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篠塚恭一:高齢者大国の最前線から(11) ── たった一杯のコーヒー
コメ0 THE JOURNAL 128ヶ月前
たった一枚の絵を見にパリまで来たという人の話をはじめは理解できなかった。当時の私は、時間などいくらでもあると信じていたから、その老婦人の言葉を少し大げさと感じていたように思う。添乗で外国との行き来を頻繁にしていた頃、私はツアーの早い段階に客のもとを回り、参加目的やツアー中にしたいことを一人一人か...
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篠塚恭一:高齢者大国の最前線から(10) ── 個を追いやる現代社会
コメ0 THE JOURNAL 128ヶ月前
景気の回復感とともに振り込め詐欺など、特殊詐欺の被害が過去最悪となっている。<br /><br />被害額はすでに400億円を超え、毎日1億円以上もの個人資産が詐欺で騙しとられた勘定になる。被害に遭う多くは女性高齢者だから、その暮らしや住まい方に問題があることが窺える一方で、次から次へと新手の手口を編み出す犯人...
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篠塚恭一:街へ出よう!(10) ── 公共施設を使いこなす
コメ0 THE JOURNAL 129ヶ月前
「神社仏閣で語り合う」「残された時間を家族旅行で思い出にしたい」 そんな希望を叶えようと主治医が介護旅行を応援してくれることがあります。 映画「風立ちぬ」でも肺を患った主人公が信州で養生する場面がありましたが、ターミナルケアを施されている人、死期が迫る患者に自然環境のよい場所への転地療養をすすめる...
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篠塚恭一:高齢者大国の前線から(9)
コメ0 THE JOURNAL 129ヶ月前
かつて盛り上がった海外移住ブームが再燃している。 終活中の高齢者に今後の人生設計を聞いても海外への移住希望は根強く、これから消費税も上がる日本では、目減りする年金頼りの老後には満足できないのかも知れない。 先日、ロングステイ財団が主催したセミナーに伺ったが、海外移住に関心を持つ人は定年後のシニアだ...
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篠塚恭一:街に出よう!(9)── 外出支援、介助システムの活用法
コメ0 THE JOURNAL 130ヶ月前
「新潟から東京へ母を連れ出したいのですが、お願いできますか?」 介護するお嬢さんから2度目の電話が入りました。 「春に一度、相談したのですが、その時は不安で実現できませんでした。今度は父の同窓会があるので、それを口実に母を連れ出したいと思い連絡しています」 本当は伊豆の温泉へ連れていきたかったのです...
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篠塚恭一:街に出よう!(7)──地域交通を使いこなす(5) 船旅へ
コメ0 THE JOURNAL 132ヶ月前
「次はゆっくりと雰囲気を楽しみたいのですが、どんな旅がおすすめですか?」 はじめての介護旅行が成功して外出に自信をつけたお客様から、そんな質問を受ける。 脳卒中や心臓疾患など大病をした後の旅は、誰もが不安で周囲も緊張しているのが伝わってくる。だから我々は平静を装うが、本人の不安は計り知れない。寝た...
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篠塚恭一:「高齢者大国の前線から」(7)── 未来都市東京を世界に示そう
コメ0 THE JOURNAL 133ヶ月前
2020年、夏の五輪開催が東京に決定した。 各界から祝福メッセージが寄せられる中、元陸上代表の為末大さんが記した言葉が印象に残った。 オリンピック開催へのコメントが多い中、彼はパラリンピック開催に期待を寄せている。高度経済成長期にあった先の東京五輪では、開催決定により首都高速道や東海道新幹線など、後に...
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篠塚恭一:街へ出よう(6)── 地域交通を使いこなす(4) 航空機の利用
コメ0 THE JOURNAL 133ヶ月前
山本サキさんは、今年78歳。 7年前に夫をみおくり、今は都内の自宅に一人で暮らしている。 近くに住む娘の洋子さんが毎日のように訪ねてくれるが、身の回りのことは介護ヘルパーの支援を受けながら、ほとんどが事足りていた。ただ、娘の家族にも多少の気兼ねはあるし、先の心配もあるから、年内に地域包括ケアを提供して...
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篠塚恭一:高齢者大国の前線から(6)── 認知症の問題を先送りせずに
コメ1 THE JOURNAL 134ヶ月前
2年ほど前に縁あって山形県最上町の絆大使に任命された。 それから町の人が広報を送ってくれるので、東北の山間地のことが少しわかるようになった。最上は奥羽山系に囲まれた小国盆地にある小さな町で、稲穂が揺らぐ里山は美しく日本の原風景が心を和ませてくれる。芭蕉が歩いた奥の細道にあたり、ここ数年は外国人旅行...
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【無料公開】篠塚恭一:街へ出よう!(5) 地域交通を使いこなす ── 新幹線では多目的室を賢く利用
コメ0 THE JOURNAL 134ヶ月前
106歳の砺波サキさんは要介護度5、娘のみどりさんともう一度、秋の京都で紅葉狩りをしたいという夢がある。 すでに5万人を越えた百寿者も、その大半はベッドの上で過ごしているという。身体は寝ていても、気持ちまでベッドとの上かというとそうでもない。人は生きる限り、みな夢を持ち、さまざま希望を抱き続ける力を持...
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【無料公開】篠塚恭一:高齢者大国の前線から(5) ── 自然の理不尽さ
コメ0 THE JOURNAL 135ヶ月前
小中学校の授業に「移動教室」という屋外活動がある。 消防署や博物館、名産品をつくる工場などを訪問する社会科見学で、教室から飛び出し、五感を使って学んでみる。地方では漁師と地引網をしたり、農家に泊まって土に触れたりと、自然の中で大人の仕事を手伝う体験が都市の子どもたちには新鮮に映るのだろう。 近年、...
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【無料公開】篠塚恭一:高齢者大国の前線から(4)── 高齢者とICT活用
コメ0 THE JOURNAL 136ヶ月前
以前、「流されたスキーツアー」という見出しの新聞記事が話題になったことがある。 知的障がいのある子と親の会が企画した旅行を、直前になって旅館側が受入できないと断ったことに避難が集中した。 親たちは食事を変えてくれとか、部屋をバリアフリーにしてくれとか、特別なものは何も求めていないと冷静な理解を求め...
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【無料公開】篠塚恭一:「街へ出よう!」(4) ── 要介護高齢者にも運賃割引制度を!
コメ0 THE JOURNAL 137ヶ月前
「高齢の父の体が弱ってきて、この夏を越えられないかもしれないので、父と母を連れて最後の思い出に二人のふるさと信州に連れて行きたいと思っています。父は両足切断していて要介護4です。」 そんなメッセージが、ホームページのメールに入っていた。時刻を見れば午前6時、相談者の急ごうとする様子が伝わってくる。 ...
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【無料公開】篠塚恭一:それぞれのエベレスト ── 高齢者大国の前線から(3)
コメ1 THE JOURNAL 137ヶ月前
冒険家の三浦雄一郎さんが、世界最高齢80歳でエベレスト登頂に成功した。 その驚異的な体力は、70歳7か月、2003年当時の世界最高年齢登頂記録を樹立、その後75歳での登頂で実証済だった。この成功が、さらに多くの人、特に高齢者を勇気づけたことだろう。 三浦さんは、1966 年富士山直滑降、70 年エベレスト、サウスコル...
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【無料公開】篠塚恭一:お墓参りは人気のおでかけ先
コメ0 THE JOURNAL 137ヶ月前
「背負って行きますか?」 お嫁さんと久しぶりに故郷の長崎を訪ねた宮崎マサさん。6年ぶりの里帰りは、介護タクシーと飛行機を乗り継いでの旅だった。 旅の目的はお墓参り。 もう無理とあきらめていた夢が叶った感激で目が輝いている。 ところが着いた菩提寺は、舗装もなく傾斜のきつい坂道、長い階段が墓前まで続いてい...
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【無料公開】篠塚恭一:カッコよく歳をとりたい ── 高齢者大国の前線から(2)
コメ0 THE JOURNAL 138ヶ月前
シニア世代に向けたエンディングノートづくりの講座が人気になっている。 エンディングノートをつくることで、自分らしい終末を迎えようと考えることが新鮮に感じるという。死をタブーとせず、最期まで「自分らしさ」を追求する好奇心を示す人が増えているようだ。 遺言とは違うエンディングノートは、いわば人生の終わ...
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【無料公開】篠塚恭一:おでかけ日和
コメ0 THE JOURNAL 139ヶ月前
今日はおでかけ日和、山本勝さんはカレンダーに花まるをつけて楽しみにしてきた。 血圧、体温異常なし、入居している施設の外出許可も出ている。夕べは興奮気味でいつもより睡眠不足だが、今朝の気分はすこぶるいい。久しぶりの外出に子供のようにワクワクしていた。 施設内のケアは、いつものヘルパーがしてくれるから...
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【無料公開】篠塚恭一:高齢者大国の前線から(1)
コメ1 THE JOURNAL 140ヶ月前
2020年に開催されるオリンピック、パラリンピック誘致が話題になっている。 再び東京開催が決まれば、インバウンドを中心に観光産業は活気づくだろう。前回の1964年、日本は高度成長期にあった。開催に合わせて新幹線や高速道路網などインフラがつくられ敗戦後の復興の証を世界に示したことで多くの日本人が自信...
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【無料公開】篠塚恭一:さあ、まちに出よう!
コメ2 THE JOURNAL 140ヶ月前
要介護高齢者の外出支援を専門とするトラベルヘルパーの育成をはじめて20年になる。超高齢社会を迎えた日本より一足先に旅行客の高齢化がはじまっていたのがきっかけだった。 身体が不自由な人が一番にしたいことは、なんといっても「おでかけ」だという。友人と好きな映画を見て、陽だまりのカフェでお茶を飲む。そんな...
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篠塚恭一:政権交代で成立が危ぶまれる「障害者差別禁止法案」
コメ0 THE JOURNAL 142ヶ月前
政権交代によって弱者支援2法案の成立が危ぶまれているという。東京新聞によると民主党政権なら成立が見込まれた法案として、「障害者差別禁止法案」「トンネルじん肺患者の救済法案」の紹介が2月5日の記事にある。日本アビリティーズ協会の伊東弘泰さんが「なぜ、今、障害者差別禁止法が必要なのか」というテーマでレク...