ルールとは絶対的なものなのか。
一緒に考えてください。

(3回目)


【前回までの内容】

荒れ狂う管理教育の嵐。愛知県立春日井高校の生徒会は学校側と戦うことを決意。
学校行事を生徒全員にボイコットを呼びかける。
ボイコットは成功。学校側と生徒側との対話が始まった。
深夜遅くまで会議を続ける先生方への申し訳なさから、僕らは事態の早期収拾をはかった。


====1981年2月7日 中日新聞===


大見出し -耐寒訓練きょう再開-
小見出し -春日井高 授業を短縮し実施-


【春日井】
耐寒訓練を生徒がボイコットしていた愛知県春日井市の県立春日井高校(山本八郎校長)は六日、生徒の下校時間を遅らせない方法で耐寒訓練を七日から再開することを決め、生徒たちも納得した。
二日のボイコット騒ぎ以来、五日ぶりに正常化する。

六日は午後二時二十分からの六時間目に一、二年各クラスでホームルームを開き、担任の教師がそれぞれの教室で生徒の指導、説得をした。
さる三日の生徒代表と学校側の話し合いで学校がすでに生徒の意見を聞くことを約束しており、生徒たちの間に耐寒訓練参加の動きが出ていた。
この日、学校側が決定した。
授業を短縮して本来の下校時間までに訓練を終了させるという通知に反対の声はなかった。
授業時間を短縮するのは生徒の下校時間を遅らせないよう配慮したもの。

七日は土曜日のため午前十一時四十五分から午後零時三十五分までの四時間目を耐寒訓練にあて、九日から十三日までは、授業を五分間ずつ短縮、午後二時四十分から三時十分まで訓練をする。
同訓練は当初予定されていた十三日で打ち切り。
十四日に行う予定だった校内駅伝は中止する。


-生徒代表の話-

下校時間を遅らせないという要求が聞き入れられたので満足している。
まだ不満の者もいるが、学校側が今後話し合いに応じてくれるというので、要求を出していくつもり。


-山本校長の話-

耐寒訓練の時間を早めたのは女子生徒の安全を考えてのこと。生徒たちの不満はクラス担任を通すなどルールに従って出されれば聞いていきたい。


----以上、原文のまま----


耐寒訓練が始まった。

僕らはジャージに着替えて、校舎をゆっくりと周回した。
新聞記者とカメラマンも生徒が走る写真を撮っていた。

翌日の新聞各紙には、生徒が「楽しそう??」に先生たちと走る姿が新聞に載った。

管理教育は善だったのだろうか。
確かに、規律を強化することで、一時の大学進学率は上がるだろう。

親もそれを望んでいる。

だが、本当に大切なことは、生徒自身の意志であり、「盲目的に従う」ことは社会的な付加価値とはならない。


組織にはおかしなルールがある。
おかしなルールは組織の構成員の合意のもとで時間をかけて変えていくべきだ。


僕らが生徒会選挙で歌った歌が以下の歌である。


作詞作曲 山本 潤 アレンジ 中村幸宏 (1980年6月)

-なんちゅうふうだ-
(C)希望に燃えて(F)夢を求めて(G)この学校に(C)来たけれど(G)
(C)なんじゃらこんじゃら(F)がっかり後悔(C)お家に(G)帰りたい
(C)

(C)いましかできない(F)ことをやって(G)みるのが青春だと
(C)信じてた(G)のに
(C)ああしろ、こうしろ、(F)ガミガミわめく(G)指導部長にゃ
(C)驚い(G)た(C)

(F)パーマを(G)かけては(C)いけません
(F)バイクに(G)乗ったら(C)退学だ
(F)スカートの(G)長さは(C)いいかな?
(F)バッチは(D)ボタンは(G)ワッペンは?
やってられない!(G)

(F)規則規則規則規則(C)規則
(G)規則規則規則(C)規則規則
(F)規則規則規則規則(C)規則
(G)規則規則規則(C)規則規則

(幸宏のベースの間奏)


やってみたいことがありすぎて困っているというときに
一日四時間勉強しろとは少し非常識じゃないですか
なにも学校の勉強だけがすべての勉強じゃないはずで
テストテストで苦しむことほど馬鹿げた勉強はないのさ

髪の毛は肩のとこまでよ
靴下は白をはきなさい
遠足はジャージでいきなさい
成績で分けられたクラス
がまんできない!

(F)規則規則規則規則(C)規則
(G)規則規則規則(C)規則規則
(F)規則規則規則規則(C)規則
(G)規則規則規則(C)規則規則


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中村幸宏は芸術的なベースラインを作った。

このことを書き留めたいと思ったのは、当事者のひとりである幸宏が2010年6月1日に舌癌で46才の若さで亡くなったからである。

僕たちは高校生のころ反抗期の真っ最中だったから、幸宏はこの事件のことを母上に話さなかっただろう。

幸宏から始まった学校との戦いを、彼の立派な生き様を、幸宏の母上に読んでもらいたいがためだった。
母上がご存命のうちに。それも、このコラム執筆の理由のひとつだ。


先日、幸宏の母上にお会いしたときは、

「出来る人は神様がすぐにほしがるから早く天国に行ってしまう」

とおっしゃっていた。

その通り。よい人はすぐに神様に呼ばれる。
逝くには早すぎたな、幸宏。僕がいくまで待っていてくれ。


僕は心の中で、思った。

「天国で、幸宏、おまえ、やることあるのか?」

僕らの力を必要としているのは、むしろ、いま、地獄で苦しんでいる人々だ。

幸宏は弱きを助け強きをくじく男だ。

幸宏、僕が死んだら、今度は、地獄に乗り込もう!!!
そして、もし、地獄が理不尽さで満ちているならば、
共にあの世を変えていこうじゃないか。


日本株ファンドマネジャー
山本 潤


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