-
■久瀬太一/7月27日/11時
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
佐倉ちえりとの待ち合わせ場所は、都内のある喫茶店だった。オレがとっているホテルから少し距離がある。 オレはちょうど11時になる頃、約束の喫茶店に入った。 店内をざっと見渡すと、若い女性がひとり、席から立ち上がって頭を下げた。彼女が佐倉ちえりだ。 オレが歩み寄ると、彼女は微笑んで、「変わっていませ...
-
■佐倉みさき/7月26日/24時15分
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
身動きがとれなかった。 私は拳銃と向かい合ったまま震えていた。 背中の方向から、足音が近づいてくる。それがすぐ近くで止まり、視界の片端に奴の足が入り込む。 死にたくなかった。殺される、と思った。でも。「散らかすんじゃねぇよ」 サングラスはそう呟いて、拳銃を拾い上げただけだった。 ――部屋を散らか...
-
■佐倉みさき/7月26日/24時
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
丸一日、私はフローリングの上に転がっていたのだった。 人間というのは意外と環境に対応するもので、私は両手両足をしばられ口にガムテープを貼られたまま身体をストレッチする方法を習得しつつあったけれど、とはいえ腕も足も可動範囲が極めて制限されているから全身の筋肉が強張って気持ちが悪い。これまで肩こり...
-
■久瀬太一/7月26日/23時
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
そうだ、と思い返す。 オレは明日の20時までは無事だし、みさきは8月24日まで無事なんだ。 胸の中で繰り返すと、ずいぶん落ちつけた。 ――あのサングラスが、明日の夜やってくる。 そのことを冷静に考えられた。 バスの中のきぐるみは言ったのだ。「また明日会おうぜ」と。 今夜、オレはもう一度、自由に動ける...
-
■久瀬太一/7月26日/22時10分
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
彼女は7月25日22:00時点では、どこかのマンションらしき部屋にいた。彼女を捕らえたサングラスの男性も部屋にいた。それ以降はわからない。 ※ ――あいつか。 オレはスマートフォンを強く握りしめる。 やっぱり、あいつなのか。 考えれば、当然、推測が着くことだ。 明日の意味がまったく変わったように...
-
■久瀬太一/7月26日/22時
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
ホームに着いたとき、またメールが届いた。 それをひらいて、息が詰まる。 ※ 佐倉みさきさんが、また連れ去られました! ※ 予想は、ついていた。 相手が複数犯だったこと。みさきがまだ、家に戻っていないこと。 充分想像していたのに、でも事実を突きつけられると衝撃的だった。――し...
-
■久瀬太一/7月26日/21時50分
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
ポケットの中で、またスマートフォンが震える。 オレは駅に向かって走りながら、それを確認する。 ※ 質問ばかりで本当に申し訳ない.子供のころ佐倉みさきについた嘘の内容は? あなたの父親の職業は? クリスマスパーティの開催場所と主催者を覚えているか? 佐倉ちえりの現状を知っているか? ...
-
■久瀬太一/7月26日/8時30分
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
犯人がすでに自白しているということもあるだろうし、傷だらけのオレに配慮してくれたのもあるかもしれない。警察の事情聴取は、それほど長いものではなかった。昨夜は、日付けが変わるころには部屋に戻っていた。 みさきはまだみつかっていないらしい。不安でもあったが、一方で奇妙な安心感もあった。彼女が死ぬの...
-
■久瀬太一/7月25日/22時30分
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
警察にスーツの身柄を引き渡したところまでは覚えている。 その後は記憶がなかった。オレは上手く、事情を説明できただろうか? 目を開くと、オレは再びあのバスターミナルにいた。人の気配はない。なんの音もしない。目の前にバスが停まっている。そのライトがオレを照らしている。行き先表示は、『8月24日』。ず...
-
■佐倉みさき/7月25日/22時20分
コメ1 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
奇妙に息苦しかった。 周囲は薄暗い。どこか、フローリングの上に転がされているようだ。そう間もなく、また誘拐されたのだ、と気づく。 今度は手足が縛られていた。口にはガムテープか何かがはりつけられている。べったりと頬を覆う粘着面が気持ち悪かった。 首を動かし、辺りを見渡す。 広い部屋だ。高級マンシ...
-
■久瀬太一/7月25日/21時20分
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
ふいに泣き声が聞こえてきた。すぐ手元からだった。「どうして」 スイッチが入ったまま転がっていた懐中電灯で、スーツの顔がみえていた。 奴は泣いていた。 思い切り顔を歪めて、子供のように声を上げて。「私は正しいことをしたんだ。どうして、こんな目に合うんだ」 その言葉に、ひどく苛立った。 でも泣いて...
-
■佐倉みさき/7月25日/21時05分
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
そろそろ時間だ。 私はノートPCを手に、ドアの前に立った。 ――反撃を、相手は予想しているだろうか? 私は自身の行動を想像する。とにかく先手を取るべきだと思った。ドアが開くと、すぐに行動した方がよい。 敵に駆け寄る。まず一発殴る。思う存分恨みを込めて。それから、一目散に逃げ出そう。 ――久瀬くん。...
-
■久瀬太一/7月25日/21時
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
爆発のようなでかい音が聞こえた。「なぜだ!」 スーツが叫ぶ。 部屋はもうどっぷりと闇に落ちていた。 スーツが床においた懐中電灯だけが、まっすぐな光を放っていた。それに照らされて、彼の足元でテーブルが倒れているのがみえる。きっとまた蹴り倒したのだろう。「なぜ、爆発しない!?」 きっと、午後9時を...
-
■佐倉みさき/7月25日/20時40分
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
私はまだ捕らえられている。 それでも、爆弾は止まったのだ。 ――きっと、反撃のチャンスはある。 誘拐犯には、私に対する明確な殺意があった。そう仮定する。 なら、時限爆弾を止めたことは、あちらにとっては想定外なはずだ。爆発が起こらなければ、必ずこの部屋の様子をみにくる。間違いない。それが起こるのは...
-
■佐倉みさき/7月25日/20時25分
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
涙で滲んだ視界で、赤い光が、弾けて消えた。 タイマーから、時刻表示が消えている。 ――止まった。 止まった、止まった、止まった。 本当に止まったのだ! 私は胸の中で何度も、止まったと繰り返す。腰の辺りに力が入らなくて、その場にへたりこんだ。 深く息を吸って、吐く。私はまだ生きている。 このままし...
-
■佐倉みさき/7月25日/20時20分
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
じっと動画をみつめていると、ひとつのコメントが、目に飛び込んできた。 それは他のコメントと同じ速度で左へと流れていく。私は慌てて、シークバーを操作して、停止ボタンを押した。 ※ 間違いない、タイマーボックス「のみ」を振ればタイマーが止まる!! ※ そんな馬鹿な、と思っ...
-
■佐倉みさき/7月25日/19時25分
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
動画に、気になるコメントが流れた。 ※ こっちは爆弾の設計図を見ることができてます。赤青どちらを切っても危険そうです。そのまま待機で。 ※ ――そうか。 背中を、冷たいものが走った。 ――犯人は私に、あのコードを切らせたかったんだ。 だから私は手足をしばられることもなく、...
-
■佐倉みさき/7月25日/19時10分
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
5つ目のロッカーには、なにも入っていなかった。 私はトートバッグを手に、ノートPCの前に戻る。この部屋の中でいちばん明るい場所がそこだし、コメントをチェックしたいというのもあった。 ノートPCからもれる光に照らしながら、トートバッグを開いてみる。 中には半分に折り畳まれた厚手の紙が1枚入ってい...
-
■久瀬太一/7月25日/19時05分
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
オレは椅子に縛られ、床に転がったまま、目の前の図をじっと眺める。 ――これを読み解けば、みさきを助けられるのか? いや、でもどうやって解除方法を伝えればいい? オレはしばられ、身動きがとけない。 スーツの男は再びベッドに腰を下ろし、懐中時計を眺めている。「ああ、もう日が暮れてしまうじゃないか」 ...
-
■佐倉みさき/7月25日/18時50分
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
あまりに、目の前の出来事が非現実的だからだろうか? いつの間にか、恐怖が少しだけ薄らいでいた。 私はともかく、目についたコメントに応える。 ――佐倉さん 時限装置なのですが、赤と青のコード以外になにか目に付くものはありませんか? わからない。時限爆弾なんて、みたことない。私には普通の時限爆弾にみえ...
-
■佐倉みさき/7月25日/18時30分
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
どうして、私を知っているんですか? そう打ち込んだ。 動画のコメントでは、「私」が誰だかわからないと気づいて、後ろにカッコをつけ、佐倉、と書き足す。 それから、私は動画を流れるコメントを、必死に追う。 ――彼らは、ソル。 私と、そして久瀬くんの仲間。 わけのわからない事態だけれど、その言葉には説...
-
■佐倉みさき/7月25日/18時10分
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
いったいどれくいだろう? ずいぶん長い時間、私はカウントダウンタイマーの赤い数字をみつめていた。 なにも考えられなかった。 でも、いつまでもショックを受けているわけにもいかない。 私は息を止める。両手でぱん、と頬を叩く。 とにかく、できることをみつけなければならない。部屋の中を見渡す。 目につ...
-
■佐倉みさき/7月25日/16時25分
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
「こんなところで何してんだよ?」 久瀬くんだ。 ドアの向こうに久瀬くんがいる。 そのセリフを彼の口から聞くのは、これで2度目だ。懐かしくて、なんだか奇妙に感情が高ぶって、泣きそうになる。「そっちこそ。どうして……」 冷たいドアに額を押しつけて、尋ねる。 本当に、どうして。 だって彼に最後にあったの...
-
■佐倉みさき/7月25日/16時10分
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
頬に冷たさを感じて、目が覚める。どうやら床に寝転がっているようだ。 全身が気だるく、身体の片面が特に痛い。瞬きをゆっくりと繰り返しながら、半身を起こす。ここはどこだろう? 鈍った頭でぼんやり考える。 軽快な音楽が流れていた。暗い部屋だった。窓はなく、室内に2つだけある光源が目につく。 片方は床...
-
■久瀬太一/7月25日/16時10分
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
ビルの内部は、冗談みたいに荒れていた。 フロントの面影はカウンターしかなかった。 絨毯かなにか、見栄えの良い表層がはぎ取られた床はコンクリートがむき出して、あちこちが黒ずんで汚れ、皿か花瓶か、割れた陶器の破片がちらばっていた。壁際に残されたソファは当然のように破れて中の綿がみえている。カウンタ...
-
■久瀬太一/7月25日/14時50分
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
オレは電車を降り、ホームの片隅で電話をかける。 050-3171-7100。 ソルから指定された、みさきの番号だ。 彼女と話すのは久しぶりだ。少し、緊張した。なによりも今、元気な声を聞きたかった。 けれど。 ――おかけになった電話番号は、使用されておりません。 聞えてきたのは、無機質で機械的な音声だった。 ど...
-
■久瀬太一/7月25日/13時55分
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
――13章17節 そのベンチで、彼はいつも母親を待っていた。そのベンチが、彼に待つことを教えた。 わかった。 ようやく、思い出した。 地下室。巨大な塔。それから、ベンチ。 あの小さな公園の、小さなベンチ。 間違いない。オレが幼いころ、ほんの半年に満たない期間だけ暮らしていた街だ。 ――でも、あの街の...
-
■久瀬太一/7月25日/12時
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
近場の喫茶店に入り、アイスコーヒーを注文する。 それから、鞄の中から『聖夜教典』を取り出し、挟んでいた暗号をテーブルに広げた。さっぱりわからない。 問題の写メを友人数人に送ってみたところ、ひとりから「現実逃避か?」と返信があった。しばらく意味がわからなかったが、そういえば今日は企業合同説明会だ...
-
■久瀬太一/7月25日/11時15分
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
佐倉みさきに出会ったのは、あるホテルで毎年行われていたクリスマスパーティだった。父親が友人に誘われていたとかで、幼いころはオレも毎年そのパーティに参加していた。オレはそのパーティが嫌いじゃなかった。美味い料理が食えるから。 そこにみさきもいた。彼女は双子だった。見分けがつかないほどよく似た顔立...
-
■久瀬太一/7月25日/11時
コメ0 3D小説「bell」本編 126ヶ月前
夢をみていた。 幼い女の子が泣いている夢だった。 オレは走っていた。 彼女を笑わせたかった。 それが全部だった。 だから―― そうだ。確か、突拍子のない嘘をついて。どうしようもない夢みたいな話をして、つまらないプレゼントをあげて。 それで、あの子は泣き止んだのだろうか? 記憶の中の女の子に、昨日...
-
ベテラン声優多数出演! スマホアプリ発のご当地魔法少女アニメ 『魔法少女大戦』クロスレビュー[6.8/10点]
コメ0 ガジェ通 129ヶ月前
■2014春アニメクロスレビュー『魔法少女大戦』大勢の人で賑わう仙台七夕祭りの中、一人の少女が駆け抜けていく。お伴の御先神(みさき)・タケスズメと共に、マガツヒの悪事から街を守る魔法少女・青葉鳴子だ。はたして彼女の正体は?制作/GAINAX監督/大野木彩乃声優/荒川美穂、山寺宏一、新谷良子、竹内良太4月8日より...
-
ベテラン声優多数出演! スマホアプリ発のご当地魔法少女アニメ 『魔法少女大戦』クロスレビュー[6.8/10点]
コメ0 【無料】ガジェット通信ブロマガ 129ヶ月前
■2014春アニメクロスレビュー『魔法少女大戦』大勢の人で賑わう仙台七夕祭りの中、一人の少女が駆け抜けていく。お伴の御先神(みさき)・タケスズメと共に、マガツヒの悪事から街を守る魔法少女・青葉鳴子だ。はたして彼女の正体は?制作/GAINAX監督/大野木彩乃声優/荒川美穂、山寺宏一、新谷良子、竹内良太4月8日より...
-
リカ・ツバサ・ミサキのアイドルユニット「HGS」のデビューシングル「ミニヨン☆パピヨン」を作曲しました!
コメ0 サカモト教授の 8bit マガジン 129ヶ月前
リカちゃんがアイドルデビュー!デビューシングルを担当させていただきました!
-
阿部敦の声優百貨店#12より阿部敦&橘田いずみサイン入りみにヴぁんDVD!
コメ0 声優百貨店チャンネル 130ヶ月前
阿部敦と橘田いずみがガチヴァンガードファイト!スタンドアップTHEヴァンガード!昨日の阿部敦の声優百貨店#12ご覧頂きましてありがとうございます!途中、映像が途切れてしまいまして申し訳ございませんでした。後日完全版アーカイブをアップいたしますのでしばしお待ちください。