冷静に考えるに、ギリシャのここ40~50年の歴史や成り立ちを踏まえれば、そもそも高度な産業や資源なども少なく、小職のイメージではザックリと一人当たりGDPで20,000ドル辺りが上限の経済力とみるのが妥当ではないかな?と考えています。
ところが、そんな中で財政運営に苦慮していた同国がEuroに加盟したことでバラマキの原資を得て、25,000ドル以上の国家運営を始めてしまったこ とが間違いの始まりだったのではないでしょうか。とは言え、今さら財政緊縮策だけでギリシャが復活するはずもありません。ユーロ主要国の言いなりではギリ シャは借金地獄に陥ります。
無能な世襲政治が続く同国政治家の腐敗や、裏経済との癒着、脱税の横行を(癒着の為?)止められない行政など、コトの本質を見てきた国民が「藁をも掴む 思い」で新政権に期待をしたことは良く理解できます。日本でも政治が機能不全となった自民党政権末期から民主党政権への移行期を経験していますから。
ギリシャは出来る事ならユーロに留まったまま貿易収支の改善や産業育成策も併せて財政再建を目指さねばいけませんから、まだ暫くはギリシャにとって厳しい環境が続くものと思われます。
徴税率も低く財政難に苦しんでいた国(ギリシャ)と、それをユーロに引き込みたかった国(欧州主要国)が無理を承知で承認してしまったのです。恐らくは 90年代から粉飾をしていたのでしょうが、加入できたお蔭でギリシャは当面の運転資金を得、一方の欧州主要国は産業競争力が違うにもかかわらず同じ為替で ものを買わせることに成功しました。彼らなりの地政学的な戦略もあるのでしょうが、言わば一昔前のサブプライムと同様の仕組みで金を回し、利益を享受し合 い、そして限界が来た訳です。
借りた金で無駄遣いをした国の政治家も困りますが、分かっていて貸した方にも問題があります。中東地域の紛争同様、元を質せば欧州主要国がちゃんと責任 を取って処理をしなければいけません。米国もそれが分かっているからこそ「自分達で何とかしろ!」と欧州にプレッシャーをかけている訳です。
100年前と同様、身勝手な理由で略奪を繰り返して自分達だけ繁栄してきたのですから、自分で撒いた種はちゃんと刈り取ってもらいたいものです。
中国にしても、散々庶民を煽って株高を演出しておき、いい加減上がったところで金を作りたい上部組織(狂産党既得権者)が売り始めたら暴落した…って訳ですから、これも身勝手なものです。
ところで、TVを見ていて感心したのは、ギリシャの人達がお金をおろすために銀行前に整然と並んでいること。やはりこの国でも最も苦労をしているのは生活弱者ですね。
もしこれが中国だったら、窓口に殺到した人達で血みどろの現場となっていることでしょう(笑)。想定通り、ギリシャでも政治家や役人は腐っているものの、一般国民は先進国のモラルを維持しているようで安心しました。
我々はこれら株価乱高下の材料にいちいち付き合って「上がった、下がった」と翻弄されることの無いよう、地道な投資を心掛けたいと思っています。
さて、今週火曜日の日経市場欄で「村上ファンドの再来」とのコラムがありました。今年はまさに日本の株式市場が本当の資本市場に脱皮できるのかが問われると思われます。
もちろん闇雲に米国型のような資本家至上主義的になる必要は無く、従業員を中心としたステークホルダーに十分に配慮された経営が理想と思いますが、ともすれば株主置き去りの経営思想が蔓延していた仲良し経営から脱しなければ資本市場のダイナミズムが失われます。
もちろん市場監督者である金融当局や司法による、従来型の既得権維持や硬直的、または感情論的な古い市場運営思想も変わらねばいけません。本気で日本をアジアの金融センターにしたいのであれば市場関係者の覚悟が問われます。
先週末に米系のファンド関係者と会食をしました。
「今の日本株のPER17倍は通過点ですよ」
「日本政府は資産バブルと円安をテコに財政と景気を立て直す両面作戦を展開しているのですから、まだ暫くは強いと思います」
「昨年からは一層、地方金融機関の運用難が顕著になり、様々な依頼が来るようになりました」
等々・・・
「まだまだこれから」と言った話をしてくれました。強気です。
(街のコンサルタント)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)