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私は、小さいころから好きな男の子がすぐにできてしまう性格でした。
まぁ、本気で好きになるというのを覚えたのは中学生くらいからかな……とは思いますが、保育園のころに初めて「この子が好き!」という感情を抱き、小学生のときにはクラスに3人の好きな子がいるという状況でした。
恋をするのが楽しくて、片思いが大好きでした。
自分から告白するようなことは全くなく、告白されるということも「1回あったか…?」くらいの感じです。
少し恋が多いだけの、平凡な学生生活。
そう思っていたけれど、あるとき自分の気持ちの変化に気づいたのです。
女の子にドキ……
中学校を卒業する間近になったころだったかと思います。
私はいつも同じメンバーと一緒に生活していました。
女の子4人でいつもくだらない話をして、受験も近づいてくるからそれぞれの時間も大切にしていました。
すごく仲が良くて、最高の親友だと思っていました。
私以外の3人のメンバー。
1人は、リーダー格で友人関係も広く、スポーツ系のイケメン女子。
1人は、これまた友人関係が広く、おふざけが大好きなおもしろい女の子。
そして最後は、小さくていじられキャラのかわいい天然ちゃんでした。
私は本当にみんなが大好きで、その気持ちに順位なんてつけられないと思っていました。
あるとき、体育館で集会が開かれました。
中学校では体育館での集会のときは、クラスごとに男女別でならんで、体操座りで先生たちの話を聞きます。
もちろん私の前には女の子。
身長順で並ぶので、小さかった私は同じくらいの身長だった例の天然ちゃんの後ろに座っていました。
話を聞いているときはその子の背中が嫌でも目に入ってきます。
(あ、なんか……)
そのときに思ってしまったのです。
その背中に、どうしても抱き着きたい。
一瞬思いついた考えに、自分で「気持ち悪い」と感じました。
そして
「あぁきっと、人肌が恋しいんだろう。女の子でもいいからなんかぬくもりがほしかったんだな(笑)」
と心の中で自分を納得させながら、そのことは忘れようと思いました。
自分一人で抱え込むこと
1度そのような考えをしてしまうと、忘れようと思っても忘れられるものではありません。
特に「その子が好きなんだ」と思ってしまうことが本当に悪いことのような気がして、罪悪感ばかりが募ってしまいます。
4人で仲良くしていくことに変わりはなく、その中の誰かに相談するなんていうことは思いもよりませんでした。
その気持ちを隠しながら生活していくことはそれほど苦ではありませんでした。
普通に過ごしていればみんなで仲良く過ごしていけるし、どうせ違う高校に進むこともわかっていました。
どちらかというと、
「その子が好きだけど、かなわぬ恋をしているからつらい」
のではなく、
「自分がもしかしたら女の子が好きな『レズ』という存在なのかもしれない」
という可能性に対して嫌悪感を抱いていました。
男の子が好きじゃないと、世間的には変な目で見られるだろうし将来子どもも作れない、なんて中学生にしては現実的な考えを持っていたと思います。
きっと、その女の子のことは気になるレベルで本気で好きではなかったのだと思います。
そうであれば、もっと悩んでいたでしょうから。
とりあえずそのときは、女の子に対して恋愛感情を抱きかけていた自分が嫌だったけれど、それほど本気じゃないのかも?という考えに逃げていたのでした。