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「『自分はまだダメだ…』を武器にする技術」の続きです!(#1)

 

このシリーズでは、私たちの人生の満足度を下げちゃうインポスター症候群について触れてまして、今回は「インポスター症候群」の話です。ざっくり言うと「自分の成功を実力と認められず、偶然や運の結果だと思い込んでしまう心理現象」のことで、こいつをこじらせると、いつまでも達成感を得ることができず、人生の満足度がダダ下がりしちゃう可能性が高まるんで、心当たりのある方はぜひ注意しておきたいところです。

 

ということで、今回はその第2弾。インポスター症候群を引き起こす最大の原因のひとつである“完璧主義”を考えてみましょう。

 

 

 

インポスター症候群改善ステップ2. 専門性を“削って磨く”

さて、インポスター症候群をこじらせる最大の要因のひとつが完璧主義で、これは「全部できなければ無能だ!」というメンタリティのことであります。

 

完璧主義ってのは、自己評価の基準が「常に100点」で固定されてしまう思考のクセで、少しでも不完全な点が見つかると、「失敗だ!」「価値がない!」と白黒で判断してしまう認知パターンを指します。認知行動療法では典型的な「認知の歪み」の一つとされ、とくに努力家や向上心の高い人ほどはまり込みやすい罠だといわれています。問題は、完璧であろうとするほど不安や焦りが増えていき、行動の質がむしろ下がるという逆効果を生みやすい点にあります。

 

まあ「完璧」を求める心理が必ずしも悪いとは言わないんだけど、今の知識社会では、“すべてを理解しようとする人”ほど自信を失いやすいことが明らかにされております。情報量が爆発的に増えた現在において1人がすべてを掌握するのは不可能なんで、努力すればするほど「自分はまだ足りない」という感覚が強化されてしまうのは当然でしょう。

 

認知心理学では、これを「専門的過負荷」と呼んでまして、学ぶ範囲を広げすぎると脳内で「自分が知らない領域」が際限なく増殖しちゃって、結果として「俺は無知なのだ!」って感覚が膨らんじゃうんですよ。 つまり、知れば知るほど「自分はまだ足りない」と感じるパラドックスが起きるわけでして、この現象を「逆ダニング=クルーガー効果」と呼ぶ研究者もいたりします(ダニング=クルーガー効果の逆パターンなので)。

 

栄養学のエキスパートであるアラン・アラゴン先生いわく、

 

栄養学、心理学、トレーニング科学、行動変容──それぞれを“博士レベル”で極めようとした瞬間、誰も前に進めなくなる。

 

とのことで、そりゃそうですよねーってとこじゃないでしょうか。人間の処理能力に限界がある以上、「全部を完璧にやる」という戦略は、どうしても不可能なミッションになっちゃいますからねぇ。

 

では、ここから生じるインポスター症候群にどう対処すればいいか? ってことで、完璧主義に効く方法はいろいろあるんだけど(セルフコンパッションとか)、ここでは「専門性を“削って磨く”」ってポイントにフォーカスしてみましょう。

 

「専門性を“削って磨く”」というのは、「学ぶ領域を広げることより、“自分が本当に勝負する領域”を明確に定義し、その範囲内で深さと実践力を高める」って戦略のことです。つまり、知識量を無限に増やそうとするのではなく、「捨てる」「選ぶ」「絞る」ことで自分の専門性の軸を作って、実力と自信を安定的に高めていく考え方です。

 

なぜこれが完璧主義に効くかというと、完璧主義が「すべてに対応しなければならない!」って強迫観念を生み出すのに対して、“削って磨く”はその逆で「やらないこと」を決めるアプローチだからです。余計な領域やノイズを切り落とすことで、自分のリソースを本当に重要なテーマだけに集中させられるようになり、その結果として評価基準が明確になり、自分の成長を客観的に実感しやすくなって、不安や自己否定が減少するわけです。

 

これを脳科学の観点からチェックしてみると、人間の脳ってのは、複数の領域を同時に深掘りしようとすると、ワーキングメモリと注意資源が分散しちゃって、長期記憶にたたき込まれる効率が半減してしまうんですよね。 一方で、1つのテーマを集中的に掘ると、関連知識が“スキーマ(知識構造)”として結合して、学習スピードが加速するのが面白いところ。 このスキーマ形成こそが「専門家の脳」を作る決定的な要素になるわけです。

 

また、臨床心理学では「認知的一貫性」が自己効力感の土台になるとされまして、 「自分はこの領域の人間だ!」と明確に自覚できると、自己評価が安定して、他分野への劣等感も減ることがわかっております。逆に、領域を広げすぎると「何者でもない自分」が強化され、不安定さが増すわけですね。これもまた“削って磨く”の良いメリットでありましょう。