年度末になりました。今年の3月31日は金曜日。週末でもあり、年度末でもあり、4半期末と3つの末という区切りが重なります。
3月後半は、日本の期末要因による利益の里帰りや年度末でのポジション調整や資金待機で、為替市場では円高へ戻し、株式市場でも下押し圧力が強い冴えない展開が続いています。期末による調整は。ほぼ終わったとは見られますが、最終日の3月31日まで気の抜けない展開ではないかと思います。
3月15日に、昨年12月に引き続き、米FRBの追加利上げが行われました。
注目された今年の金利予想は、事前予想通りで残り2回と伝わり、一部にあった残り3回説を打ち消した格好に。発表をきっかけにドル安に戻されたのは周知の通りです。
FOMC直前に一時115円台半ばまで上昇したドル円相場が、直近では110円割れすれすれまでのドル安に反転しました。FRBの利上げで材料出尽くしに加えて、日本の期末要因も影響しました。
更に、トランプ・スランプ(ネーミングが秀逸)と呼ばれるトランプ政権の政策実行力の無さへの失望も重なりました。
待望の就任後初の予算教書も、中身が薄くスカスカ感があり、大型インフラ投資、大型減税はどこへやら?の印象でした。また、目の敵にしていたオバマケアの代替法案も撤回に。こうなると、政権運営の行き詰まり、まさにスランプを印象づけます。
直近の政権支持率は36%と過去最低水準。このままでは終わらないとは思いますが、アメリカは議会の力が強いですので、支持率の低い大統領の議会との対話は大変なのではないかと思います。
トランプ政権への落胆は出ていますが、昨日発表された消費者信頼感度指数のように米国経済好調の数字は出てきています。新政権による経済刺激策は特別打たなくても、好調さが伝わる米国経済。そのあたりを冷静に見ていきたいところです。
4月から日米経済対話が始まります。こちらから実務的なことが色々出てくるはずですので注目です。
さて、ドル安傾向になったもう一つの背景が通貨ユーロの反転だと思います。
今年は、欧州政治リスクの年と、ずっと言われてきました。共同体ではなく自国ファーストの閉鎖主義への動きからユーロ体制崩壊懸念がありました。
そんな中で、オランダ議会選挙は、現政権が最大勢力を保ち、一定の安心感を与えました。
最大の関心事のフランス大統領選も、ユーロ離脱派と言われるルペン候補の支持が伸びず、中道系独立候補のエマニュエル・マクロン氏(前・経済相)の躍進が伝えられます。そんな中、ルペン候補は、ユーロ離脱等に関する自身の政策を緩めてきてもいます。ちなみに、躍進のマクロン氏にも不倫疑惑浮上などという「よくある」報道もありました。もしも、そんなことがあったとしても、この辺りに、フランスは比較的寛容ではないかと想像しますし、大恋愛の末結婚した愛妻がおられるようです。
フランス大統領選挙の第一回目投票は4月23日、2回目投票が5月7日です。
一方、ドイツも今年は選挙の年。9月に連邦議会選挙があります。最近行われた州議会選挙では、メルケル氏のCDU(キリスト教民主同盟)が圧勝。
CDUとライバルのSPD(社会民主党)の支持率が最近縮小してきたいたので、今回の結果は多少の安心感を与えています。
ユーロ圏の政治リスクが重しになって、ユーロ・ドル相場は、一時は1ユーロ1.04割れまでありました。ここへ来て、1.09まで戻してきているのは、上記の政治リスク懸念の後退、また米国サイドでのトランプ・スランプによるドル安、更に、ユーロ圏経済のデフレ懸念の後退で、ECBのインフレ目標に近づきつつあることから、金融量的緩和政策のテーパリング期待があります。
3月9日のECBの政策決定会合後の会見以来、通貨ユーロはほぼ全ての主要通貨に対して上昇しています。また、通貨の反転と共に株式相場の堅調も目立つ昨今です。
欧州の政治動向がカギを握る、と注目されている今年。懸念は後退しつつあるようですが、選挙は水物。7月に満期を迎えるギリシャ債務の問題が蒸し返される可能性もあります。
船出したばかりのトランプ政権の運営はどうなる?
油断禁物の欧州、長期安泰大丈夫?の安倍ジャパン?
今年は、どこも、政治が鍵を握る年になりそうです。
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※3月29日東京時間午後1時執筆
本号の情報は3月28日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)