スウェーデンのユニセフ協会が、汗から水をつくる"汗マシン"なるものをお披露目し、その水を実際に人々が飲むというイベントを開催して話題を集めました。
1000人が飲んだ"汗の水"もちろん、「汗からつくられた水なんて、誰も飲みたがらない! 」と思うことを踏まえた上で行なわれたこのイベント。その背景には、世界の深刻な水不足を、リアリティを持って実感してもらいたいという思いが込められていました。
これは、汗をかいたTシャツを人々に提供してもらい、そこから平均10mlの飲料水を抽出するというもの。スウェーデン人エンジニアが、ストックホルムにある技術機関と協力してつくった汗マシンは、汗を加熱して蒸気にし、繊維や汚れなどを取り除くそうです。当日は、目の前でこの模様を見ていた1000人の人々が、この汗から生まれ変わった水を飲みました。
Sweat for water from Gothia Cup on Vimeo.
不要になった水もいつか自分のもとへこちらは、宇宙技術にヒントを得たもの。宇宙では水が飲めないので、宇宙飛行士にとっても水は本当に貴重な資源です。だから、自身の尿を排水浄化装置にかけ、飲料水へとリサイクルしています。顔をしかめる人も多いかも知れませんが、私たちが普段流しているトイレの水も、下水処理をされて川へと流され、循環していつか戻ってくるものです。
水は限りある資源世界では、約7億8000人もの人々が飲み水にアクセスできない状況にいます。コンビニで気軽にペットボトルの水が買えてしまう私たちには、想像するのが難しい現実です。でも、そこで生きる人たちが、日本の人口の約6倍以上もいるのです。そのうち、5歳未満の子どもの死亡原因の90%が、下痢性疾患に関係しており、不衛生な水がその主要原因になっているという現実も......。
ユニセフでは、こんな悲惨な状況を解決すべく、2015年までに、安全な飲み水を手に入れられない人たちの数を、1990年時点の半分にするという目標を掲げています。そのためのスウェーデンのユニセフが行なった今回の驚きの試みは、「水という資源には限りがある」という現実に目を向けさせてくれたような気がします。
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(下野真緒)