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「それでも日常は続いていく」
コメ0 草の根広告社 54ヶ月前
人々が町に出ていくようになったからだろうか。子供たちが学校に行き始めたせいだろうか。五月に入ってから少しばかり賑やかだった海辺の町から人の姿が消えた。
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「それでも夏に近づいていく」
コメ0 草の根広告社 55ヶ月前
月曜の朝、ベランダで残り物のハヤシライスを食べた。目の前に広がる海はハヤシライスを作っていた昨日とはまるで違っていた。遠い記憶の向こうにある懐かしい匂いがした。
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「なくなったものは自分にとって本当に必要なものだったのだろうか」
コメ1 草の根広告社 56ヶ月前
外出を自制するようになって三週間が経った。ぼくがこうして在宅で活動を続けられるのも、不安な状況でも通勤し続けなければならない仕事に従事されている方々の支えがあってこそだ。もちろん家にこもっていたくても様々な事情で外出を余儀なくされている方々もいる。今から書くのは、それらが分かっている上での、あ...
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「こんな雨の日ぐらい、泣き言言っても許されるよね」
コメ0 草の根広告社 56ヶ月前
行動が変容している。価値観も変容している。昨日まで裏だったものが表になり、昨日まで表だったものが裏になっている。今はまだうまく言葉にできないけれど、目の前で繰り広げられているそういうものに対して日々高まっていく焦燥感を拭うことができない。
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「なんとかなるんじゃないかな」
コメ0 草の根広告社 56ヶ月前
雨上がりの空にうっすらと虹が掛かっていた。洗濯物を干し、朝食後のコーヒーを飲んでから散歩に出た。海沿いの国道は車通りがほとんどない。信号待ちをしていたぼくらの前を空っぽのバスが通り過ぎていった。浜へ続くゆるい小径を下って砂浜に出る。娘がうれしそうに駆けだしていく。その小さな背中が逆光で白い闇に...
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「堂々と生きてやろう」
コメ0 草の根広告社 57ヶ月前
小さな町だ。名前まではともかく、顔のわからない人はほとんどいない。海辺の通りですれ違えば誰もが挨拶を交わす。そんな小さな町に、エジプトから海を越えて未知のウイルスが持ち込まれた。
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「それでも満員電車は走り続ける」
コメ0 草の根広告社 57ヶ月前
人混みが大の苦手だ。時には歩くだけで呼吸が浅くなって目眩がすることもある。だからテーマパークでも行列のできていないアトラクションにしか入らなかったし、満員電車に乗りたくないという理由で就職もしなかった。渋滞を避けるために抜け道や裏道ばかり探すように生きて来た。 海辺の町で暮らすようになったのに...
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「海の向こうでまた戦争が始まる」
コメ1 草の根広告社 59ヶ月前
ようやく家族水入らずの時間が訪れたのは1月3日になってからだった。父が亡くなって初めて迎える新しい年。喪中なので初詣にも行かず、出し損なっていた年賀状の返事を書くこともない。漁と畑が休みなので店も空いていない。初売りに人が殺到するような商業施設のない海辺の町では三が日は神社に行くぐらいしかやるこ...
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「次の波を探している」
コメ1 草の根広告社 60ヶ月前
ぼくは浜辺でサーフィンを見ている。波間に浮かぶ誰もが次の波を待っている。低いうねりだ。皆で申し合わせたように見送る。そしてまた次の波を待つ。より良い波を待ち続ける。でも、全員が同じ波に乗ることはできない。 目から入って来るその映像に脳内ではこんなナレーションが重なっていた。
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「東京を離れるということ」
コメ0 草の根広告社 61ヶ月前
いまの時代、勤務地が決まっている会社員ならばともかく、どこにいても仕事ができるぼくらのような人間は東京を離れてどこかに移り住むことを「移住」なんて大袈裟な言葉で表現したりしないのかもしれない。 仲間がまたひとり東京を離れた。
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「晩秋センチメンタル」
コメ0 草の根広告社 61ヶ月前
妻が台所で夕餉の仕度をしている。風邪をひいて保育園を休んだ娘が湯気で曇った窓ガラスに絵を描いている。ぼくは漂って来る出汁の匂いを感じながら娘の横でワープロを叩いている。
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「セカンドキャリア」
コメ0 草の根広告社 61ヶ月前
かつて世界中をサーフトリップする番組で御一緒した坂口憲二さんがコーヒーの焙煎士としてセカンドキャリアを歩まれているという。奥田民生さんは「CDはいずれなくなる」とYouTubeでの動画配信を始めていた。Theピーズの大木陽之さんは結成30年目にして実現した武道館ライブの後、ジャズベースをアコースティックギタ...
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「海から遠く離れて」
コメ0 草の根広告社 62ヶ月前
10月11日午後、仕事の手を休め、海沿いの国道から見た波のサイズは昨日よりも上がっていた。彼方から近づいて来る姿なき猛威の化身が何かを警告しているように感じられた。東北の沿岸を襲った津波の映像が頭を過った。