(ナチュラルアート「農業ジャパンコラム」より)
原油高、円安でガソリンの上昇が顕著となってきました。
既に木材価格は急騰したと言うのは記憶に新しいのですが海運などロジスティックに影響をもたらしているほか、亜鉛を始めとした非鉄など一次産品の市況が上昇していて225採用の東邦亜鉛(5707)や和製メジャーのINPEX(1605)、石炭事業の三井松島(1518)などの株価も急騰しているようです。
本日は以下に農業分野で活躍されているナチュラルアートの鈴木社長のコラムを以下、紹介しておきます。
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ガソリンはじめ燃料価格の高騰が続いています。
このメルマガでも、何度も要注意だと発信してきましたが。
これから冬を迎えるというのに。
農業では、イチゴやトマトなどハウス栽培作物は、重油ボイラーで加温するのが一般的です。
例年でも燃料代の支払いが大変だと言われているのに、今年は更なる高騰で大きな問題です。
畜産や加工分野でも、燃料を多く消費します。
もちろん、それら農作物は、運搬も伴いますから、物流費の高騰も心配のタネです。ただでさえ、コロナ不況は一次産業にも大きな悪影響を与えています。
そこにきて更に燃料の高騰は、かなり大きなインパクトがあります。
世界の潮流は、環境問題対策で、化石燃料から脱却する脱炭素を進めています。
皮肉にも、それが化石燃料価格高騰に拍車をかけています。
以下はデイリー新潮の記事です。
見出しは、「ガソリン1リットル=200円の現実味“脱炭素”で近い将来深刻な供給不足も」。
資源エネルギー庁が発表した全国のレギュラーガソリンの平均価格(10月1日時点)は1リットル当たり162円を突破している。
160円台は2018年10月以来、3年ぶりの高値だ。当面上昇傾向が続きそうで、「年内に170円まで上昇する可能性がある」との予測が出ている。
そもそもガソリンの価格はなぜ変動するのだろうか。
ガソリンは原料となる原油を輸入し、それを石油元売り会社が精製して、ガソリンスタンドなどへ運ばれる。価格が変動する主な要因は、原油価格と為替によるものだ。
原油価格は、産油国の生産動向や国際的な紛争(いわゆる地政学リスク)などに大きな影響を受ける。
ドル建てになっていることから、円安になれば日本に輸入される原油価格は上昇する。
ガソリン価格を考えるに当たって見逃せないのは税金だ。ガソリンには消費税はもちろんのこと、ガソリン税など数種類の税金がかかっており、これらの税金はガソリン価格の約半分を占めている。このことは原料である原油の価格が2倍になっても、ガソリンの価格は1.5倍程度の上昇にとどまることを意味する。
かつてはガソリンスタンドなどの「薄利多売」戦略により、原油価格が上がってもガソリン価格が追随しないという状況も散見されていた。
だがこの20年ほどでガソリンを巡る産業の構造は大きく変わった。
20社ほどあった石油元売り会社は、現在では5社に集約され、ENEOSと出光興産の上位2社で8割のシェアを占めている。
ガソリンスタンドも1994年度をピークに右肩下がりとなり、2019年度末時点では2万9637カ所と半減した。
このように石油元売り会社の統合・再編やガソリンスタンドの減少によって、販売戦略が「利益重視」に変わったことで、原油高はそのまま製品であるガソリンの価格に反映されやすくなった。
このためガソリン価格が下がるには「原油価格が下落するか」、「円高が進行するか」のどちらかの条件が必要となる。
為替については、日米の金利差拡大の拡大観測などで円安が続いている。
気になるのは原油価格の動向だ。
足元の原油価格は1バレル=80ドル台で推移している。
2014年10月以来の高い水準だ。年初から約50%上昇している。
新型コロナウイルスのパンデミックで急減した原油需要が順調に回復しているのにもかかわらず、主要産油国の供給拡大のペースが鈍いことが主な理由だ。
OPEC(石油輸出国機構)とロシアなどの大産油国で構成されるOPECプラスは、10月4日に閣僚級会合を開催し、前月と同様に11月の原油生産量を、日量40万バレル増加させることで合意した。米国やインドなどの主要消費国から増産幅の拡大を望む声が上がっていたが、OPECプラスは増産要請に応えなかった。
「新型コロナウイルスの第4波が原油需要を再び減少させかねない」と懸念したからだ。
OPECプラスは「来年は供給過多になる」と見込んでおり、増産幅を拡大すれば、原油市場の需給バランスが大きく崩れると判断したのだろう。
何より安定した原油価格を望んでいる。
だが皮肉なことに、OPECプラスの今回の決定が市場を不安定化させている。
というのも、OPECプラスが大幅な増産を見送ったことで供給不足への懸念が高まり、「主要産油国が供給を増やさない限り、原油価格は90ドルを突破する」との懸念が生まれているからだ。
そしてパンデミックの影響以上に原油価格の上昇に拍車をかけているのは、「脱炭素」の動きだ。
化石燃料の中で最も二酸化炭素の排出量が少ない天然ガスに注目が集まり、特に発電分野での天然ガスシフトが一気に進んだことで、世界的に天然ガスの価格が急騰している。
欧州の天然ガス価格は一時、原油換算で1バレル=200ドルを突破し、その後も同160ドル台と高止まっている。
この価格はWTI原油先物(アメリカの代表的な原油の先物商品)価格の約2倍に相当することから、相対的に割安な原油を発電燃料に使う動きが欧州やアジアで広がり始めた。
10月上旬、サウジアラムコは「原油需要が当初の想定より日量50万バレル増加している」との認識を示した。
想定外の需要増が発生したことに戸惑いの色を隠せないでいる。
世界最大の原油消費国である米国も「脱炭素」の動きで混乱している。
2010年代に起きたシェール革命で世界第1位の原油生産国に復活した米国だが、「脱炭素」の風潮も災いして、原油生産量は日量1130万バレルと、コロナ禍以前よりも200万バレル低いままだ。
ガソリンの小売価格は1ガロン=3ドル20セントを超え、2014年10月以来の最高値に達した。
暖房需要が高まる冬を前に、米国のヒーティングオイルの在庫は十数年ぶりの低水準となっており、「厳しい冬の到来で原油価格は100ドルを超える」との予測が現実味を増しつつあるのだ。
原油価格の100ドル超えが一時的なものにとどまらない可能性もある。
国際エネルギー機関(IEA)は今年5月、「2050年までに世界の温暖化ガス排出量を実質ゼロにするため、化石燃料関連の新規投資の決定を今年中に停止すべき」と提言した。
だが、「2050年の世界の原油需要は20年比で4割増える」との予測がある(米エネルギー省)。
投資が停滞すれば、近い将来、深刻な供給不足に見舞われてしまう。
「脱炭素」の実現を急げば急ぐほど、原油価格が高騰するリスクが高まる。
国内のガソリン価格も200円超えとなってしまうのではないだろうか。
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こうした予測がますますこれに連動する企業の株価を押し上げている。
市況産業の株価上昇は循環して起きており、景気が盛り上がらない中でインフレが進行するスタグフレーションの現象を巻き起こす懸念も生まれつつある。
発足した岸田新政権も衆院選を前に何らかの対応に迫られようとしているが株式市場全体にとってもこのままでは波乱要因になりそうだ。
(炎)
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