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宇露戦争の行方と株式相場
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宇露戦争の行方と株式相場

2022-03-16 16:29



     1カ月前のキエフの街は比較的のんびりムード。平穏そうな街並みだった。
     2014年からのロシアとの緊張関係が続きかつて混乱した独立広場も静かな雰囲気に包まれていた。
     侵攻の意図はないとしていたロシアが2月24日に侵攻を開始して以来、戦時下に陥ったウクライナだが、その戦争の行方は誰にも分らない。侵攻が想定される中で備えはしていた筈だが、いざ戦争が起きてみると2国間だけではなく世界中に影響をもたらしている。


     本コラムでは2国間の戦争がそれ以上に拡大することがないことを祈るばかりだが、この戦争の裏の主体がNATO(EU)+米国(日本)とロシア+中国(北朝鮮)の陣営となりつつあるということを理解すれば、予断を許さない。

     もちろん、ウクライナから離れているのんびりムードの日本と言えども影響は免れず、その影響度はこれから明確になると見られる。2020年からの2年以上にも及ぶコロナ禍を上回るほどの影響が日本経済にこれからもたらされると懸念されるためこの先も暗雲が株式相場に立ちこめることになる。

     このことは誰しも予見できるだろう。


     宇露戦争の行方は現在まだ誰しも見通すことは難しい。

     米国の軍事顧問団より訓練されていたウクライナ軍側も徹底抗戦中でキエフへの侵攻を進めるロシア軍も苦戦しているとの話がメディアで一応伝えられている。
     戦時下で真実は不明だが、こうした戦況を踏まえて情報戦も活発化しており、株式市場にはそうした情報戦に振り回される可能性がある。

     今後の懸念は核を保有するロシアがよもやの行動に出ること。その前にNATO(米国)の介入という事態となれば一層の危機となるが、おそらくはそうしたことまではいかないだろう。そうなると世界が終わりを迎えるからだ。
     プーチンも口では脅しているが、最悪の行動には踏み切れないだろう。


    「ブラックスワン」

     何が起きるか分からないことを示す世界で言われるキーワードだ。
     最悪の事態はここでは前提としないでおくとして一般的なシナリオとしてはポジティブ、ネガティブに分かれるが、

    1)暖かくなり早期の停戦に向けた交渉が宇露間で進展する。

     この場合は当然ポジティブで株式市場は大反転の動きを見せる。
     ただ、停戦までの最終合意までには時間を要し、紆余曲折がある。


    2)停戦合意に至らず経済社会生活の混乱が長期にわたり続く。

     この場合はネガティブなまま長期的な下降トレンドが続くが、ウクライナ国内だけの問題にとどまるかどうかがポイントとなる。


    3)ウクライナの敗戦(ロシアの勝利)

     一旦は戦争終結を市場は好感する可能性はあるが、その後に控えるロシアと世界の対決が継続し株式相場も波乱を続ける。


    4)ロシア国内で抑圧された反戦ムードが一定期間後に高まり、ロシアがウクライナからの撤退に迫られる。(ロシアの敗戦)

     当然のごとく、こうした結果となれば株式相場は大きく急騰を演じることになる。


     世界の株式市場の中で米国は最強の市場。その米国の株式相場はいずれもまだ調整トレンドの中にある。過去の上昇トレンドはバイデン大統領に失政で終焉し、NYダウはピークから13%ほどの調整。NASDAQは20%程となるそれより大きな調整を見せているが、コロナショックやリーマンショック時に比べればまだ調整率は小さく、下落相場はこれからが本番を迎えることになりそうだ。

     欧州も日本株も似たりよったりで調整率はNYダウよりを上回っているが、とりわけマザーズ指数は高値から半値水準にまで調整しており、既にコロナショック水準まで残り150ポイントほどに接近している。各指数がどのような展開を見せるのかはウクライナ情勢次第とも言えるが、日本株については個別銘柄次第とも言える。原油高がややピークアウトしたとの印象がある一方で為替が円安に振れているなどの要因も加味しながら圧倒的に市場平均を下回る低PER銘柄、高配当利回り銘柄などのバリュー物色傾向が続くものと見たい。


     なお、ウクライナもロシアも世界経済に占める位置として重要でロシアは天然ガス、石油、木材、パラジウムなどの産地。脱炭素化を目指すドイツはロシア産の天然ガスに依存している点が今回の侵攻につながったとも指摘されている。
     一方のウクライナは小麦の一大産地で既に価格の上昇で食パン価格の値上がりにつながると予想されているほか鉄鋼生産の副産物として生産される半導体の製造に不可欠なネオンガス(DUV露光工程で使用、DUV露光工程はDRAMの90%、NANDフラッシュメモリーは100%)やクリプトン、キセノンなどの希ガスの世界最大級とも言うべき供給基地でもあり、半導体メーカーの備蓄がまだある間(3か月間)は大丈夫だとしても戦争が長期化して調達に支障が出た場合は半導体の生産に支障をきたすことが予想される。
     ただでさえ自動車やデータセンター向けなどに需要が拡大する中で、この点が余計に需要を拡大させ半導体不足に拍車をかける可能性も出てきた。

     テレビメディアでは戦況の話が伝えられるばかりであるが、実際にはこうした話に関心を寄せておく必要がある。

     ルネサスエレクトロニクス(6723)など大手半導体メーカーの業績は拡大しているが、こうしたリスク要因も潜んでいるということになる。

     日本の産業は世界経済と密接につながっており、宇露戦争による影響はじっくりと見極めている必要がありそうだ。
     とりわけ世界市場に向けた自動車など半導体を用いた製品の生産にもたらされる影響には注視しておきたい。


     一方でネガティブな話だけではなくまだ時期尚早ながらウクライナ復興に向けた歩みも戦争が終結した後には注目されるだろう。これについてはまた改めての機会に触れてみたい。


    (炎)


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    です。


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