起こす血行の悪さは、更年期による女性ホルモンの低下も関係しています。

    更年期になると、日によって、あるいは1日に数回、エストロゲンの分泌が急上昇したり、急降下したりします。

    この急激な変動に影響を受けて、自律神経が乱れます。自律神経の乱れによって、のぼせやほてり、多汗、逆に冷えといった症状が生じてくると考えられています。

    本来、自律神経には、血管を拡張させて放熱したり、逆に、血管を収縮させて熱が逃げるのを防いで、体温をいつも一定に保とうとする働きがあります。

    そのため、自律神経が乱れると、血管の拡張と収縮の調節がスムーズにいかなくなります。一時的に血管が拡張すれば、のぼせやほてり、多汗など(ホットフラッシュ)が起こります。逆に、末端の血管が収縮して、血液の循環が悪くなれば、冷えの症状が起こってくるのです。

    自律神経は、とても反応が早い神経で、体の変化にすぐに反応します。更年期の不調を冷えから自覚することが多いのもそのためです。

    更年期の世代にストレスが強いと、さらに自律神経が乱れやすいため、症状は強く出る傾向にあります。

    また、若いときから冷え症で悩んでいる人ほど、更年期の冷え症が強くなる傾向もあると言われています。

    体温を高くするプロゲステロンの分泌も減少!

    本来、女性ホルモンのひとつ、プロゲステロン(黄体ホルモン)は、体温を高める働きがあります。排卵後から生理までがプロゲステロンの分泌が多い時期です。

    プロゲステロンの影響で、この時期はひと月のうちで体温が高くなるときで、高温期と言われています。

    プロゲステロンは、卵子と精子を受精させ、妊娠を維持するために大切なホルモンで、妊娠中はプロゲステロンが多く分泌されています。妊娠中、体温が0.5℃程度高くなるのもそのためです。

    更年期には、このプロゲステロンの低下により、自律神経の失調症状が起こり、その結果、抹消の血管が必要以上に収縮し、血液の循環が悪くなるために、冷えが起こるのです。

    つらい冷えは、隠れた病気をチェック!

    まず、つらい冷えで注意したいのは、貧血、心臓病、腎臓病、糖尿病、甲状腺機能低下症など、女性に多い隠れた病気があるかもしれないということです。

    病院でのチェックは大切です。

    検査の結果、隠れた病気がなければ、ほとんどの冷えの原因は、女性ホルモンの分泌のバランスが悪く、卵巣機能が低下しているために起こるものです。

    女性ホルモンの状態は、血液検査で調べるとわかります

    対処法は女性ホルモン剤や漢方薬がある

    では、低下してしまっている卵巣機能を回復させるには、どうしたらいいのでしょう?あるいは、これ以上、低下させない手立てはあるのでしょうか? 

    20代、30代前半のころのような卵巣機能に戻すことはできません。でも、できるだけ卵巣を長持ちさせ、機能を維持する方法はあると言われています。

    閉経前の女性には、低用量ピル(OC)で女性ホルモンを補う方法があります。低用量ピルは、使いやすいホルモン剤です。

    低用量ピルには、エストロゲン、プロゲステロンがそれぞれ少量ずつ含まれているため、足りない女性ホルモンをほんの少し補うことができます。

    また、低用量ピルだけでなく、エストロゲン剤を補充するホルモン補充療法(HRT)もあります。

    ホルモン補充療法(HRT)は、閉経後の女性も可能です。

    漢方薬にも冷え対策のものがあります。女性の冷えに処方される代表的な漢方薬は、「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」「加味逍遥散(かみしょうようさん)」「温経湯(うんけいとう)」「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」などです。

    冷え改善には、運動の効果が抜群!

    運動が大切です。ウォーキング、ヨガ、半身浴などは、血行をよくし、冷えを改善し、自律神経も整えます

    そして更年期になったら、筋肉を落とさないために筋トレが重要。何より、筋肉がつけば、燃えやすい体になって、少し動くだけで血行や代謝がよくなり、冷え改善にも役立ちます。

    冷え解消の効果抜群です!

    筋トレは、スクワットや腹筋ができればいいですが、全く運動習慣がない人は、速足でウォーキングすることから始めてもいいと思います。

    また、入浴はシャワーだけでなく、湯舟に温まることも大事。湯舟に入ってもなかなか温まらない、すぐに冷めてしまうという人は、炭酸系の入浴剤を使ってみるのもいいと思います。長時間温まらなくても、血行促進に役立ちます。

    時間があるときは、ゆっくりと半身浴を楽しむのもいいですね。そのときは上半身が冷えないようにしてください。

    食事は、ビタミンEや鉄分を多く含む食品を意識して摂ることも大切です。

    ビタミンEや鉄分は、不足すると血行が悪くなることが知られています。ビタミンEはアーモンドなどのナッツ類、うなぎ、卵黄などに多く含まれています。鉄分はレバーやほうれん草など。

    冷えなどの更年期の症状は、ひとつの方法だけで解決しようとしないで、いろいろな対策を行いながら、よい方向へもっていくほうが効果もあって、体のためにもいいと思います。

    増田美加・女性医療ジャーナリスト 予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。公式ホームページ http://office-mikamasuda.com/

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