
世の中には、ネガティブな思考に対して2つのアプローチがあるわけです。
- 「嫌なことは、考えないようにしましょう!」みたいなアドバイス
- 「無理に考えないようにすると逆効果だから受け入れようぜ!」みたいなアドバイス
で、近年優勢なのは後者の「ネガティブ受け入れ派」でして、この考え方は「白くま効果」と呼ばれる現象をベースにしております。これは、ある考えを思い浮かべないようにすると(たとえば「白くまを思い浮かべないで!」みたいな)、かえってそれが頭から離れなくなる、というものでして、複数の研究で存在が確認されている超有名な現象であります。
この話をもとに、心理療法の世界では「ネガティブな思考は無理に抑えないほうがいい」って考え方が生まれ、実際に治療の効果も高かったことから、ある意味で定説になりつつあったんですよ。が、最近になって、この見方をひっくり返した(かもしれない)研究(R)が登場したから、さぁ大変ってのが今回のお話です。
思考の抑圧で、むしろメンタルが改善する?
これはケンブリッジ大学のチームが行った実験で、要点をざっくりまとめると、こんな感じです。
- 世界16カ国から120人が参加(全員が何らかの不安・悩みを抱えていたとのこと)
- それぞれの「将来に対する不安(例:家族が病気になる、仕事を失う)」を20個書き出してもらう
- その一部について「思い出す訓練」、別の一部は「思い出さない訓練(=思考抑制)」を実施し、3日間かけて繰り返し訓練する
- その後、抑制した思考がどう変化したか、メンタルの状態がどうなったかを検証し、3ヶ月後にもフォローアップ
すると、結果は従来の定説を裏切るものでして、
- ネガティブな思考を抑える訓練をした人ほど、うつ・不安・ネガティブ感情が改善し、主観的な幸福度も上がった!
って感じだったんですよ。面白いですねぇ。
この研究で使われたのは、「Imagine/No-Imagineタスク」と呼ばれるもので、ネガティブな思考(たとえば「病気になるかも!」など)に対して、 「意図的に思い出す」または 「意図的に思い出さない」って行動をトレーニングする方法です。さらに詳しくは後述しますが、こうやって「思考のオン/オフ」を自分で切り替える練習をすることで、 嫌な思考が勝手に浮かんでくる癖を弱めていこう!って考え方なんですね。
で、この方法で3日間にわたって訓練を行った参加者に、どんな変化が表れたかと言いますと、
- 抑制した思考は、記憶の鮮明さが下がった
- 不安やネガティブ感情の強さも減少
- メンタルヘルス全般に改善傾向
- しかも、この効果は高い不安・うつ・PTSD症状がある人ほど強く現れた
ということで、実に良い結果だったわけです。不思議なもんですなぁ。
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